たくさんの子ども達と関わっていると不思議に思うことがあります。
一般に良いと言われていることと矛盾している点が多々あります。
具体的には次の通り。
- Aくんの服装は季節感が大してなく、冬でも夏の様な格好をしているのに発熱で学校を休むことはない。
- Bさんは、季節に応じた服装をし、室内では上着を脱ぐなど小まめな調整をしているにも関わらず、時々発熱で学校を休む。
よく冗談で「アホは風邪をひかない」と言われますが、Aくんの様な子は常に元気でいるイメージがあなたにもあると思います。
その理由は、Aくんはとても元気だから…と言えばそれまでですが、Aくんがなぜ元気なのか?その要因を考えてみることはとても大切です。
これまで、4校の小学校で子ども達と関わってきましたが、どの学校の子も意外とざっくばらん(うがいはしない、手洗いも雑、服装も適当)な子の方が欠席日数が好くなかったものです。
不思議に感じたので、それぞれの学校の養護教諭に話を聞いたり、体調が悪くなりやすい子の朝食を調べてきたので、そこから見えてきたことを紹介します。
結論
元気な子どもを育てるために知っておきたい大前提
人・動物・植物の身体はとてもよく出来ています。
よく出来ていると感じる部分はたくさんありますが、そのうち、子育てで大切だと思う2点を簡単に紹介します。
怪我や病気をしたところは、次回のリスクに備えてより丈夫になる
ちょっとした怪我や病気程度なら克服する力を誰もがもっています。
分かりやすい例が、おたふく風邪(流行性耳下腺炎)などで、一度かかってしまうと、感染しにくくなります。
また、怪我の場合も、骨折をしてしまった箇所は、修復する時に他の部分より太くなることは知られています。
私が骨折した部分もレントゲンを見ると確かに太くなっていました。
よく使う部分は発達し、使わない部分は退化する
筋肉が最も分かりやすく、鍛えた箇所の筋肉は発達していきます。
脳も似た様なところがあり、例えば、関西弁の地域で生活している子ども達は、上手に関西弁を使う様になりますが、関東に引っ越して数年が経過すると関西弁を話にくくなってしまいます。
近視の人が増えたのも、現代人の生活では、遠くを見る必要性が薄くなってきたからではないか?と考える方もいます。
この様に発達する部分や退化する部分を見るながら、丈夫で元気な子に育てたいと考えた時には、シンプルに、
ということです。
こんな事分かっている!という声もありそうですが、子どもが自らとろうとしているリスクを周りの大人がどんどん取ってしまう場面は、私もたくさんあります。
- 寒いから上着を着なさい!(元気な子は寒さは本当に分からないものです)
- そこは登ったらダメでしょ!
- 危ないから包丁を使ったらダメ!
当然、これらは時と場合によりますが、リスクを取り除き過ぎていないかは、常に意識しておきたいです。
そもそも風邪をひくとはどういう事か?
子育ての経験がある方なら分かりますが、乳幼児の時期には何度も風邪をひくものです。
なぜか仕事が忙しい時に限って、保育園から「熱が38℃もあるんです。お迎えに来てください。」なんて職場に電話がかかってくるものです。
では、なぜ、乳幼児の子は何度も風邪をひくのでしょうか。
風邪をひくというのはこれから社会生活を送るための準備
熱が出た場合、咳が酷い場合、鼻水が酷い場合など…あらゆる症状に「風邪」と言われますが、原因は、外部から体内に侵入するウィルスです。
当然、ウィルスが体内に入ってくると、生命を守るためにウィルスをやっつける作業が行われるので発熱します。
無事にウィルスの退治が終わると同じ被害にあわないように、抗体を作りますが、残念ながらウィルスの種類は様々なので、乳幼児は再び戦いに挑む必要が出てきます。
生後6ヶ月くらいまでは、母親の免疫が機能するので、意外と元気なのですが、母親の免疫が切れると次から次へと風邪をひくものです。
ところが、先に紹介した大原則に沿ってシンプルに見ると、風邪程度のリスクはとってどんどん戦えば、大きくなった時に風邪をひきにくい身体になるという事が分かります。
当然、乳幼児時期に風邪をひいてしまうと親は大変ですが、社会生活を送る上でウィルスなしの環境で生活をすることは現実的ではありません。
そう考えると、
と捉えることができます。
実は、先に紹介したAくんの様な子どもの親御さんに話を聞くと、小さい頃は、散々風邪をひいた…なんてよく言われていたものです。
抗生物質(お薬)で治せばいいじゃないか?
よく〇〇病院に行くと、抗生物質を処方してくれるから良いという話を耳にします。
抗生物質とは、細菌などの微生物の成長を阻止する物質のことです。
基本的には、大きな問題がないとされる抗生物質が出されていますが、細菌や微生物も生き物です。
彼らも生存競争の中にいるために、抗生物質に頼り過ぎると、耐性を作ってしまうために、使い過ぎに気をつけようと言われています。
いずれにしても、子どもが頻繁に薬を飲む風景は、どの親も感覚的に望まないはずです。
子どもが風邪を引きにくい家は本当にいい住まいなのか?
年中ポカポカでとても快適だから子どもも風邪をひきにくい…。
こんな風に言われることがありますが、乳幼児が風邪をひくという現象を丁寧に見ると本当にそれでいいのか?疑問に感じます。
地域性や気密断熱の程度はある程度考える必要がありますが、C値・Ua値が〇〇をクリアしていないといけない!と一概に決めることはとても難しいことだと思います。
さらに、換気システムにフィルターをたくさん搭載し、様々なリスクを取り除いた家での暮らしは果たして子どもにとっていいのか?という疑問を感じます。
近年、アレルギーやアトピー、喘息などの疾患に加え、子どもの体力低下が大きな課題と言われています。
また、精神的な問題を抱えた子ども達も爆発的に増えています。
これらの問題は、快適な住まいが増え続けているにも関わらず、問題は大きくなる一方ですから、機械的に快適な空間を作っても子どもには適さないと言えます。
子どもが元気にたくましく育つには、自律神経を鍛えることがとても重要です。
【育児と住まいの環境】自律神経を鍛え元気な子どもに育てるでは、自立神経がなぜ重要なのか?どう鍛えるのか?について解説しています。
住まいづくりに限らず、この考え方を参考にしてください。
暖かい住まいだから、室内の運動量が増える…とも言われますが、子どもは本来、外で怪我をし、風邪をひき、泥んこになりながら様々なことを学ぶものです。
そう考えると、人間の開発技術に過信しすぎない謙虚な気持ちで住まいを作ることが、子どもにとっていい住まいになると信じています。