子ども部屋は狭くてもOK!子ども部屋の意味を深く考える

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北村美千代

数々の店舗、住まい、文化財の新築・修繕のプランを行う。自由度が低く、制限があればあるほど建物のプランを考えるのが楽しくなってくるという習性がある。プランを考えている時間が至福の時間。

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住まいづくり(新築・リノベーション)をする際に、子ども部屋をどうするか?ということも検討する必要があります。

よくある疑問は、

  • 子ども部屋はどのくらいの広さにしたらいいだろう?
  • 子どもが大きくなったら間仕切りを入れることもできる?
  • そもそも、子ども部屋って何歳くらいから必要なんだろう?

この様な内容が多いですが、まず、深く考えたいことは、

子どもがどの様に成長するのが理想的か?

ということを整理する必要があります。

もちろん、ご兄弟の人数・住まい・敷地の広さなどによっても「子ども部屋の作り」は大きく変わるので、正解というものはありませんが、これまでの経験を通して、感じたことをまとめておきます。

結 論

子ども部屋は狭くても問題はない
広い敷地があっても、ご家族の意向を聴きながら、子ども部屋を狭くすることを敢えて提案する場合もあります。

なぜ、その様に考えるようになったのか解説します。

 

【子ども部屋の存在】歴史的に簡単に振り返ってみる

何か考えないといけないことがあった場合、歴史を振り返るということはとても大切です。

時代背景・技術力などは現代と異なりますが、人が考え・行ったことに対する一般的な答えがそこにあるからです。

ここでは、とても簡単にまとめておきます。

もともと日本には子ども部屋という発想もなかった

古民家などを見れば分かる通り、日本の住まいはとてもシンプルでした。

  • 大きな土間があり、そこで炊事を行う(台所)
  • 囲炉裏のある部屋に家族が集う(居間)
  • 寝室
  • 客間(応接間)

この様な作りの家が多く見られました。

ただ、明治維新後に西洋建築の考え方が広まり、「客間が異常に広いのに対して、寝室がとても小さい。子どもが居間に寝ているなんてとんでもない。」という風潮が広がりました。

豊かな人が西洋の考え方を取り入れ、西洋風の子ども部屋のある住まいを作っていったというのも、子ども部屋のある住まいが一気に増えた要因の一つです。

確かに、一般的な家庭に大きな客間があり、家族は客間を除いた空間で生活をしているのは、不合理だと考えることができます。

それと同時に、

「子ども部屋がない」というのは、「子ども自立を妨げることになる」

とも言われました。

確かに、自分で管理する空間があるということは、上手に活用すれば自立への一助になるという風に考えることもできます。

ところが、江戸末期から明治・大正にかけて子ども部屋のなかった方々は、自立性が弱かったか?と言われれば、疑問が残ります

 

古民家から学べることもたくさんあります。

古民家風の住まいと近代的な新築の暮らし方の見えない違いとは?
これから住まい作りを考えていきたいという方から、ご相談をいただくことがあります。それぞれ、事情や要望は様々ですが、まとめると次の様な悩みになります。最新の技術を存分に生かした機能的な住まいがいいのか?従来からある技術・考え方を活かした住まい

 

近代に入って、子ども部屋に対する賛否が分かれる

子ども部屋の歴史と現代の比較から見る現代の子ども部屋観より引用(http://soc.meijigakuin.ac.jp/image/2019/04/2018-mh.pdf)

1980年代からは、不登校・引きこもりといった、子どもの問題が顕著になります。

一言でその要因を表現することはできませんが、

  • 快適な子ども部屋があるから、そこから出るのが嫌になる。
  • 部屋に鍵がついていて、親は子どもが部屋で何をしているのか分からない。

という批判的な声も多くなってきました。

特異な例として、子ども部屋に冷蔵庫やテレビ・ビデオも完備されている様子をメディアが批判的に取り上げる様子も多く見られました。

だからと言って、現在、30代〜50代くらいの方の多くが、不登校・ひきこもりだったという訳ではありません。

つまり、

子ども部屋の有無よりも子ども部屋をどう使うのか考えることが大切

ということです。

分かりやすくするために、極端な例を挙げると、

正しく使えば包丁は素晴らしい料理を作る道具にもなりますが、誤った使い方をすると、凶器にもなりうる。

ということです。

子ども部屋も同じことが言えるのではないでしょうか。

だからこそ、私は、

子ども部屋をどんなものにするか考える際には、どんな子どもに育てたいか

を一手間かけても整理することが大切だと考えています。

実は、欧米から入ってきた子ども部屋の考え方ですが、少々歪んだ形で認識されてしまったのです。

 

本来、子ども部屋とは「子どもの寝室」

空気がうまい家®︎(小さな書斎)

空気がうまい家®︎(小さな書斎)

何事も欧米の考え方が正しいというわけではありませんが、欧米の考え方には「子ども部屋」という概念がありません。

「子どもの寝室」という考え方であって、「子どもは子ども部屋で過ごしなさい」というものではありませんから、帰宅するとすぐに子ども部屋に入るという感覚とは違います。

いずれにしても、大なり小なり、子ども部屋というものを設けるのであれば、

  • 子どもがどの様になれば理想的なのか?
  • 家族がどの様な過ごし方ができれば理想的なのか?

