先日、新築を検討されているお客様がこの様なことを言われていました。
最近の家って、どれも似た様な雰囲気の家で、面白みがない気がします。
それに、引っ越した時は、ピカピカで綺麗だけど、年数が経つと、傷むって感じがします。これって、やっぱりそういうものでしょうか。
確かに、新しい住まいは、格好いいし機能も充実してそうに見えます。
家に限らず、身の周りのものも、新しいものの方が良い様に見えます。
今、10年前のスマホを改めて見ると、古いなぁ…って感じがしますから。
やっぱり、何でも新しい方がいいのでしょうか。
けれども、
というのも確かなことです。
あなたと住まいは、これから何十年もの付き合いをすることになります。
だから、古くなっても飽きが来ない・より良くなるって視点は住まい選びに欠かせない視点になるはずです。
そこで、今日は住まいに限らず、
もう少し視野を広げて様々なものを見ながら次の点についてお伝えします。
- 質が良いものは、経年と共に味わいが出てくる
- 質の良いものを使っていると、気持ちが満たされる
- 実は、質のいいものを使うことは経済的な効果も大きい
経年美化するものとは? 質の良い住まいやものが私たちにもたらすもの
様々なものを見ると、古いものより新しいものが綺麗で、格好いいです。
例えば、自動車・テレビ・衣類なども新しい方が格好いいでしょう。
ところが、新しいからこそ良くないという不思議なものもあります。
激減してしまった鉄のフライパン
最近では、鉄のフライパンを見る機会があまりありません。
せいぜい、料理店で見かけるくらいで、一般の家庭ではなかなか見ることがありません。
なぜ、激減してしまったのか?
フッ素コートのフライパンは、現代の私たちが好きな「すぐ」を満たしてくれるからです。
- 購入した日に快適に使うことができる
- 価格も手頃
- 軽い
一方、鉄のフライパンは、この様なお手軽さはありません。
- 快適に使えるようになるまで日数を要する
- 価格は高い
- 重い
鉄のフライパンのメリットはどこだ?というくらい、メリットがありません。
激減してしまうのも無理はありません。
鉄のフライパンの良さが出てくるのは年数が経過してから
鉄のフライパンは、年数が経過するほど扱いやすくなっていきます。
また、すこし手入れをするだけで、とても良い状態に戻すことも可能です。
ところが、フッ素コートされたフライパンは、数年もすれば買い換えないといけません。
ホテルオークラのシェフがこんな話をしてくれました。
僕たちは、お肉を焼くことも仕事です。
ただ肉を焼いているだけじゃないか!って思われる方もいらっしゃいますが、実は、鉄板を大切に扱うっていうのが、美味しいお肉を焼く秘訣なんです。
ちゃんとした鉄板っていうのは、使えば使う程、美味しいお肉を焼くことができるようになります。
だから僕たちシェフは鉄板をお店の命と思って扱っています。
フッ素コートのフライパンで焼いた肉と大切に使ってきた鉄板で焼いた肉を食べたら違いは一目瞭然ですよ。
良いものって馴染むのに時間がかかりますが、一度馴染むとずっと友達というか家族の様な存在になるんです。
確かに、フライパンに限らず、良い革靴も似た様なことが言えます。
使えば使うほど、使う人に馴染み、他の靴では代わりにならない…って感じたことが、あなたも一度はあるはずです。
経年美化する質の良いものに囲まれていると気持ちが満たされる
靴にしても衣類にしても、質が良いものを身につけているとどうでしょう。
いつも以上に、気持ちがよく、自信が湧いてくる感覚も得られそうです。
反対に、質にこだわっていないものは、安価で気軽に購入することができます。
では、こうしたものを身につけた時に、何か心地よさや満足感が得られるでしょうか。
決して安価なものが悪いとはいいませんが、
心の底から気持ちがいいと感じながら生活をすることを大切にするのであれば、
ものの「質」にこだわることは大切な視点なのです。
経年美化する質の良いもの使うということは、実は経済的
鉄のフライパンや衣類・靴の質について見てきました。
最初、購入する時はどれも高価です。
それでも、使えば使うほど馴染んできますから、ずっと使い続けることになります。
我が家には、10年以上大切に使い続けている土鍋がいくつかあります。
たしかに、色はくすみ新品の時の様な輝きはありませんが、手放すことを考えたこともありません。
このくすみさえ、不思議といい味に感じてしまうのです。
そして、この土鍋で調理すると、なんとも言えない満足感を得ることができます。
この満足感って、長年土鍋と一緒に過ごしてきたからこそ得られるものだと思うのです。
- 質の良いものは買い換える必要がない。むしろ買い換えたくない。
- ずっと使ってきたからこそ感じられる満足感がある。
つまり、
質が良いものを選び、使い続けるって、心にもお財布にも環境にも優しいことなのです。
最初に紹介した新築を検討されているお客様の言葉
年数が経つと、傷むって感じがします。
これって、やっぱりそういうものでしょうか。
住まいを表面だけで見るのではなく、何で作られているのか、材質までも見ることが大切だということを改めて教えてくれた様な気がします。
今、改めて、醍醐寺なんかを見ても、古いからこそいいなぁ…と思います。
まとめ
質が良いもは、古くなれば味わいが出てくる。
こんな視点で、いくつかのものを見てきました。
- 鉄のフライパンは高い・重い・すぐに使えないが、馴染むと手放せない
- 質の良い靴や服も使えば使うほど使っている人に馴染んでくる
- 何より質の良いものに囲まれていると、大きな満足感が得られる
- 質の良いものは使い続けたくなるし、買い換えたくもならない。経済的で環境にも良い。
私たちは、住まいを作るのであれば、使えば使うほど満足感が高くなる住まいを作りたいと思っています。
住まいもホテルの鉄板と同じで、馴染んでくると古くからの友人の様になるものです。