【歴史】思ったよりも時間をかけて誕生した高気密高断熱住宅

高気密高断熱住宅が、関西でも定着しつつあるように感じます。ただ、関西にいる私たちにとって、身近な存在になってからの歴史は非常に浅く、

  • 高気密高断熱住宅は本当に必要なのか?
  • 高気密高断熱住宅での生活は息苦しくないのか?

こういった質問をいただくことも非常に多いです。そこで、ここでは、

Check!

高気密高断熱住宅ができるまでの歴史

を紹介します。ちなみに、株式会社ハウス工房では、高気密高断熱住宅にするのか?しないのか?については、お客様の家族構成・ご希望・予算などを考慮しながら、相談の上、決定することにしています。2023年現在、多くの工務店・ハウスメーカーは「高気密高断熱が標準仕様」としていますから、弊社の様な形は、珍しいかと思います。

この様な一風変わったスタイルにしているのは、

高気密高断熱も大切ですが、それ以上にどんな素材で住まいを作るのか?を大切にしている

ためです。とは言うものの、現代の様な高性能な住宅ができるまでには、先人達の熱い努力があってのことです。この機会に、どの様にして現代の様な住まいができたのか理解を深めていただき、住まいにより深い愛着をもっていただけると嬉しいです。

目次

【大昔】日本の夏はとにかく暑い!夏さえなんとかなれば…

昔の人の住まいに対する感覚が分かる最も有名なものが、

Check

家のつくりようは夏をもって旨とすべし(兼好法師

で、あなたも一度は聞いたことがある言葉だと思います。この言葉の意味の解釈は様々ありますが、極めてシンプルにいうと次の様になります。

冬は確かに寒いけれども、寒さは服を着るなり、火を焚くなりしてどうにか寒さを凌ぐことはできる。一方で夏の暑さはどうしようもない。だから、家は夏の暑さ対策が重要である。

そこで、西洋風の建物が日本に入ってくるまでは、次の様な工夫がされていました。

  • 風通しを思い切りよくする(内と外のつながりが強い)
  • 屋根を分厚くして熱が入りにくくする。

こうして暑さを凌いできました。実際に、茅葺き屋根の建物に入ると非常に涼しいことが分かります。ところが、これでは、大きな課題が残されたままです。

東北・北海道の人はどうしたらいい?

もともと、東北・北海道は、蝦夷地とも呼ばれ人口は少なかったそうですが、次第に人が移り住むようになっていきました。当然、住まいが必要になりますが、風通しの良い家では、「寒すぎる!」という問題があります。

服をたくさん着込み、火をつかうにしても、限度があります。それでも、当時の多くの人々は、厳しい寒さに耐えてきました。そんな時代が長く続きましたが、

Check

オイルショックによって暖房器具が使いにくい状況が生まれる

オイルショックとは?
産油国が石油価格を約70%も引き上げたことによって、様々な物価が一気に上昇したり、手に入りにくものが出たりした。

現代でも(2023年現在)、電気代・ガソリン代の高騰が話題になることが多いですが、それ以上の高騰であったために、大きな衝撃だったということは十分想像できるはずです。この状況では、寒さをしのぐ燃料代が払えません。

こうした出来事がきっかけとなり、

Check

少ない光熱費で夏は涼しく・冬は暖かい住まいづくりが必要だ!

という風潮も強まり、現代のような「断熱材入りの住まい」が普及していきました。

ただ、残念なことに断熱材を入れたために起きる問題があったのです。

家にキノコが生えてしまった!(家が痛む要因)

ここでは、分かりやすいように「キノコが生えた」と表現しましたが、正確には「ナミダタケ(キノコの一種)」が、木材部分から生えてくるという問題が、たくさん起こりました。

食べられないキノコは、嫌われ者になりやすいですが、地球にとってとても重要な役割を果たしています。

それが、

死んだ木を分解して土に戻す

という役割です。そのため、山から新しい命がどんどん誕生することができるのです。ただ、家まで綺麗に分解されると、私たちは途端に困ってしまうのです。

ナミダタケが生えてしまった原因は?

キノコ(ナミダタケ)が生える条件を簡単に言えば、次のようになります。

  • 適切な温度
  • 適切な水分(湿度)
  • 適切な栄養(住宅の木材がもっている)

当時は、下の図の様に密閉した壁の中に断熱材を入れていたために、壁の中に結露ができてしまっていたのです。ここで、上の3つの条件を見ると、壁の中はキノコ(ナミダタケ)にとってとても良い場所だということが分かります。

極めて簡単な壁面の図

水蒸気はとても細かいために、外壁やビニルクロスなどで完全にガードすることができません。この様な状態だと結露が壁面内部で発生して、菌が増殖してしまいます。

一方、断熱材を入れずに住まいを作っていた頃は、住まいのあちこに小さな隙間もあり、密閉された空間が少ないために水分が溜まる箇所がほとんどなかったのです。その為に、この様な問題が社会現象にはならなかったのです。

隙間があれば、湿気は溜まりにくいからキノコは生えない。
でも、隙間があれば、冬が辛い。
どうすればいいんだ?

キノコが生える問題をどうやって解決したのか?