を考える必要はあります。

 

元気であって好きなことを楽しめて、自立できる子が理想

私がこれまで出会った家族の子どもに対する理想はまとめると次の通りです。

  • 元気に過ごして欲しい
  • 好きなことを楽しめる子であって欲しい
  • いずれしっかりと自立して欲しい

当たり前だと言えば、当たり前のことですが、これを支える住まいを作るには、多くのことを考える必要があります。

元気に過ごすための子ども部屋・住まいの工夫

【実例】空気清浄機の効果でシックハウスを抑える事ができるのか?で紹介していますが、室内の空気の質によって、アレルギー・アトピー・化学物質過敏症に悩まされている子はたくさんいます。

実際に、この記事のアクセスも多く、

  • どんな空気清浄機を選んだいいですか?
  • 自宅は空気環境に配慮した建材で建てましたが職場のリフォームによって苦しくなりました。

などの質問や感想をいただいています。

どんなに素晴らしい住まいを建てても室内の空気環境が悪く、快適に過ごすことができないのであれば全てが台無しになってしまいます。

まずは、長期的に安心して生活できる空気環境を作ることはとても大切なことです。

【体験談】化学物質過敏症の解毒方法【何科に行けばいい?】の記事も参考になると思います。

 

好きなことを楽しめるようになるにはコミュニケーションから

人にはそれぞれ好きなことがあり、家族であっても好きなことは異なります。

では、「好きなこと」は何がもととなって誕生するのでしょう。

例えば、

  • 育った地域の環境(鳥がたくさんいたから鳥が好きになった)
  • 出会った人の影響(出会った先輩の影響を受けて釣りが好きになった)

概ねこの様な感じだと思います。

勿論、本やYouTubeに大きな影響を受けて好きなことができた!という場合もありますが、本やYouTubeの向こう側にも人がいます。

そう考えると、人が何か好きなものを見つけ、それを楽しめるようになるには、人と多く触れること・多くの地域に触れることが大切だということが分かります。

 

いずれ子どもは自立していく

自立という言葉は、意味の範囲があまりにも広く、どういう状態か明確にするのは難しいですが、敢えて、端的に表現するなら、

成長した後、自力で食べていくことができ、新しい家族を養えるようになる

ということです。

この様なことができる人に成長するためには、どの様にすればいいのか?というのは、人類の永遠の課題かもしれません。

ただ、自分を成長させるためには、学校の勉強に限らず、様々なことを学ぶ必要があります

その学びの根源もやはり人との関わりが深く関係しているようです。

ダ・ヴィンチニュースに次のことが書かれていました。

子どもの読書量が多いと、家族との会話も多くなる
子どもの余暇時間の過ごし方について調べたところ、読書量が多い子ほど「家族との会話・団欒」を楽しんでいることが発覚。1カ月の読書量が0冊の子どもは約20%の選択率に対して、読書量が6冊以上の子どもは50%を超えているのだ。

https://ddnavi.com/news/248211/a/ より引用

https://ddnavi.com/news/248211/a/ より引用

 

家族との団欒が多ければ、当然、興味・関心を寄せるジャンルの幅が広がっていくことは、十分想像できるはずです。

また、最近では、リビングでの学習が見直されたり、リビングで過ごす時間が多い子どもほど、家事を楽しめるようになるといった報告も見られるようになってきました。

 

ここでは、育児について簡単に触れてみましたが、これらの事を大切にするのであれば、

子ども部屋は広くする必要がなく、その分、リビングや他の共有スペースを設ける

というのも一案となります。

 

大きな住まいだけど、子ども部屋を小さくした事例

子ども部屋を小さくするというのは、敷地が狭い場合にとても有効ですが、この様な考え方を伝えると、敷地が広くても「子ども部屋は狭くてもよい」と言われる方もいます。

上の写真は、京都市内で空気がうまい家®︎仕様にフルリノベーションをしたお住まいです。

見ての通り、京都市内では驚くほどの大きな住まいですが、子ども部屋は「子どもの寝室」として、設計をしました。

  • 子ども部屋は4.2帖(寝室として利用)
  • 勉強をするスペースは部屋の外(造作家具)
広い敷地だけど子ども部屋を小さくした事例・空気がうまい家仕様にリノベーション

広い敷地だけど子ども部屋を小さくした事例・空気がうまい家仕様にリノベーション

 

子どもの成長段階によっては、「一人になりたい」ということも出てくるかと思います。

そんな時にも一人になれる空間は確保しつつ、家族と多くのコミュニケーションが取れる状態を確保するという視点をもつことは大切だと考えています。

建築家の横山彰人氏は、子ども部屋の存在、使い方について次の様に言われています。

テリトリー意識や自我形成の兆しが出てきたら、おもちゃのコーナーやお絵かきの場を与え、少しずつ整理の習慣をつけさせていく。ダイニングやリビングルームに、読書や勉強のコーナーを設けたりしながら、自分でスペースを管理するルールを躾け、自立の状況を見ながら、自立の状況を見ながら、子どもに必要な専用空間を与えていくというプロセスが、本当は必要なのだと思います。

危ない間取り(新潮社・横山彰人)より引用

 

インターネット上には、「子どもが何歳になったら子ども部屋を与えますか?」などいうアンケート結果なども掲載されています。

けれど、子ども成長は例え、兄弟であっても大きく異なるために、一概にこうだと決めることはできません。

いずれにしても、家族のコミュニケーションを中心に子ども部屋というものを考え、与えて終わりではなく、どう使うのか?というところまで、あなたと一緒に考えていきたいと思います。

 

長々と最後までお読みいただきありがとうございます。

「カフェで仕事をすると自宅でするよりはかどる」という話をよく聞きますが、他人の目があるというちょっとした緊張感があるからじゃないかなぁと思います。

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