- 何かをしたい様な気がしますが、気力が湧いてきません。
- 勉強もしないといけないと分かっていますが、どうもやる気が出ません。
- 自分は無気力症候群じゃないかなぁ…って思うことがあります。
中高生と話をしているとこんな悩みを抱えている人が、意外と多いことが分かります。
また、最近では、社会人の方でも「無気力感」を感じるという声が増えて来た印象を受けます。
あなたもどこかで、この様な風潮を感じたことがあるかと思います。
ここでは、
について、教育現場に居た時の経験も踏まえて詳しく解説します。
また、無気力になってしまう仕組みをもとに、すぐにできる暮らしの改善策も紹介します。
幼い頃は何にでも夢中になれたのに、成長すると無気力になるの?
幼い子どもを見ていると、
- ダンゴムシを集める
- 落ち葉や枝を投げる
- ただ、走る など
大人からすると、「それをやって面白いの?」と言いたくなる様なことにも夢中になるものです。
当然、幼い子ども達に「無気力」の概念はありません。
エネルギーに溢れ、ご飯を食べながらでも寝てしまうなんて風景も良く見るものです。
それなのに、どのタイミングで「無気力」というものが生まれるのでしょうか。
結 論
現代社会で言えば、
- クリック一つで買い物ができ、自宅まで届けてくれる
- 見たい大抵の番組は、手元のスマホまたはPCで見ることができる
- コンビニに行けば、お腹を満たす食べ物を手に入れることができる
こうした便利さは、有難いことですが、触れる量が多いほど無気力になりやすいという意味です。
その仕組みを具体例を挙げながら解説します。
便利なものに触れるほど無気力になりやすいことが分かる事例
これをしたい!これが欲しい!という時に、それが現実になった方が、やる気が出る様に感じるかもしれません。
ところが、この「無気力」という問題は、先進国の方が見られやすい問題の一つです。
なぜ、便利さに触れると無気力になりやすいのか、事例を挙げながら見ていきましょう。
クリック1つで買い物ができると無気力になりやすい?
例えば、あなたが外国製の有名ブランドのバックを手に入れたいとしましょう。
Amazonや楽天などのサービスを利用すれば簡単に購入することができます。
ところが、この有名ブランドのバックは現地でしか販売していないとなると、手に入れるには、
- 現地に足を運ぶ
- 知人に現地に行って買ってきてもらう
くらいしか手に入れる方法はありません。
それでも、絶対に手に入れたい!と思うのであれば、旅行の計画を立てなければいけません。
そして、海外に旅立ち、有名ブランドのショップに訪問して、やっと手に入れることができるのです。
そこまでして手に入れたバッグであれば、それまでの過程をバッグを持つ度に思い出すはずです。
また、そのエピソードを生き生きと友達に語るかもしれません。
この感覚は、無気力と程遠いでしょう。
ところが、クリック一つで購入したのであれば、しみじみとバッグの存在を喜ぶことができるでしょうか。
お腹が空いたなぁ…コンビニでも行こう!
食べ物の場合を考えてみても同様のことが言えます。
現代は、お腹が空けばコンビニに行って、お弁当やパンなどを買うと空腹を満たすことができます。
ところが、コンビニやスーパーが無ければどうでしょうか。
野菜を育てたり、季節の果物が木になっていないか見るところから始まります。
そして、収穫をし、洗い、料理をしてやっと食べられるのです。
ここでは2つの例を挙げてみましたが、
- 大変な想いをしてやっと手に入れたバッグ
- やっと食べられる状態になった食事
に出会えた時の喜びは、なんともいい様のないほどの喜びがあるものです。
ところが、「便利になるということ」は、こうしたものとの出会いが簡単になるということです。
これが、無気力になりやすい要因となる訳です。
何となく、その感覚は分かるけれど、まだピンっと来ないよ。
やっぱり便利な方がいいって思うけどなぁ。
無気力になってしまうメカニズムとは?
