無垢材の住まいに憧れるけれども、お手入れが大変そう。
これは、よく言われる言葉です。
具体的には次のような大変さがあると感じている方が多いようです。
- 時々、オイル塗装をしてあげないとダメと聞きました。
- 年数が経つと、反りが出てきてしまうでしょ。
確かに、一般的な無垢材の場合、この様なお手入れをしないと問題が出てくることは確かです。
私もこれまでにたくさんの無垢材の家を見てきましたが、間違いない事実です。
その為、無垢材の住まいをオススメしてもメンテナンスを継続する自信がない…と言われる方の気持ちも十分に分かります。
ところが、私たちが「空気がうまい家®︎」を作る時に使用している無垢材は生きているために、
と伝えています。
本当にそれで大丈夫なの?という質問も良くいただきます。
そこで、今回は、空気がうまい家®︎仕様にフルリノベーションをしてから11年が経過したお住まいの現状を紹介します。
フルリノベーションをしようと思われたきっかけ
お子さんのアトピーがとても酷く、なんとかしようと様々な病院に足を運ばれた結果、建物が原因でアトピーになっていることが分かったそうです。
実際に、様々な古民家や古い家に宿泊をした結果、お客様自身がアトピーと建物と深い関係があることを確信し、ご連絡をくださったことが、フルリノベーションをするきっかけとなりました。
一般的な住まいだと、お子さんが生活できないという事で、早急になんとかする必要がありました。
そして、無事に2009年に施工を完了し、リノベーションをした家ですぐに生活を始められました。
それから11年後の現在、住まいはどの様に変化したのか、紹介します。
【実例】無垢材の経年変化、11年生活をした住まいの現状
11年前、座るのがやっとだった赤ちゃんももうすぐ中学生です。
お子さんが保育園に通われている時は、リビングで散々こままわしをされていたようです。
今では、室内でバスケットボールの練習もされているので、床の無垢材(音響熟成®︎木材)にとってはなかなか厳しい環境だと思います。
この11年を振り返って、お話を聞くと次の様なことを言われていました。
- メンテナンスらしいことを一切せず、月に1度程度水拭きをしただけ
- 日常は、ほうきでゴミを掃くか、掃除機をかける程度
- 床に油をたくさんこぼしてしまった事があった
- ダイニングテーブルの上では、味噌汁がこぼれるなどの事件もたくさんあった
小さいお子さんがいるとこの様なことは、起きても仕方がないと思います。
もちろん、木材は黒みを帯びてきた印象はありますが、艶が出てきてますます味わい深くなってきたように感じます。
無垢材の経年変化の事例・1階の様子
経年とともにどのような変化が見られたのか、間取りとともに紹介します。
間取りの上に表示された→と番号は撮影のためのカメラの向きを表しています。
①玄関
11年が経過しましたが、いまだに初めて来られた方は、木の香りに驚かれるそうです。
②リビング(よくコマ回しの練習が行われていた)
③別の角度から見たリビング
階段が緩やかで特徴的だと言われることが多いそうです。
階段については、
を参照してください。
リビングが経年とともにどの様に変化したのか、リノベーションが完了した当初と現在の様子を比較してみましょう。
特別大きな問題があるようには見えません。
写真では分かりにくいですが、無垢材(音響熟成®︎木材)がもともと持っている油分が表面に上昇して、艶がかなり出てきている印象を受けます。
④浴室横のパウダールーム
浴室の横にこの様な空間を設置することは、一般的な住まいを作る上では、オススメできません。
浴室横は湿度が高くなりがちですから、この写真の様に気持ちよく衣類を置くことはできません。
ところが、空気がうまい家®︎仕様の素材にすると湿度は随分軽減される上に、ほこりが出にくいために、この様な空間を設けることが可能になります。
無垢材に調湿効果はあるのか?【エアコンの利用量が減少する】で詳しく解説しています。
また、ほこりが出にくい理由を
【埃の原因と対策】埃が溜まりやすい家の特徴を知れば対策できるで詳しく解説しています。
無垢材の経年変化の事例・2階の様子
2階は子ども部屋、寝室として利用されていました。
お子さんが小さい頃は、大きな学習机の出番が少なっかったそうですが、今では随分利用されているそうです。
①造作の机
リノベーションの際に机を作りました。
シンプルな構造ですが、十分な広さが確保できました。
もう少し引きで見るとこの様な感じです。
当然、2階の床も特別なメンテナンスをされていません。
机も床も何ら問題なく経年変化が感じられます。
なお、造作家具については、
も参考になるはずです。
④階段を上がったところ
無垢材も経年と共に変化し、人も変化するから暮らしに飽きない
一般的な住まいの場合、10〜20年も経過すると汚れた部分が目立ったり、傷が気になり修繕を考えないといけません。
ところが、このお客様は、
私たちの生活を見ながら、一緒に変化してきたものだから新しいものに変えられないですね。同じ空気がうまい家®︎の方の家に遊びに行ってもそれぞれの家庭で違いますからね。
こんな話をしてくださいました。
世の中が便利になり、IT化もどんどん進んでいく社会。
だからこそ、生活の一部では自然が感じられる部分を意識的に大切にしたいと思います。
もちろん住まいの素材にこだわるのも一つの方法ですが、室内に植物を置くだけでも雰囲気は随分変わるものです。
小さな子どもは、アリなどの昆虫に興味をもち、
青年になって、現実的な仕事などに関心を寄せる。
そして、年齢を重ねるとまた、山や海などの大自然の営みに心が奪われる。
こうして生き方を見ると、人はやっぱり自然の中の生き物であって、共に生活をすることをいつの時代も求める生き物ではないかなぁ…と思うのです。