狭い敷地でも部屋を広く魅せる具体的な方法【家づくりのヒント】

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北村美千代

数々の店舗、住まい、文化財の新築・修繕のプランを行う。自由度が低く、制限があればあるほど建物のプランを考えるのが楽しくなってくるという習性がある。プランを考えている時間が至福の時間。

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新築をするにしても、リノベーションをするにしても、「室内が少しでも広く見えた方がいい」と思う方が多いでしょう。

実際に、敷地が広く、周りの環境もいいのであればいいのですが、必ずしも好条件が揃った土地ばかりではありません。

先日、リノベーションを行ったお住まいも近隣のお住まいとの距離は非常に近く、「広々した場所」とは言い難い条件でした。

また、京都市内の中心部に行けば行くほど、敷地はどうしても狭くなりがちです。

そんな厳しい条件でも、工夫をすれば部屋(室内)を広く魅せることは可能ですから、

狭い空間・室内を広く魅せるための具体的な方法

を紹介します。

ここで、紹介する方法は、必ずしも万能とは限りません。敷地・近隣の状況によっては、別案を考えた方がいい場合もあるということをご理解の上、参考にしていただきたいと思います。また、具体的なご相談がある場合は、お問い合わせよりご連絡をください。

 

廊下がある場合、視線の先が屋外に抜けるようにすると広く感じる

人が広い・狭いと感じる基準は、視線がどこまでとばせるか?ということです。

最も良く言われるのは、

室内に置くものの高さを低くする

というのも、少しでも遠くまで視線を飛ばすための手段の一つです。

壮大なスケールの話をすれば、私たちが住んでいる京都市・京都市周辺は盆地のために、周りを見ても山かビルが見え、広々した印象はありません。

けれども、琵琶湖や海に行くと、視線を邪魔するものがかなり遠くなるので、とても広々した印象をうけます。

遠くまで見えると広々と感じ、近くしか見えない状態だと狭いと感じる。

ということは、廊下の場合でも敢えて窓を設けて、視線が屋外にまで届くようにすることで、随分印象が変わります。

 

近隣の状況、太陽の動きを考慮しながら適度な大きさの窓を設ける

写真を加工して窓を埋めてみた時の印象(窓の重要性・空気がうまい家®︎)

写真を加工して窓を埋めてみた時の印象(窓の重要性・空気がうまい家®︎)

だからと言って、とにかく大きな窓を設けたら良いというものでもありません。

大きな窓を設けると、立地条件によっては外からの視線が気になることも出てくるでしょう。

また、いくらサッシやガラスの性能が高くなってきているとは言っても、断熱性は通常の作りをした壁(グラスウールで断熱した壁)の方が高いことも忘れたくありません。

現実的には、近隣の状況と太陽の動きを考慮して、上の写真の様に一部、視線が抜ける場所を設けることが多いです。

 

条件が厳しい場合には、地窓が有効的!

LIXILより引用(https://www.lixil.co.jp/lineup/window/s/tostemmagazine/knowledge/article-014/)

視線が抜けることを意識すると、窓はある程度の高さにしたいところですが、状況によっては、周囲の視線が気になることもあります。

もちろん、フェンス、植栽などで目隠しを作るのも一つの対策ですが、屋外の自由が難しい場合もあります。

そんな時には地窓は有効です。

地窓とは?
上の写真の様に、床面に接した位置にある窓のことを言います。古くからある日本家屋にも見られ、埃を掃き出すために利用されていました。

廊下の場合、密閉された空間になりがちですが、地窓をもうけることで、外とのつながりが何となく感じられるようになります。

 

リビングの窓は天井まで高くすると広がりが感じられる

LIXILより引用(https://www.lixil.co.jp/lineup/window/lw/topic/)

窓(サッシ)の設け方によって空間の印象は大きく変わります。

新築やリノベーションをする際に参考となる話とリノベーションをしなくてもすぐにできる心理的に広く魅せる方法を紹介します。

 

新築やリノベーションを検討している場合

間取りを考える時に、当然、一番日当たりのいい場所をリビングにします。

ですから、リビングに大きな窓を設けることが多いのですが、せっかくなら、天井まで窓にしてしまうのも一つの方法です。

従来、リビングの窓というと次の様な形状でした。

天井まで窓が届いてない一般的な事例

天井まで窓が届いてない一般的な事例

ところが、次の様に天井高までの窓にすることで、天井に折り返しができず、平面になります。

そして、視線の先は屋外になるために、広く感じられるということです。

天井高までの窓にして天井を平らにする(空気がうまい家®︎)

天井高までの窓にして天井を平らにする(空気がうまい家®︎)

 

