家づくりに愛着は必要か?機能などの数値を重視すると消耗品に!

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九谷田 義之

不動産・施工に関するお金に詳しい人。同じ費用をかけるなら本当に重要なところに費用をかければいい。削減できるところは削減も惜しまない。なぜかお客様の子どもに愛される。

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新築やリノベーションをする際に、考えるべき点は山ほどあります。

また、近年(2021年8月現在)のハウスメーカーや住設機器メーカーの技術の進歩は目覚ましく、優れたものが、豊富になってきました。

そのため、様々なハウスメーカー・工務店は、性能を数値化し、よりハイスペックな住まいを建てる競争を激しく行なっています。

中には、「C値は〇〇以下でない家はダメだ」という様な発言をされている方の声を聞くこともあります。

そんな中、ブログの読者さんからこの様なメッセージをいただきました。

最近の住宅の性能は、とても優れていると思います。私は、いろいろな住まいを見るのが大好きなので、完成見学会や住宅展示場に足を運んだり、YouTubeを見て楽しんでいます。そんな中で、気になったのは、「C値・UA値が〇〇以下な家はダメだ」「樹脂サッシでない家はダメだ」という様な言葉を聞く機会が増えたことです。
私の家は、築20年で、C値などの測定もしていません。シングルガラスのアルミサッシの家です。それでも、家族全員が自分の家を気に入り、寒いなぁ…暑いなぁ…と言いながら楽しく暮らしています
ハウスメーカーも工務店さんも売らなければいけないのは十分に分かりますが、そのための発信によって傷ついている方も多い様に思います。
いつもブログを拝見させてもらっていますが、「空気がうまい家」に関わる方ならこの感覚を理解していただけると思い、愚痴っぽい内容ですが、思わずメッセージをお送りさせていただきました。(長文のため、短く編集)

いろいろと考えさせられるメッセージでした。

そこで、今回は、

住まいづくりに愛着・愛情は必要か?

ということを深く考えていきたいと思います。

結 論

  • 住まいに対して愛着・愛情をもつことは、とても大切なこと。
  • いくら良い住まいであっても、もはや消耗品レベルで売買されている。
  • 人が好きになるものは、ものではなく、生物的なものである。

これらがどういう意味か深く解説していきます。

今回も見た目が華やかで格好いい・可愛いという様な話ではなく、とても地味な話となります。

それでも、大切なことだと思われた方は、ぜひ、最後までお読みください。

 

住まいを買うときには100年の耐久性を求め、20年で売却!

「日本の住宅は、海外に比べ低レベルだ」と言われることもあります。

そして、「弊社の場合は、海外の基準を元にしたハイスペックな住まいだ」という様なトークがなされる場合も多々あります。

実は、この様な話は、明治の頃から形を変えながら行われてきました。

明治維新、高度経済成長…と長い時間が経過し、西洋の文化も取り入れながら住まいの性能をどんどん向上させてきたのですが、残念ながら、次のような課題があります。

出典:住宅金融支援機構 公表資料より引用

出典:住宅金融支援機構 公表資料より引用

このグラフは、中古住宅市場に出回っている物件の築年数の割合を表したものになります。

築30年以内の物件が半数以上を占めていることが分かります。

 

住宅の購入(不動産投資・マンション経営も含める)を考える際、生涯を見通して購入を決断するのが一般的です。

ですから、住まいを新築する・リノベーションをする際には、耐久性についても考え、どうしても必要なメンテナンスコストも見通した上で施工に踏み切るものだと思っています。

ところが、長い人生何があるか分かりません。

  • 何らかの事情で家族構成が大きく変わった。
  • 遠方で仕事をすることになった。
  • 住宅ローンの支払いが困難になった。

などなど…住まいを手放す様々な理由が考えられますが、いずれにしても、

新しくした住まいがたった30年以内で手放すことになっている

という現状は、家づくりをしている者として真剣に受け止める必要があります。

少々、厳しい言い方になってしまいますが、「近年の住宅は100年もつ!」という言葉もよく言われますが、現実は、「100年間も使用する人は少ない」ということです。

経済的に、「不動産に流動性がある」ということは、プラス面ではありますが、いくら省エネの家を作っても、数十年で解体し、また新たなものを作るのであれば、省エネから程遠いということです。

