マンションのリノベーションが終盤にさしかかっています。
これまでの流れを簡単にまとめると、次のようになります。
- 解体
- 間取りの変更(壁の骨を作る)
- 電気・ガス・水道の配線・配管
- 床(音響熟成木材)を敷く
- 住設機器の搬入
- 壁面を作り、幻の漆喰を塗る←この記事はここ
これらのさらに詳しい内容は、こちらから見ることができます。
今回は、
どのようにして「幻の漆喰®︎」が塗られるのか?
について紹介します。
また、この記事の最後に、幻の漆喰が塗られる過程を動画で掲載しています。
なぜ、幻の漆喰を塗るのか?
これまでの様々な記事で触れていますが、
一般的な住まいの場合、天井も床も壁も自然なものではありません。
塗装された床に、ビニルクロスで仕上げられた空間に囲まれて、日々過ごしています。
「確かにそうだようなぁ…そう言われると不自然ですね。」
と言われる方もたくさんいらっしゃいます。
ところが、これらを用いるメリットもたくさんあります。
- 施工期間がかなり短くなる。
- コスト(材料費・人件費)を抑えることができる
ところが、「新築の臭い(揮発した化学物質)」と共に過ごすことになってしまいます。
その結果、目が辛い、鼻水が出る、頭が痛い…という症状を訴える方が急増してしまいました。
せっかく、部屋を綺麗にしたのに、居心地が良くないのはとても残念です。
そこで「住まい」は、何のためにあるのか?
原点をもう一度見直し、私たちは、
心地よく、安心して生活できる場所が住まい
だと考えるようにしたのです。
ですから、クロスは、使用せずに、幻の漆喰®︎を塗るのです。
ビニルクロスを貼る時に用いるものは?
一般的な住まいの場合、壁面はビニルクロスで仕上げます。
当然、壁の下地とビニルクロスを接着させるときに、接着剤が用いられます。
現在は、その接着剤にも次のような基準が設けられています。
基準値以下となる接着剤を使用しなければならない
「こうした基準をクリアしているから、クロスでも大丈夫じゃない?」
私たちもこれまで、こうした声をたくさん聞いてきました。
けれど、居心地の良さにこだわる方や子ども健康や成長について意識の高い方は、次の様な理解をされています。
法律でホルムアルデヒドの発散量の基準値が決まっているなら、安心して使えるじゃない?
確かにそうだけど、
食べ物と同じだと思うんだ。
どういう事?
インスタントラーメンだって、
食べてもいいものとして発売されているでしょ。
だからって、インスタントラーメンばかり食べていたら、不健康になっちゃうでしょ。
だから、健康的でいたい人は、滅多に食べないよね。
正直、法の規制が甘いなぁ…と感じることもありますが、
これだけは何が何でも守って欲しい…というレベルが法の規制だと思っています。
だから、幻の漆喰®︎しか使用しません。
室内の居心地にこだわっていますから、壁面には、幻の漆喰®︎しか用いません。
時々、幻の漆喰®︎以外の他の漆喰でもいいですか?と質問を受けることがありますが、次の理由で、幻の漆喰しか使用しないのです。
真っ白で綺麗な雑巾もやがて汚れてしまいます。
そして、汚れた雑巾で、いくら清掃をしても綺麗にならないのは当然です。
汚れた雑巾は、綺麗に洗わないと、雑巾としての役割を果たすことはできません。
住まいも全く同じで、
自然素材にこだわり、様々なものを吸着する炭を床下に敷き詰めても、いつかは、吸着できる能力の限界に達してしまいます。
これでは、経年と共に、居心地が悪くなってしまいます。
つまり、汚れた雑巾と同じようになってしまうのです。
建物がいくら自然素材でできてていも、生活を始めると次の様なものから、化学物質が発生します。
この問題を乗り越えたものが、幻の漆喰®︎です。
幻の漆喰®︎は汚れた空気を吸着しても、自力で分解をすることができるために、常に綺麗な空気を維持することができるのです。
もしかしたら、そんな不思議な現象は信じられない!と思われるかもしれませんが、
そんな方は、山の木々や落ち葉を見てください。
自然は、ちゃんと必要なものは残し、不要なものは分解し続けてきたのですから。
こちらに、空気を綺麗に保つための吸着と分解について詳しく書いています。
また、幻の漆喰®︎の研究・開発をしてるメーカーのページはこちら
幻の漆喰®︎はこの様にして塗られていきます
実際に、今作業を行っているマンションで、どの様にして漆喰が塗られていくのか、紹介します。
幻の漆喰®︎には当然、化学的な接着剤が配合されていませんので、とても柔らかいです。
その為、通常の漆喰を塗るよりも塗るのは難しいそうです。
①下地塗り
直接、幻の漆喰を壁面に塗ることもできますが、それではどうしても幻の漆喰の乗りが悪くなってしまいます。
ですから、この様にして下地(土)を薄く壁面に塗っていきます。
②1回目の漆喰塗り
職人が時間をかけて幻の漆喰を塗っていきます。
漆喰は、時間とともに硬化していきますが、その際に少し収縮してしまいます。
ですから、この後、仕上げにもう一度塗る必要があります。
③2回目の漆喰塗り(仕上げ)
この時に模様を入れるなど、様々なスタイルで漆喰を塗ることもできます。
お子さんがいらっしゃるご家庭では、こうして記念に手形をつけられる方もいらっしゃいます。
様々なスタイルで楽しむことができる漆喰ですが、生活をスタートさせられた後に、何かの拍子に漆喰が一部剥がれた…ということがあっても、ご自分で補修ができるように、ランダムなスタイルで塗ることを希望される方が多いです。
幻の漆喰が塗られる過程
これまでの過程を簡単に動画でまとめました。
幻の漆喰の柔らかさも感じていただける嬉しいです。
漆喰だって結局は接着剤が使われているのではないか?
漆喰が壁面にしっかりとつくということは、漆喰にだって接着剤が入っているのではないか?と疑問にもたれる方もいらっしゃいます。
確かに、ホームセンターなどで販売されている漆喰には、接着剤が入っています。
誰でも簡単に塗ることができるように作られているのです。
ところが、漆喰の歴史はとても古く、日本では縄文時代の遺跡からも発見されています。
と、いうことは、接着剤がなかった時代にも先人は、なんとか工夫をして物作りをしてきたということです。
先人達は、海藻を用いて漆喰に粘り・とろみを出すようにしていたそうです。
そうした知恵も借りながら、幻の漆喰は、天然素材だけで作られたものです。
ということは、少しデメリットもあります。
天然素材の接着力は、化学的な接着剤にはかないませんから、柱の角などは、何かを強くぶつけてしまうとポロっと剥がれてしまうことがあります。
とは、言っても、欠けてしまった所に、また幻の漆喰を塗っておけば、数日もすれば、跡形も分からなくなります。
クロスの場合、綺麗に補修をしようと思うと、一面新しく貼り直す必要があります。
そう考えると、幻の漆喰壁の補修は、とても簡単です。
(上の写真の補修の様子は、また改めて紹介します)
子どもの頃は、年末になると祖父が、障子を張り替えると言って、ご飯粒をノリのようにして使用していました。
もちろん、その日は、手伝わされるので遊べなくて嫌だなぁ…と思ったのですが、今、こうして住まい作りに関わっていると、改めて先人の知恵に感心させられることばかりです。