山菜「こごみ・コシアブラ」等が苦い理由から暮らし方を考える

【読み物】自然の営み
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渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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まだ2月だと言うのに、「菜の花」をいただきました。

大寒を過ぎ、「菜の花」をいただいて、ゆっくりと春に向かうのかなぁ…なんて思った矢先に寒波がやってきました。

まさに三寒四温。

きっと少し早まってしまった「菜の花」も不意打ちの様な寒波にジッと耐えているのだと思います。

そんな菜の花に思いを寄せて、

  • 春の山菜が苦い理由
  • 山菜と共に暮らしてきた日本人の暮らし方

を詳しく見ていきましょう。

なお、「大寒」って何?って思った方はこちらの記事も読んでみてください。

こごみ・ふきのとう・コシアブラ等どれも美味しさが複雑で難しい

子どもの頃、春がやってくると、祖父や祖母がたくさんの山菜をとってきたものです。

「今夜は、ご馳走だなぁ。」そう言いながら、

ワラビ・タラの芽・ユキノシタ・コシアブラ・菜の花など…たくさんの山菜が台所に並べられます。

祖母の口癖は、

「こういう山菜をしっかりと食べたらなぁ、病気せえへんで。」

そう言って、嬉しそうにしているけれど、子どもの私にすれば、何がご馳走なのかもわかりません。

子どもにすれば、不味いお薬を食べさせられる様なものだったのです。どれを食べても似た様なもので、ただ苦いだけです。

周りの大人は、夕食時にお酒を呑みながら、「あぁ春の香りだねぇ…」なんて言って嬉しいそうにしているけれど、お酒もなんだか臭いし、山菜は苦い。

そんなものが美味しいなんて感じる大人は変な生き物にしかみえませんでした。

そんな頃から、「なぜ、山菜は苦いのだろうか?」なんてことを良く考えたものです。

なぜ、山菜は苦いのだろうか?【生き物の本質を見る】

山菜の苦味を美味しいと感じる様になったのは、何歳の頃だったのか全く覚えていませんが、今は、山菜の苦味が大好きです。

今では、春になると、例年、山菜を採りに出かけ、採れた山菜で夕食を楽しみますが、これは「山菜」たちからすると困った現象とも言えます。

春の山菜、こごみ・コシアブラ・タラの芽など全てが苦い理由

植物にとって、冬はとても辛い季節です。

ですから、冬の間は行動せずに、春になるのをじっと待ち、春の訪れを感じると同時に、一斉に芽を出します。

ところが、山の動物達にとっても冬は辛い季節であり、雪解けと同時に食べ物を探し始めます。

この時、柔らかな草木の芽が甘く・美味しければどうなるでしょうか…

つまり、

春の山菜は動物達から身を守るために苦味をもっている

のです。

別の言い方をすれば、動物達が好んで食べない様に毒をもっているとも言えるのです。

植物に脳はありませんが、自分たちの子孫を繁栄させるために、見事な機能をもっているということが分かります。

なお、「大根が辛い」というのも、深い理由があります。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

山菜の苦味の成分は、毒なのか?

この様に、「春の植物が命を守るために苦味をもっている」としているのに、私たちが食べても本当に問題がないのでしょうか。

一般的には、この命を守る苦味を「アク」と呼び、私たちは、ある程度「アク」抜きをしてからいただきます。

「アク抜き」でもっとも有名なのが、タケノコではないでしょうか。

では、この苦味の主な成分は何でしょうか。

代表的なものは、

  • ポリフェノール類
  • アルカノイド類

で、これらは、抗酸化作用や体内の不要なものを排出する作用があると言われています。

つまり、私たち人間も活動量の少ない冬から春になり、活動量を増やして行かないといけない時に、

山菜の苦味を食べて、冬に溜め込んだものを排出させる

必要があるということです。

きっと先人は、こんなことを体感しながら、「山菜を食べると元気になるで」などといい伝えてきたのでしょう。

こう考えると、「多くの子どもが山菜の美味しさが分からない」というのも納得できます。

子どもは冬でも活動量は変わらない上に、代謝も非常に良いので、山菜を摂る必要もないのです。

今、社会はSDGsなどに向けて、様々な取り組みをしていますが、こうして見ると、自然が作りあげてきたルールは、私たちが懸命に考えるものよりも遥かに優れていると感じます。

山菜は、素晴らしいものだから必ず残すという発想

山菜からすれば、「いい成分を含んでいるけれども、人間に食べて貰うために芽を出したんじゃないよ。」ということになります。

そんなことも、先人は十分理解していたのでしょう。

現代でも、山菜を愛する人は、

来年のためにも必ず、新芽を残す

ことを大切にしています。これを、長い期間、ずっと守り続けてきたために、現代でも春に苦味を楽しむことができるのです。

ただ、近年では、根こそぎ収穫された形跡が見られることがあります。

非常に残念に感じるのですが、これは、「今すぐに」が重宝される時代になったことも関係している様に感じます。

今一度、「これから先」を見る視点を取り戻す必要があると感じます。

山菜を楽しみつつ、急がない暮らしを満喫する

以前は、「もっと早くできたらいいのに…」と思うことがたくさんありました。

  • 目的地に移動する・誰かに会う。
  • 書類を整理する。
  • 文書を送る。など

もちろん、現代でも「もっと早く…」と思うことはありますが、かなりのことが、相当なスピードで実現する様になりました。

例えば、「手紙を送る」にしても、今は、封筒に入れて、宛名を書き、切手を貼る…なんて作業をする必要はありません。

では、その分、私たちの暮らしにゆとりは生まれたのでしょうか。

便利になった一方で、私たちは「短期的な視点」で物事を見る様になりつつあり、忙しさを増している様に思うのです。

こんなことを考えると、少し時間がかかる自然と共に暮らすことが、心の余裕を生み出すのではないかなぁ…なんて思うのです。

大好きな山菜のシーズンが終わっても、また来年、楽しんだらいいじゃないか?

そんな風に感じられる人・家族が増えるといいなぁと思います。

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