化学物質過敏症の原因と今できる対策【歴史を知ると見えるもの】

住まいと健康
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渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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最近、感覚的ですが、化学物質過敏症(MCS、CS)で苦しんでいる方が随分増えてきた様な印象を受けます。

私の息子も、以前は、化学物質が多そうな場所に近づくと大変なことになっていたものです。

  • ホームセンター
  • ショッピングモール
  • 新しくできた建物
  • 学校のプール、市民プール

この様な場所に近づくだけで、顔が腫れ上がる様な状態になっていましたので、今、化学物質過敏症で苦しんでいる方の生活がどれだけ大変かも想像できます。

 

もちろん、今、何の問題を感じない人もいれば、慢性的な軽い頭痛程度の症状であり、化学物質過敏症だと気が付いていない方も多いかもしれません。

ただ、化学物質過敏症の問題は、症状を発症した人だけの問題ではないために、この歴史を振り返りながら、これから未来に向けてできる事を考えたいのです。

結 論

  • 化学物質過敏症の原因は、化学物質の長期的な被曝・強い被曝。
  • 日本でも、化学物質過敏症を発症する人が増加する可能性がある。
  • 化学物質を減らす工夫は個人でもできる。

私自身の経験も含めて、この様に言われる理由を解説します。

 

歴史を通して見る化学物質過敏症の原因

もともとは、1987年にCullenが、化学物質過敏症の概念を提唱。

Cullenは、化学物質に曝露される機会の多い労働者を診察していた時に、

  • 過去に大量の化学物質に一度に曝露された後
  • 長期間慢性的に化学物質の曝露を受けた後

に、とても少ないの化学物質に再接触した際に見られる不快な臨床症状が発生することに気付き、これを多種化学物質過敏症(Multiple Chemical Sensitivity)と名付けました。

 

ところが、何をもって化学物質過敏症というのか? この定義がとても難しく、様々な会合で、この基準の見直しがされてきました。

その結果、1999年には、以下の様な基準とされました(一部紹介)

1999年(臨床環境医による合意基準)
・化学物質に繰り返し曝露されると,症状が再現される

・過去に経験した曝露や,一般的には耐えられる曝露よりも 低い曝露量によって症状が現れる

・原因物質の除去により,症状が改善または治癒する

それでも、化学物質過敏症がなかなか日本で認知されないのには、複雑な問題がまだまだ残っているためです。

例えば、

  • アレルギー・アトピー
  • シックハウス 症候群
  • 化学物質過敏症

これらは非常に近い存在にありますが、どう区別するかは、学問的にはとても難しいのです。

実際に、日本の場合、

  • 化学物質過敏症患者の約 60% はシックハウス症候群を契機に発症
  • 化学物質過敏症患者はアトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患発症リスクが高いこと

が報告されています。

これらが複雑に絡まりあっているために、

「Aさんは化学物質過敏症」がきっかけとなって、「アトピー性皮膚炎」になっても「アトピー性皮膚炎」という理解になることが多いのです。

私の息子の場合は

シックハウス 症候群、または化学物質過敏症が原因

アトピー性皮膚炎と診断

ということでしたが、シックハウス 症候群・化学物質過敏症が原因だと気付くのに相当な時間を要してしまったのです。

ただ、どの様な診断がつくにしても、

  • 大量の化学物質に一度に曝露すること
  • 長期間慢性的に化学物質の曝露を受けること

は、私たちの生活にとって良くないということは確かなことです。

 

化学物質がとても多い現代、未来はどうなるのか?

未来のことは誰にも分かりません。

ただ、日本よりも化学物質が多いと言われるアメリカの様子から、未来の姿を想像することはできます


1995 年,米カリフォルニア州での 17 歳以上の 4,046 人を対象とした電話による無作為調査が行われました。

この調査の結果は次の通り。

医師に化学物質過敏症と診断された6.3%
日常生活で化学物質に対してアレルギーの様な反応が出る、または異常に敏感である15.9%

 

一方、日本でも、似た様な調査が行われています。

2000年、国立公衆衛生院(現・国立保険医療科学院)の内山厳雄労働衛生学部長が行った調査(20歳以上の男女4000人以上)の結果は以下の通り。

化学物質に対して高い感受性をもっていると思う0.74%

さらに、2012年、化学物質に対する高感受性集団の経年変化とその要因及び室内空気汚染物質の健康リスク評価(対象者数 7,245 人) の調査結果は以下の通り。

化学物質に対して高い感受性をもっていると思う4.4%

化学物質に対してなんらかの問題を感じている人が増加傾向にあることは、推測できます。

 

また、こちらはおよその目安にしかなりませんが、「化学物質過敏症」というワードで検索された回数は毎月10,000回を超えています

10年前では、考えられなかった数字です。

 

学校でもこの様な動きが見られるようになってきました。

 

化学物質過敏症を予防するために今からできること

化学物質を出すビニルクロス・合板などを使用しない空気がうまい家®︎

化学物質を出すビニルクロス・合板などを使用しない空気がうまい家®︎

化学物質過敏症の大きな原因は、当然、化学物質です。

そして、その化学物質をたくさん放出し続けるものが「住まい」です。

と、いうことは、化学物質過敏症を予防するには、家を変えることになりますが、そんなことは、容易にできません。

そこで、ここでは、明日からでも実践できそうなこと挙げています。

  • 食材にこだわる(加工食品の量を減らしていく)
  • ヘアスプレー・殺虫剤・芳香剤・消臭剤の使用量を減らす
  • 適度な運動をする
  • 新築・リフォームをする時には、建材の質も考慮する

一度、便利なものに慣れてしまった生活を変えていくことは十分に承知していますが、1つでも実践して欲しいと思います。

化学物質過敏症を発症してしまうと、日常生活がとても大変になってしまいます。

そのリスクを考えると、少し食材にこだわってみるなどの工夫をしたいものです。

 
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