最近は、「子どものために自然素材の家にしたい」とお考えになる方が増えてきているように感じます。
実際に空気がうまい家®︎をご覧になって、無垢材(音響熟成木材)の床を気に入られる方もたくさんいらっしゃいますが、よく次の様な質問をいただきます。
先日も本ブログのお問い合わせからもこんな質問をいただきました。
空気がうまい家®︎の家具は本当に塗装・ワックスなどをしなくてもいいのでしょうか。その様な状態で、年数が経過していくと、「傷み」が出てくるのでは?と心配しています。
失礼ですが、何もしなくても問題ないというのが、嘘の様に聞こえてしまいますが、本当に大丈夫なのでしょうか。
こうした質問は、これまでにもたくさんの方々からいただきましたが、
空気がうまい家®︎の
床やダイニングテーブルなどに塗装など余分なものは必要ありません。
- 実際に10年以上、ダイニングテーブルを使われているお客様のテーブルは今どの様な状態なのか?
- 一般的な家具などに塗装が行われる理由とは?
この2点について詳しく解説します。
10年以上、普通に家族で使用されてきたダイニングテーブルの様子
他の記事でもお伝えしている通り、空気がうまい家®︎で使用している音響熟成木材に塗装をすることや、ワックスなどを使用することも禁止しています。
こうしたものを「塗らない方が良いのではなく、塗ってはいけない」ということをお客様には理解していただいています。
なぜ、一般的なメンテナンスを行ってはいけないのか?についてはこちらの記事をご覧ください。
10年以上何も手入れをしていないダイニングテーブル
10年以上、空気がうまい家で生活をされているお客様はこんな話をしてくれました。
空気がうまい家®︎に入居した頃は、上の写真のダイニングテーブルも、赤ちゃんの白い肌のようであり、お茶などをこぼしてしまうと、テーブルにお茶が吸い込まれるような印象がありました。
ですから、当初はランチョンマットを敷いて食事をしていましたが、小さい子どもがいるのに何もこぼさずに生活をするなんて不可能です。
多少、お茶や味噌汁、醤油などをこぼしてしまっても汚れはいずれ目立たなくなるという魔法の様な言葉を信じて、ランチョンマット生活は辞めました。
入居した頃は、下の子どもが1才のころですから、このダイニングテーブルの上には様々なものがこぼれるという事件はありましたが、現在、この様な感じです。
もちろん、塗装をしたりワックスを塗ったこともありません。
けれども年数が経つほど、水をよく弾くようになってきたなぁと感じています。
万が一、どうしても気になる汚れや傷がついた時には?
ところが、実際に生活をしていると何があるか分かりません。
どうしても気になる汚れがついてしまったり、大きな傷がついてしまうということもあります。
そんな時には、表面を削ればいいのです。
削ると言えば大げさですが、塗装もワックスなども塗っていませんから、どうしても…という場合、表面を少し削れば、問題を解決することができます。
まな板が汚れてきた時に表面を削るのと同じです。
では、なぜ一般的な無垢の家具には塗装がされているのか?
家具の塗装について、家具職人さんに話を伺いました。
無垢の味わいを楽しむには、もちろん塗装をしないのが一番いいと思います。
けれども、塗装をしなければ無垢の家具は周りの影響を受けてしまいます。
例えば、剃ってしまったり、ひび割れができてしまったり…
こうした変化を抑制するためにも塗装が行われるのが一般的です。
実際には様々な塗装方法がありますが、ウレタン塗装とオイル塗装がメジャーだと思います。
ウレタン塗装の特徴
一言で言うなら、樹脂で表面をコーティングして本体を汚れや傷から守るという考え方の塗装方法。
表面に幕をはっている状態なので、水拭きがしやすい。
ところが、鍋やヤカンなど熱いものを置く時には注意が必要。
塗装が熱によって変形・変色してしまう恐れがあります。
オイル塗装(オイルフィニッシュ)の特徴
油分を木に浸透させる塗装方法。
塗装に使われる油分は、木の保湿を目的としたイメージで、末長く家具を使うには、定期的にメンテナンスをする必要がある。
油分を内部に浸透させるために、手触りは素材そのものの質感に近いという利点がある。
また、表面をコーティングしていないために、汚れや傷が大きい場合、表面を削って補修することができる。
なぜ、音響熟成木材のダイニングテーブルは無塗装でいいのか?
最初に見た音響熟成木材のダイニングテーブルって、どちらの塗装もしていないでしょ。それなのに、なぜ、何も問題がないの?
本来、木にはたくさんの水分と油分が含まれています。
ところが、水分が多いと建材・家具の材料として使うことができないために、必ず乾燥するという工程が必要になります。
ただ、近年では少しでも早く木を乾燥させるために、機械で乾燥させることの方が圧倒的に多いのです。
高温で乾燥をさせたり、圧力をかけたりして木の水分を抜くと、木の細胞が壊れやすくなり、水分と同時に油分が抜けてしまうのです。
例えば、ホームセンターにいくとこの様な木はたくさん売られています。
あなたも機会があれば、表面を触ってみてください。
なんとなくカサカサで、ほとんど油分がないという印象を受けるはずです。
音響熟成木材®︎の場合、もともと油分の多い杉を徹底した管理のもと時間をかけて自然乾燥をさせているために、何もしなくてもオイル塗装をした様な状態になっているのです。
ですから、経年とともに木材の内部の油分が表面に上昇してくるために、塗装をする必要がないのです。
木材の乾燥に関する記事はこちらをお読みください。
まとめ
一般的な無垢の家具に塗装が行われている理由と空気がうまい家®︎(音響熟成木材®︎)に一切塗装がされていない理由について見てきました。
- 一般的な無垢材には油分が少ない場合も多く、コーティング・保湿をしてやる必要がある
- 木が油分をもっているのは、環境から自分を守るために必要だから
- 乾燥方法によっては、木のもつ油分の多くが抜けてしまうことがある
- 木がもっている性質を存分に活かすことができれば、家具・床などのメンテナンスは必要ない
少し残念な話になりますが、2020年のオーストラリアの山火事が広がってしまった理由の一つに、「ユーカリの葉にたくさんの油分が含まれている」ということもあります。
ユーカリに限らず、様々な木が油分をもっているのは、「乾燥を守るため」「細胞を守るため」だと言われています。
本来、様々なリスクから守るために備わったものを一旦除去し、それでは、問題があるからと言って、再度、注入する…。
作業効率、経済活動の面も考慮しなければいけませんが、もともと自然から与えられたものを、できるだけ有効に使うのがもっとも高性能であり、シンプルではないでしょうか。
わたしたちは、家づくりを通して、こうした自然の営みに一人でも多くの方に気付いて欲しい…そして、一緒にこれからも学び合っていきたいと思っています。