設計士が語る理想の家とは?素材さえも愛してしまう家を建てたいです。

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北村美千代

数々の店舗、住まい、文化財の新築・修繕のプランを行う。自由度が低く、制限があればあるほど建物のプランを考えるのが楽しくなってくるという習性がある。プランを考えている時間が至福の時間。

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もし、あなたがリフォーム・リノベーション、または新築をするとなるとたくさんの人が関わる事になります。

大工さん・電気屋さん・水道工事屋さん…いろいろと思いつくかもしれませんが、今回は設計士さんの仕事を紹介します。

また、設計士の目線から見るとどんな住まいが理想的なのでしょうか。

滋賀県で空気がうまい家®の施工されているいずみ設計事務所の森亜紗美さんにお話を伺いました。

 

そもそも設計士さんってどんな事をするのがメインの仕事ですか?

いろいろしないといけない事はありますが、基本的には、お客様のご希望を聞いてまずは図面にする事がメインの仕事になりますね。

まとめるとこの様な感じです。

  • 敷地の測量
  • 地域ごとに異なる建築に関する法の調査
  • お客様がイメージしやすい図面の作成
  • 建築確認申請などの書類の作成
  • 強度を保つための構造計算
  • 施工に関わる人が見るための施工図の作成

注目したいのは、これらの仕事の全てを設計士さんが全て終わらせたとしても、この段階では、敷地には何一つ建造物ができていないと言う事です。

つまり、施工に入るまでに法的にクリアしないといけない事が多々あると言う事です。

ここでは、その一部を紹介します。

 

建築確認申請って何ですか?

いくら自分の土地だからと言って、何を建ててもいいと言うわけではありません。

極端に言うとね、30 階建てのビルをいきなり建てると、周りの人が困るわけです。

また、藁が大好きだー!って言う方が藁の家を勝手に作ると、近所の方は火事の事が気になるわけですよね。

そうした問題を防ぐために、それぞれの土地に応じてどんな条件で住まいを建てないといけないのか?法律でいろいろ決められているわけです。

ですから、施工をする前に、こんな建物を建てるつもりですけど、いいですか?って申請をしないといけないんです。

 

構造計算って難しそうに聞こえますが、何を計算するのですか?

建物を作ったけれども、すぐに壊れてしまいましたって言うのは大問題です。

場合によっては、人の命も奪ってしまう事になりますから、建物の強度を考慮しながら構造を考えるわけです。もちろん、多くの人が心配される地震の問題についても、どのくらい建物が歪んでも大丈夫なのか計算もしています。

例えば、「めちゃめちゃ広々リビングがいい!!」ってお客様が希望を出されたとしましょう。

ところが、広いリビングにすれば、当然、柱や壁の量が減ってしまいます。

そうなると、強度が落ちる事が考えられますよね。

だからと言って、部屋数を多くしたり、柱の数を増やせば丈夫になるかも知れませんが、今度は使いにくい家になってしまいますよね。

建物の強度を保ちながら、できる限りお客様の希望に沿ったプランを考えるための計算が構造計算だと思っています。

 

設計士をしていて大変だなぁ、難しいなぁと思う事は何ですか?

よく、確認申請の手続きや、構造計算が大変じゃないか?って言われるのですが、実はそこではないのです。

一番、難しいなぁって思うのは、お客様の希望を引き出す事です。

例えば、「広々した明るいリビングにしたい!」と言われても、広々の程度って人によって全く異なりますよね。

で、さらに重要なのは、お客様が言葉にしない部分だと思うんです。

なぜ、このお客様は「広々した明るいリビングがいいのか?」っていう部分がとても大切だと思うのです。

  • 来客が多いから広々した空間でリラックスして欲しい
  • 家族の団欒をとても大切にしているからリビングを広くしたい
  • 子どもの頃の家が狭かったから広々したものに憧れを感じる

などいろいろな理由が考えらます。

つまり、広々した明るいリビングでどう過ごすのが理想的なのか?まで引き出す事ができないと、満足してもらえる設計ができないのです。

お客様が言われた事の意図や背景まで汲み取りながら仕事を進める事は難しいなぁって思う事も多いですが、ここが最高に楽しい部分でもあるのです。

 

なぜ設計士になろうと思ったのですか?

実は、子どもの頃、家を新築したのです。

ところが、楽しみだったはずの新築の家が結構いろいろと問題がありまして…。

もっと、間取りはこんな風にしたら良かったんじゃない?

収納はこうした方がいいじゃない?

なんて、感じ始めたのが原点ですね。

だから、私が設計した建物では、絶対に子ども頃私が感じた不満のようなものを感じさせない!っていう変な意地みたいなものもありますね。

 

これからどんな風に仕事をして行きたいですか?

やっぱり、空気がうまい家®をたくさん建てたいですね。

建築に関わる仕事をこれまでしてきましたが、お客様が建材が大好きっていう建物ってそうないですよね。

例えば、建て具などは、LIXILのものがよく使われますが、「私はLIXILがたまらなく好き!」とか、出来上がった住まいで「やっぱりLIXILがいいよね。」ってしみじみ言われる事ってないですよね。

LIXILが悪いって事じゃなくて、まぁ普通に使われているって感じですね。

でも、空気がうまい家®に住まわれている方って、間取りがいいとか、デザインが優れているって話をする前に「やっぱり音響熟成木材っていいよね。」とか「幻の漆喰って凄い!」って言われるじゃないですか。

お客様が素材まで好きになってしまう空気がうまい家®っていいなぁって思うんです。

 

人も同じだと思うんです。

どれだけ高級ブランドの服やアクセサリーで着飾ったとしても、その人らしらっていうものは出てくるものです。

そう考えると、住まいも、見た目だけにこだわり、綺麗・豪華に見せる事はできますが、そんな住まいに本質的な魅力はありません。

住まいを作る材料がいいものであり、そこで生活する人が暖かい気持ちでいてこそ、初めて本当に素晴らしい住まいが誕生すると思っています。

 

インタビュー・執筆 北村美千代

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