リフォーム・リノベーションをしない場合でも…

リフォーム・リノベーションを今は考えていないけれども、少しでも広く見える工夫がないの?という相談を受けることがあります。

その時に、手取り早いのが、カーテンレールの高さを窓に合わせず、天井に合わせて取り付けるという方法があります。

こうすることで、空間が大きく感じられる様になりますが、カーテンを全開にした時に、私は違和感を感じるという点がデメリットだと思っています。

ですから、レースのカーテンは基本的には閉めながら日常生活を送るということになりますが、随分広々した印象になることは確かです。

先に紹介したこちらのリビングもカーテンレールが高い位置についています。

カーテンレールの位置に注目(室内を広くみせる工夫)

カーテンレールの位置に注目

 

階段の形状をスケルトンかひな壇式の階段にする

スケルトン階段の事例(空気がうまい家®︎)

スケルトン階段の事例(空気がうまい家®︎)

階段の形状をどうするかによって、空間の印象は大きく変わります。

単純に少しでも広く空間を魅せたいのであれば、スケルトン階段がいいのですが、その前に階段は昇降に使うものということを忘れてはいけません。

おしゃれなイメージの強いスケルトン階段にしても、昇降しにくいのであれば全く意味がないということですが、意外と階段に失敗した!という声は多いので、注意が必要です。

 

スケルトン階段にすれば、視線が少し遠くまでとぶ

スケルトン階段にすれば、階段の向こう側まで見えるので、視線がとぶ距離が長くなります。

そのため、少し室内が広く感じられるようになります。

スケルトン階段には、部屋を広くみせるという役割があるために、スケルトン階段下にごちゃごちゃと物を置いてしまうと、効果どころか、大きなデメリットになりがちですから注意が必要です。

私が設計を考える場合には、お客様のご希望とあわせて、住まい全体の収納量を考慮して、スケルトンにするか・しないかを判断することが多いです。

スケルトン階段について詳しくは、スケルトン階段は子どもがいると怖い?【後悔しないための知識】でも紹介しています。

 

ひな壇式の階段にすると収納が確保できる

ひな壇式の階段の事例(空気がうまい家®︎仕様にフルリノベーション)

ひな壇式の階段の事例(空気がうまい家®︎仕様にフルリノベーション)

ひな壇式の階段にすると、スケルトン階段よりは視線が遠くにとびにくくなります。

ただ、階段下はみせたくない物を収納することができるスペースとして活用できるために、住まい全体の収納量が少ないなぁ…と感じる時にとても有効な手段となります。

階段室という程の圧迫感がなく、スケルトン階段ほどオープンではない、調度中間の様な立場の階段ということです。

 

階段をスケルトンやひな壇にすると寒くないの?

室内を広くみせるために、階段をオープンな形にすると当然、空気が動く範囲が広くなります。

その分、狭い空間と比較すると冷暖房が効きにくいというデメリットが出てきます。

ただ、私がこれまで設計してきた経験で言えば、無垢材(音響熟成木材®︎)を使いながら、ペアガラスのサッシを使って空間をつくれば、特別な施工をしなくても、十分冬でも暖かい空間となります。

そのため、温熱環境・光熱費はあまり気にせず、設計することができます。

この辺りは、実際に体感していただくのが一番いいと思います。

体感を希望される方は、全国様々な地域で体感できますから、お問い合わせよりお気軽にメッセージをください。

 

一番大切なのは、多くを求めない華道の様な考え方

空気がうまい家®︎

少しでも室内を広くみせる方法を紹介しました。

もちろん、まだまだ考えられる対策はありますが、一番大切なのは「日本文化的な考え方」です。

ついつい生活をしていると、「あれもこれもあった方が良い」と私も思うことがあります。

ところが、実際には、そんなに多くのものがなくても十分に快適な生活をすることができる上に、多くを求めないから味わいがあるのです。

それをコンパクトにして表現したものが華道だと私は思っています。

 

お城などに見られる大広にも何も置かれていない。

お城などに見られる大広にも何も置かれていない。

また、昔の日本の偉い方々の部屋にも多くのものが置かれず、とてもスッキリとしていたという辺りは見習いたいところです。

一方、西洋文化の歴史を見ると、上流と言われた方々の部屋には様々な装飾品が置かれいます。

両方の暮らし方・文化を見ても日本文化の方が道徳性に優れ、心も豊かだと感じています

この様な感覚を「なんとなく」次世代に伝えるというのも大切な住まいの役割だと感じています。

そのため、私が買い物をしたいと思った時には次の様に考えます。

  • 本当に必要なもので、この先も使い続けるものだろうか?
  • 一つ新しいものを買えば、少なくとも古いものを一つ手放す。

この様な感覚を住まいと一緒に身につけていくということもとても大切です。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

住まいづくりは、建物ができた時が完成ではなく、できてからどう使うか?ということも大切にしながら、一緒に勉強していけたら嬉しいです。

この感覚は、「スプーン・フォーク」と「お箸」との関係に似ている気がします。

私はスプーン・フォークの設計ではなく、お箸を設計する側でありたいといつも思っています。

 

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