居心地のいい住まいを作るヒント【心地いいが誕生する理由】

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北村美千代

数々の店舗、住まい、文化財の新築・修繕のプランを行う。自由度が低く、制限があればあるほど建物のプランを考えるのが楽しくなってくるという習性がある。プランを考えている時間が至福の時間。

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誰でも住まい(店舗)を新しくしたい…と考えた時に、「居心地の良さ」も当然求めるはずです。

ところが、「居心地の良さ」と言っても曖昧です。

家族であってもその感覚が異なるために、意見が異なる場合もあります

それでも、様々なアイディアを出しながら、家族全員が納得できる設計をしていく必要があります。

私が設計をする場合、お客様のご家族の話を聞いて、方向性がまとまりにくいなぁと感じた時は、一旦原点に戻るようにしています。

その原点は、

心地よさと日本の気候・地形と深い関わりがある

ということです。

この事を理解した上で、住まいと居心地の関係を見ると、より深い家づくりができます。

住宅展示場やモデルハウスなどを見に行かれる時の参考にしてください。

 

「居心地の良さ」は育った環境によって大きく変わる

「グローバル社会なのに、日本って部分を意識するの?」という質問を受けたことがありますが、一例を挙げると、次の様な感覚の違いがあります。

  • 日本には、噴水が少ないが、滝・清流を好む人は多い。
  • 西洋には、至るところに噴水がある。

海外に出かけて、上の様な噴水を見ると、いいなぁ…と感じるでしょう。

ところが、この噴水を日本に作ってもなんだかしっくり来ないはずです。

仮に水に関する何かを庭に作るのであれば、滝や荒々しい水の流れ、静かな池を作った方が風情があると感じる人が多いでしょう。

滝や荒々しい水の流れの方が風情があるという感覚はどこから来るのでしょう?

日本の地形は山が高く、川がとても短いために、滝や激しい川の流れと付き合って生きてきました。

触れる回数が増える中で、「なんとなく格好いい滝・なんとなく格好いい流れ」の様なものを認識して、現代に至っています。

 

滝と噴水の例で話をしましたが、居心地のいい住まいを作るのであれば、この「なんとなく格好いい」の原点も踏まえる必要があります。

居心地の良い住まいの「居心地」は音で考えても面白い

居心地のいい住まいを考える前に、心地いい音にも目を向けておきましょう。

これまで、人類は様々なものを作り出してきました。

プラスチック・燃えない服・鉄・セラミック…例を挙げればキリがないほどです。

 

ところが現代でも、弦楽器のボディーは木で作られることがほとんどで、「心地いい音」を出す楽器のボディーには必ず木が使われています

以前、ピアノを作る職人さんに話を伺ったことがありますが、ピアノのボディーを木で作るのも、木以外の材料では心地よい音が作れないからだそうです。

つまり、今の段階では、

木の代わりになる材料が存在しない

ということです。

 

この話を別の視点で見ると、

木で作った弦楽器の音を人は「心地いい」と感じるようになっている

とも言えます。

昔から木に弦を張って音を出してきた音色が、現代でも「心地いい」になっているのです。

日本人が滝や激しい流れになんとなく風情を感じるのと同じで、身近にあるものを利用した時に「なんとなく心地いい」が生まれます。

 

さらに、不思議なもので、アメリカで作られた楽器は、アメリカで最も心地いい音を出し、日本で作られた楽器、琴などはやはり日本で最もいい音を出すそうです。

現代のミュージシャンも「アメリカでレコーディングをする」というのも、この感覚からくるものだと納得できるのではないでしょうか。

 

ここで紹介したものは、一例ですが、私たちが「なんとなく良い」と感じるのは、日本の気候や地形と深い関わりがあることがわかります。

 

「心地いい住まい」を作ることは日本の気候・地形・文化を見ること

実は、私たち日本人にとって、木目は「なんとなくいい」を感じさせてくれる重要なものです。

一方、南国の人にとっては、あまり木目は重要ではありません。

 

木目の美しさに目がいくのは日本人の特徴

木目がほとんど見えない一般的なフローリング

木目がほとんど見えない一般的なフローリング

住まいの西洋化が激しく進んだ頃は、「年輪や節」は邪魔な存在として扱われる風潮がありました。

その為、現在でも木目が自由にコントロールできる一般的なフローリング(複合フローリング)には、年輪が薄く、節がないものがほとんどです(上の写真)。

年輪や節が邪魔者になってしまったのも、暖かい国で育つ木は、はっきりとした年輪を作らないためです。

ところが、最近では大手ハウスメーカーさんも年輪・節を敢えて見せる様になってきました

積水ハウスの事例でも、節が出ることを気にせず木を利用されているものもあります。

積水ハウス建築事例

https://www.sekisuihouse.co.jp/kodate/works/detail/0175/ より

はっきりとした木目ができるのは、日本に四季があるために木の成長速度が季節によって大きく変化するためです。年中暖かい国・寒い国の場合は、成長速度が概ね一定のために年輪ははっきりしにくい傾向があります。

 

私たちが何となく、滝や激しい流れに風情を感じ、木で作られた楽器の音色が「なんとなく心地いい」と感じるのは、日本の地形・気候・文化がもたらしたものです。

木の年輪・節も本来、私たちにとって身近な存在だったために、風情を感じるのです。

あまりにも長い歴史の中で培われてきたものなので、この感覚が大きく変わるということは、早々ないでしょう。

 

私が設計をするときに意識する「居心地の良さ」

年輪や節も気にせず使用(空気がうまい家®︎)

年輪や節も気にせず使用(空気がうまい家®︎)

私たちが感じる「なんとなく居心地がいい」の原点は、地形や気候とも深い関わりがあります。

当然、それだけではないので、

  • 生まれ育った環境
  • これからどの様な家族生活・子育てをしたいか

なども伺いつつ、打ち合わせの際には、暮らし方の好みなども見る様にしています。

この辺りの「なんとなく心地いい」は、図面にも反映されないほど小さなことですが、その小さなことの積み重ねが「なんとなく心地いい」につながるのです。

住まいの性能は、年々向上してきています。

私たちの生活も日に日に便利になってきていますが、研究され尽くしたコンビニのおでんよりも、ふるさとで食べるおでんが「なんとなく美味しい」と感じるのと同じような感覚は、住まいづくりでも大切にしたいものです。

 

住宅展示場やモデルハウスを見学に行く際、機能面に目が行きがちですが、「日本らしさ」の様なものが感じられるかぜひ探してみてください。

これは、とても地味な作業になりますが、これから長いお付き合いをすることになる住まいですから小さな良いところを探してみることは、居心地の良さを追求する上で必要なことです。

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