【読み物】味噌を作りたいなら大寒に仕込む意味を知ろう!

【読み物】自然の営み
渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する元小学校教諭。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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我が家では、冬に味噌を仕込む事にしています。

近所の方々もかなり自然派の方が多いので、味噌を仕込むのは当然という文化があります。

こんな話を友人としていると、「味噌作りを教えて欲しい」などと言われます。

もちろん、味噌屋を営んでいる訳ではありませんから、毎年出来上がる味噌の味は様々ですが、自宅で楽しむ程度の味噌は、簡単に作る事はできます。

ここでは、味噌作りに興味があるあなたに、なぜ、冬に味噌を仕込むのか…そんな話をお伝えしようと思います。

 

昔から味噌は大寒に仕込め!と言われています。

先日、近所のおじさんがこんな事を言われていました。

農家の山さん
農家の山さん

しまった…今年はうっかりしてて、大寒に味噌を仕込むの忘れてた

今年は、異常に暖かいから仕込むの少し勇気がいるけどなぁ。

 

大寒(だいかん)とは?

およそ1月20日頃にカレンダーに「大寒」と書かれています。

今年(2019年)の「大寒」は1月20日でした。

漢字の意味の通り、「むちゃくちゃ寒い日」という意味で、概ね2月3日の節分までを「寒の内」と呼んだり、この期間全てを「大寒」と呼ぶ人もいるようです。

この大寒を過ぎると、寒さは少しずつ緩みながら春へと向かって行きます。

今年は、味噌を仕込むという視点からすれば、暖か過ぎる気候で、近所のおじさんが大寒を忘れてしまうのも無理はありません。

 

ちなみに、昔から「大寒」にまつわる言い伝えは、たくさんあります。

もしかしたら、今もなお、地域によっては「大寒」をとても大切にされている所もあるかも知れません。

なぜ、「大寒」を大切にするのか?

それには、なるほど…っと思わせる理由があるのです。

 

大寒にまつわる言い伝え

・大寒卵

大寒に生まれた卵はとても貴重なもので「大寒卵」と呼ばれます。

この時期には、寒さのあまり鶏も卵をあまり産みません。

鶏は、寒さをしのぐために、水分の摂取を少なくし、たっぷりと餌を食べます。

そして、あまり卵を産まないために、大寒に生まれた卵はとても栄養価が高く、美味しいとされていたのです。

近年は、室内で飼育されている鶏がほとんどですから、屋外で飼育されている鶏から誕生した大寒卵はより貴重なものとなります。

 

・寒の水

「大寒の日に汲んだ水は腐らない」とか「寒の水は薬」などとも言われていました。

寒さのために、水の中の雑菌が少なく、一年で最も水が澄んでいると言われてきたのです。

水が綺麗であるということは、様々な食品を仕込むのに最適という事です。

 

・寒仕込み

お酒が好きな方なら一度は耳にした事がある言葉かも知れません。

「寒造り」とも呼ばれる場合もありますが、昔は空調設備が不十分だったために、最も雑菌が少ない寒い日にお酒を仕込み、ゆっくりと発酵させていたそうです。

ゆっくりと発酵をさせていくと、きめ細やかな味となり、「寒酒」と言われ親しまれてきました。

 

大寒に味噌を仕込め!と言われる理由

こうして、「大寒」というものと、それにまつわる食品をみていくと、「大寒に味噌を仕込め!」と言われる理由がはっきりと分かるのではないでしょうか。

味噌は、発酵食品です。

大豆と塩と麹を混ぜ合わせて、半年から1年間もの間、寝かせるわけです。

味噌作りのスタート時点で、雑菌が多く混ざってしまうと、大豆は残念ながら腐敗への道を歩んでしまいます。

ですから、空気中に最も雑菌が少ないと言われる「大寒・寒の内」に味噌を仕込め!と言われるのです。

 

でも、半年も寝かせていたら、梅雨もやってくるし、雑菌も喜ぶ湿度の高い夏がくるじゃないか?

そんな疑問もあるわけですが、発酵とは不思議なもので、スタート時点で、うまく発酵への道に進むことができると、腐敗へ進むことは、よほどの事がない限り進むことはありません。

そして、寝かせる期間の長さによって味はどんどん変化して行きます。

こうした事も先人達は経験をしながら一つの知恵として、現代まで受け継いでくれたのでしょう。

 

スーパーで売られている味噌は、安定感抜群の味!

こうして、味噌作りの基本となる部分を見ると、不思議な事があります。

自宅で仕込んだ味噌は、今月の味と3ヶ月後の味は、確かに違うけれども、スーパーで売られている味噌は、常温で置かれてにも関わらず、どの季節に購入しても同じ味。

もちろん、商品として味噌を売り出している以上、コロコロと味が変わってしまうようではダメなのでしょう。

ですから、スーパーに常温で置いてある味噌は、発酵が進まないように「酒精(しゅせい)」が入っています。

酒精とは?
発酵アルコールのことで、食品添加物に指定されています。
手を消毒する時にアルコールをかけるのと同じようなものです。
味噌に酒精を入れる事で、発酵をとめるという役割をしているのです。発酵を止めてしまわないと、味噌が呼吸をし続け、袋が破裂したり、味がどんどん変化していってしまうために、一定の品質を保つために味噌に酒精が入っています。

 

ところが、近年では「腸内細菌を増やす」という「菌活」がブームになっている様です。

もちろん、こうした傾向は、良い傾向だなぁと思いますが、「菌」を粉末やタブレットなどから摂取する以前に、暮らしの中に菌と共に生きる発想を取り入れることがより自然ではないでしょうか。

味噌を仕込む、ぬか床を準備する…このあたりなら、どの家庭でも挑戦する事が可能です。

 

こうした記事を書いているのも、自然にあるものは、日々変化していくことが当然であって、いつまでも変化しないものは、不自然であるという目をもつことが大切だと思っているからです。

いつか、「味噌は買う時期によって味が違うよね」こんな会話が日常になる社会になればいいなぁと思っています。

 

ここまで、味噌についてウンチクを述べたのですが、実は、数年前、大豆1万円分ほど仕込んで、腐敗させてしまった事があります。

腐敗に進んでしまった大豆を前に何度も拝んで見ましたが、発酵には戻ってくれませんでした。

こんな経験をすると、「大寒に味噌を仕込め!」と先人達がいい伝えてきた言葉の意味が深く心に刺さるのです。

渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する元小学校教諭。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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