住まいと人の成長に深い関係があるのか?ないのか?
なかなか難しいテーマですが、近年の一般的な家づくりを見ていると、ハード的な機能・性能が重視されていて、ソフト的な部分は、話題になりにくい状態になっています。
ところが、「なぜ今の住まいを辞めて、あたらしい住まいを検討するか?」と言えば、より良い暮らしをしたいためだということに誰も異論はないでしょう。
もちろん、
- たっぷりとした収納
- 快適な室温を維持してくれるシステム
- 楽しく料理ができそうなキッチン…など
ハード的なものを充実させることで、暮らしはより良い方向に向かいそうです。
ただ、ハード的なものを充実させてもなかなかクリアできそうにないものもあります。
- 子どもが穏やかな性格に育つ
- 前向きな発想で暮らしを楽しめる家族になる
これらについては、数値化して評価することはとても難しいです。
けれども、住まいがこうした内面的な影響を与えるのであれば、こうした側面も考慮する必要があります。
そこで、今回は、
というテーマで見ていきましょう。
遺伝子の話と言うと、難しそうに感じる方もいらっしゃいますが、できるだけ直感的に分かりやすい形で話を進めていきます。
遺伝子は生涯変わらないものから「変わるもの」に変化した!
従来、遺伝はもって生まれたもので、「変わらない性質」の様に扱われてきました。
こんな言い方もよくされてきました。
けれども、最近の研究で、
ということが明らかになってきました。
環境によって変化する遺伝子の発見
2001年に初めてクローン猫が誕生しました。
クローンですから当然、元の猫と誕生した猫は全く同じ遺伝子をもっていることになります。
ところが、誕生したクローン猫の性格は、元の猫とは全く違ったものでした。
人間の場合、「一卵性双生児」は、基本的に二人とも同じ遺伝子をもっています。
この二人は、乳幼児の頃は、性格・雰囲気がそっくりであっても、成長と共に次第に変化していき、違いが大きくなっていきます。
通常、一卵性双生児の場合は、二人が同じ住まいで生活をするために、生活環境はほぼ同じということになりますが、それでも、二人の違いは成長とともに大きくなっていきます。
仮に、一人は日本で生活をし、もう一人はアメリカで生活をするとどうなるか?
同じ遺伝子をもった二人であっても、性格・考え方が全く異なる二人になるということは十分、想像できるはずです。
ミツバチを使って、環境と遺伝子の関係を追求した実験がありますが、それによっても、
ということが明確になりました。
遺伝子は環境によりどの様に変化するのか?
現代の遺伝子の研究によると、環境によって遺伝子そのもが変化するのではなく、遺伝子周辺の様子が変わることが分かってきました。
人間に例えるなら「服を着替える」ようなイメージで、遺伝子が変化します。
例えば、「かなりの猛暑日」というストレスが身体に加わると、「汗をかく」ことで私たちは、暑さを凌ごうとします。
そして、この様な「猛暑日」が続くと、「汗をかく」ことで命を守れるという情報が遺伝子に装飾され、再び同じ様な状況に陥った場合もすぐに対応できるように準備するのです。
そうして作られた遺伝子の装飾は、生涯活用されることも多く、さらには次の世代に遺伝するということまで明らかになってきました。
遺伝子の変化は外的な環境要因のみではなく、内的要因も影響を与える
さらに遺伝子の研究で興味深いのは、「人の考え方」と言った内的要因も遺伝子に影響を与えるということも明らかになってきたということです。
ここで、「人の考え方」という内的要因を前面に取り出しましたが、考え方・感情によって、体内分泌物が変化するために、物理的なものが影響を与えているということもできます。
- 嫌なことがあったから悲しい・気分が盛り上がらない。
- ストレスホルモンのコチゾールが分泌される。
- いつもこんな想いはしたくないから遺伝子を装飾しよう。
具体的にどの様な機能をもったもので遺伝子を装飾していくのかは、それぞれ異なるために難しいところではありますが、「日本人」という視点でみれば、この意味も捉えやすくなります。
優しく、謙虚な日本人の血!日本人のDNA!
「あの人には日本人の血が流れている」こんな言い方をすることもあります。
世界的に見ても、日本人には次の様な特徴があると言われます。
- 性格が穏やかで人に対して優しい。
- 優れている人でも謙虚である。
- 二面性がなく、素直である。
世界の様々な民族と比較するとこの様な傾向が強いのは、あなたも肌で感じるところでしょう。
最も分かりやすい事例は、
- 海外で財布を落としてしまうほぼ返ってくることはない。
- 日本で財布を落としても返ってくる可能性が高い。
ということです。
それくらい日本人は優しく、間違ったことはしたくないという感覚が根底にはあります。
では、なぜ、この様な素晴らしい性格になったのでしょう。
もちろん、素晴らしい教育のおかげもありますが、歴史的に環境を見ると、
- 周りを海に囲まれているために安心して生活できた。
- 作物を作るのに適した土と気候に恵まれていた。
という素晴らしい場所だったために、自分が生きることだけを考えるのではなく、村のみんなが幸せに生きることを考えやすい環境だったのです。
そのために、他では見られない優しさ・文化が形成され、今も、日本人の血としてその感覚が受け継がれているのです。
今、世界地図を改めて眺めてみても、日本ほど気候や地形に恵まれた島国は、ほかにほとんどないことがすぐに分かるはずです。
あなたの住まいは次世代に影響を与える
環境は私たちに多大な影響を与えるだけではなく、次の代へ影響を与えることがはっきりと分かったと思います。
つまり、私たちは、遺伝子というある程度の設計図をもっていますが、環境や努力次第で、その設計図をより素晴らしいものに変えることができるということです。
こうしたことまで考えて住まいというものを見ると、
であるべきという考えに至ります。
日本人が世界の中で群を抜いて穏やかで、優しいのは、日本の気候と深い関わりがありました。
こんなことを踏まえると、住まいは、一つの環境であり、充実した機能をもてば良いという考え方を横に置く必要があるように思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
「快適な住まい」は人を育てていきますが、「快楽的な住まい」は人を衰退させてしまいます。
この違いを家づくりを通して一緒に勉強していければいいなぁと思います。