あなたは、
今の時代、洗濯機が「あって良かった」としみじみ感じることはほとんどないでしょう。
洗濯機があるのが当然…というくらいの感覚で、素晴らしい全自動洗濯機があっても、洗濯するのが面倒だと感じることがあると思います。
もちろん、私も面倒だなぁと思うことがあります。
そこで、最近では
- 干さなくても乾燥までしてくれる洗濯機
- 乾燥後、畳んでくれる洗濯機
までもが開発されてきました。
もちろん、これは洗濯機に限った話ではなく、様々なジャンルで、
がどんどん増えてきています。
その結果、私たちは、
のです。
また、販売側からするとおぉぉ!と驚く様な刺激的な商品やサービスをリリースしないと売れにくいという社会になっています。
と、いうことは、今後も、消費者の体制が変わらない限り、刺激は強くなる一方です。
一方で、幼い子どもは、自ら刺激を見つける天才です。
幼い子が刺激を見つける天才である理由は、もともと人は何もないところから、生活に活用できそうなものを見つけ出すアンテナを張り巡らせて生きてきたためです。
その本能的な部分が、しっかりと受け継がれているので、様々な発見をし、疑問を持ちます。
もちろん、発見をしたり、疑問をもったりするには、大きなエネルギーを要するのですが、便利過ぎる暮らしになると、このエネルギーは少なくて済みます。
そして、このようなことを言われるのです。
今の子はいいよね。
欲しいものも買い物に行かなくてもいいしね。
その分、ちゃんと勉強をしなさい!
本当は、生活をしながら様々なことを発見するのに使われる予定だったエネルギーが、決められたことをするエネルギーに使いなさい!ということになってしまうのです。
そう言われる一方で、「自主的に何でもしなさい」とも言われます。
結局、自分のもっているエネルギーをどう使っていいのか分からなくなり、使い道が分からないのなら、無駄な消費をせずに省エネモードで生活をしよう!となっているのです。
これが「無気力」になる基本的な型なのです。
無気力な状態から抜け出した事例と具体的な方法
私は教育の現場にいましたので、子ども達を何度も野外活動に連れて行っています。
野外活動前には、子ども達のたくさんの悲鳴を耳にすることになります。
- スマホを持って行ったらダメなんて絶対に無理!
- テレビもないなんて、耐えられない!
ですが、2日目にもなると、誰もそんな事は言いません。
3日、4日目にもなると、帰りたくないと言い出す子どもが増えてきます。
そして、帰るころになると涙・涙…になるわけです。
これは私の経験で感じたことですが、統計的に見ても、「無気力」を脱するには野外活動などの様に自然に触れる経験が重要だといえます。
だからと言って、野外体験活動ができる団体に所属する必要はありません。
ということをすれば良いだけです。
具体的には、他の記事でも紹介していますが、
- 家庭菜園で野菜を育ててみる
- ペット(魚・虫などでもOK)と共に暮らす
- 料理を楽しむ
- 室内に生け花などを置く など
この様なことのうち、一つでも子どもと一緒に実践してみることで、大きな変化が生まれてきます。
これら生物的なものと関わると、嬉しいこともあれば、思い通りにいかないこともあるものです。
この時に、「何で? どうしたらいいの?」ということを感じ、対策を考えることにエネルギーを費やすことが本来の人らしい暮らしだということを、無気力の子ども達は、大人に知らせてくれているのです。
ところが、現在は、少しでも多くの事をコントロールできる暮らしが良いという風潮があります。
パッと話を聞いた時には、とても大きなメリットがありそうですが、こうした人の成長という観点も加味すると、便利さについても一度真剣に考えてみることは大切だと思います。
どれだけ便利な時代になっても、小さな子どもは虫や木々、泥などで遊ぶことを楽しみ、年を重ねるとまた、自然の美しさに感動する様になります。
ここから、人が本来求めているものが見える気がしてなりません。
便利さだけを追求していいのか?そんなことをなんとなく感じた方は、【便利グッズと暮らし】優しい子どもを育てるための秘訣も参考にしてみてください。