この問題をクリアするには、

Check

通気性は良いけれども、断熱がしっかりできる。

ということを実現させなくてはいけません。

そこで、壁面内に通気層を設け、この問題を解決する方法が主流となっていきました。簡単に図式化すると次の様な構造で、こうすることで、壁面内に湿気がたまりにくくなることが、分かると思います。

上の図はかなり簡略化したものですが、湿気を逃すために工夫が必要だったことが分かると思います。

素晴らしい技術と共に、優れた住まいが実現したかのように見えましたが、残念ながらまた新たな問題に遭遇してしまいます。

せっかく新しく建てた家なのに住めない!

https://mainichi.jp/articles/20170828/k00/00e/040/264000c より引用

暑さ・寒さを省エネで凌ぐには、隙間風が吹くようではいけません。

つまり、

  • 室内は外気が自由に出入りしにくい状態(気密が高い)。
  • 壁面内部は、通気性を良くして、湿気が溜まりにくい状態を維持する。

こうした住まいが増えていくと同時に、シックハウスの問題が生じてしまいました。

シックハウスとは、簡単に言えば、建材に含まれる化学物質が室内に蔓延し、その化学物質によって体調が乱れるというものです。その程度は人によって様々ですが、ひどい場合には、

  • 慢性的な頭痛
  • アトピー、喘息などのアレルギー症状の発症

などで、通常の生活が困難になる・自宅にいると苦しくなってしまう…という人が続出し、国が対応策を定めないといけないという状況にまで発展しました。

新築の匂いっていうのが、本当は化学物質の匂いなんだ。
現場で作業をしていると、それがよく分かるんだ。

このシックハウスについては、まだまだ問題が解決されていないというのが現状です。シックハウスについて詳しくは、高気密高断熱の住まいのデメリットも知って住まいと付き合うの記事でも紹介しています。

あわせて読みたい
高気密高断熱の住まいのデメリットも知って住まいと付き合う 高気密高断熱(程度は様々ですが)の住まいが随分、一般に浸透してきました。もともとは、古民家を見れば分かる通り、高気密高断熱とは無縁の生活をしてきましたので、...

気密が高く、化学物質が多く含まれた建材で住まいを建ててしまうと、シックハウスになってしまうリスクが高まることは、十分想像できるはずです。

残念ながら2023年現在でも、シックハウスに悩まされるという方はたくさん見られるのが現状です。また、ご自分ではシックハウスとは気付かれていないけれども、慢性的な辛さがあるという方も多く、そういった問題の原因は、シックハウスの可能性もあるということも念頭に置いておきたいものです。

じゃあ、どうやってシックハウスの問題をクリアするの?

人間の技術力で解決するか?自然の力で解決するか?

シックハウスの問題は、2023年現在でも、解決されていないのが現状です。ただ、原因は室内に蔓延する化学物質だとはっきりとしているので、解決策は多々考えられ、ハウスメーカーなどでも取り入られています。

もちろん、株式会社ハウス工房でも、これらの問題は非常に重要だと考えています。

では、どの様な対策が行われることが多いのかいくつか紹介します。

【義務化】24時間換気システムの設置

現在は、24時間換気システムの設置が義務化されています。計算上、2時間で室内の空気が全て入れ替わることになっていますが、長く残留する空気もあれば、小まめに入れ替わる空気もあるのが現状です。

室内の化学物質が心配だという方にとっては、気休め程度になります。

室内を一旦高温にし、化学物質(VOC)を揮発させる(ベイクアウト法)

一般的な建材(フローリング・ビニルクロスなど)には、様々な化学物質が含まれています。有名なものがホルムアルデヒドですが、これらを「意図的に一気に揮発させてしまおう」という方法が取られる場合があります。

その方法は様々ですが、引き渡しの前に暖房器具を設置し、室内を40℃くらいに保ち、その後、換気を一気に行うという作業を繰り返す方法です。

実際に、ホルムアルデヒドについては効果が見られたという実験結果がありますが、建材に使われている化学物質の種類はかなり多いために、敏感な方や乳児にとっては、不安が残る方法だと考えらます。

【最も安心できる対策】そもそも化学物質を含まない建材で家を建てる

空気がうまい家®︎

シックハウス の心配を無くす最善の方法は、

Check

化学物質を含まない建材で家を建てる

これが一番、安心できる対策でしょう。

とは言っても、100%天然素材で住まいを建てるのは、非常に困難です。化学物質は、システムキッチンに使われている合板からも、ユニットバスなどからも発生してしまうためです。

ただ、床や壁面の素材にこだわることは不可能ではありません。また、株式会社ハウス工房で使用している「幻の漆喰®︎」には、化学物質やアレルギーの原因物質を分解する能力があることが証明されているために、どうしても発生してしまう化学物質(VOC)も大きく削減することができます。

極めて簡単に株式会社ハウス工房が作っている「空気がうまい家®︎・空気がうまい住空間」の特徴をまとめると…

  • フローリングなどの木材は、国産無塗装の無垢材
  • 新築の場合、構造材も国産無垢材(リフォーム・リノベーションの場合は状況次第)
  • 壁面は幻の漆喰®︎で施工
  • 家具もできる限り設置不要になるように国産無塗装の無垢材で造作

こういったもので施工を行っています。

また、希望する方には、住まいに使われる木材や家具がどのようにして生産されているのか、山奥の工場見学もご案内しています。

何よりも身体が気持ちいいと感じる空間なのか試すことが大切

空気がうまい家®︎

いくら天然素材と言っても、体質は人それぞれです。

分かりやすい例を挙げると、「蕎麦の実の枕」だとアレルギー反応が出るという方もいる様に、天然・自然だから絶対に安心ということはありません。ですから、どの会社で住まいを建てるにしても、それぞれの会社の空間を存分に身体で感じることが大切です。

もちろん、現代は様々角度からデータを数値化することができますが、化学物質(VOC)が基準値以下だから安心とは限らないということも踏まえて、体感・見学をして欲しいと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

ご質問・気になる点は、「些細なこと」と思わずに、ご質問ください。ご理解されるまで、ご説明いたします。

スマホの方はタップでお電話がかかります。

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次