もし、メールを下さった方の様に、家族全員が自分の家を愛し、楽しく生活をするご家族が多いのであれば、これはど築年数の浅いものが市場に出回ることは、もっと少なくなると思うのです。

では、どうすれば住まいに対して愛着がもてるのか考えてみましょう。

 

人がものに対して愛着を感じる条件とは?

まず、基本的に人は生物であるために、生物に対して愛情をもちやすく、また、生物の存在によって癒される傾向があることは、様々な研究で明らかになっています。

特別、ここで研究論文を持ち出さなくても、

  • ペットをとても大切にしている人は多い。
  • 植物をとても可愛いがっている人も多い。
  • ペットや植物に癒しを感じる人も多い。
  • 人は人を好きになる。

あなたの身の周りの人を想像しても、これらに該当する人はたくさん思い浮かぶはずです。

 

では、ものに対する愛着はどんな風に誕生するのでしょうか。

住生活における愛着の考察」は、アンケートによる調査を分析した論文です。

この中に「愛着を感じ始めたことに何かきっかけはありますか?」という質問に対して得られた結果が次の様にまとめられています。

住生活における愛着の考察 ―愛着の多様な性質と時間 より引用

ものへの愛着を感じるきっかけは、簡単に整理すると

  • ものそのものの機能が優れている・とても便利。
  • 「初任給でかった思い出のテレビ」の様にものに付随する思い出も大切だから。

こういうことです。

ただ、ものはスペックだけではないという社会現象もありました。

随分前になりますが、Windows VS Mac 論争の様なものが2000年ごろによくされたものです。

当時、WindowsPCの方がスペックがよく、社会一般にはWindowsPCが使用されました。

そんな中でも、Mac派の人たちは、頑なにMacを使い続けました。

なぜ、こんなことが起きたのでしょうか。

それはコンピュータそものもが好きというより、アップル社の理念やチャレンジが大好きだから…という気持ちが強かったためです。

つまり、

ものの奥にある人の感覚に愛着を感じる

ということです。

 

愛着のもてる住まいにするには?

 

無塗装の無垢材と昔ながらの製法を元にした漆喰の住まい(空気がうまい家®︎)

無塗装の無垢材と昔ながらの製法を元にした漆喰の住まい(空気がうまい家®︎)

愛着のもてる住まいで生活をするにはどうすればいいのでしょう。

これまで見てきたことを整理すると、

  • 生物的なもので住まいを作る・自然が身近に感じられるような設計にする。
  • 住まいづくりに関わる人の想い・理念・考え方を十分に理解する。

ということが大切だということです。

だからと言って、私は住宅の性能はどうでも良いなんて一切思っていません。

今できるベストを尽くすことは、絶対に必要なことなのですが、住まいのスペックだけを見て、良し悪しを判断してしまうと、10年もすれば、つまらない家になってしまう可能性が高いということです。

もちろん、そんな風に思われる様な住まいを作りたくはありませんから、私たちの場合は、日本の歴史を学び、長らく愛されてきた文化的な要素が感じられる住まいづくりをしているのです。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

日本の住宅関連の営業マンは「日本の住まいのレベルは低い」と言い、海外に住んでいる方からは、「古くからある日本の住まいは素晴らしい」と言われます。

様々な日本の文化を深く学んでみると、日本の文化・技術も非常に優れていると感じる点はたくさんあります。

こんなこともあなたと一緒に勉強できたらいいなぁと思っています。

一見、とても怖い「オオカミ」もその生態を正しく見極め、尊敬の対象としたのも日本文化の一つの特徴です。詳しくは、日本文化の特徴は「自然と共に」この考えが世界から注目される!をお読みください。

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