木造にこだわって、マイホームを新築するとなると、どんな木材を使ったらいいのか気になるところだと思います。
最近では、
- パイン材が手頃な価格で見た目も綺麗だからいいだろうとか、
- 秋田杉のような無垢材がいいだろうけれど、反りが心配だなぁ…。
など、様々な声を耳にします。
ところが、木材の種類や見た目よりも重要なことがあるのです。
それは、
ということです。
じゃあ、最適な乾燥方法で乾燥させた木材はどこにあるの?という質問も受けますが、答えは一択です。
今日は、木材の乾燥と音響熟成木材についてもう少し詳しく紹介します。
木造住宅と木材の種類【木の種類よりも大切な乾燥方法】
木を切った直後の様子
住まいを新築しようと思い、工務店やハウスメーカーなどを訪れると、建築に使用する木材の含水率の話を耳にすることがあります。
含水率とは、木材に含まれる水分の割合のことです。
仮に今、山で木を切り倒したならば、木の幹にはたくさんの水分が含まれていますから含水率は高いということになります。
場合によっては切り口から、水が川のように流れてくることもあるほどです。
これらの話からも想像できると思いますが、含水率が高いと、少しずつ水分が蒸発するために、木の大きさに変化が生じてきます。
この水分の蒸発量は当然、木材の場所によって異なるために、十分に乾かしてからでないと建材として使えません。
また、切り倒したばかりの木材を触ったことがある方は、想像できると思いますが、含水率が高いとヤスリなどをかけることができません。
表面のザラッとした部分も濡れていますとフニャっとなってしまうので、加工もしにくいという問題点もあります。
こうしたことも踏まえて、現代では、木材を建材として利用するなら木材をしっかりと乾燥させる!ということが常識となっているのです。
木材を乾燥させる主な3つの方法のメリット・デメリット
木材を乾燥させるには、幾つかの方法がありますが、大きく分けて機械乾燥と自然乾燥があります。
木材を機械乾燥させる主な2種類の方法
- 加圧加熱蒸気乾燥
料理で使用する圧力鍋をイメージするといいかもしれません。
木材を乾燥させる際に、熱を加えながらさらに圧力をかけることによって、水分を飛ばしていく乾燥方法です。
100℃よりも高い温度で処理することが可能とされています。
圧力鍋の調理と同じように、非常に短時間で木材を乾燥させることができるのが大きなメリットです。
- 蒸気式機械乾燥
現代、もっとも一般的に利用されている乾燥方法です。
蒸気を熱源として、木材を乾燥させる方法です。
設定温度は様々ですが、中温の場合は40〜90℃、高温の場合は100℃以上で処理されます。
もちろん、常温で乾燥させるよりも随分早く乾燥させることができるのが大きなメリットです。
では、機械乾燥のデメリットはなんでしょうか?
これは、ホームセンターで販売されているKD材(機械乾燥させた木材)です。
内部からヒビが入っているのが分かります。
人間もそうですが、いきなり熱湯の風呂に入れられると、様々な機能が壊れてしまうことでしょう。
木材だって、伐採されるまで、100℃なんていう温度は経験したことがありません。
ですから、高温で強制的に乾燥させられると、木が本来もっている性質が壊されてしまうということは推測できるのではないでしょうか。
機械乾燥のメリット・デメリットのまとめ
- 短時間で木材を乾燥させることができるためにコストが安い。
- 処理条件が木材にとって厳しい場合、内部が割れてしまうというリスクがある。
木材を自然乾燥させる
切り出した木材を常温で乾燥させる方法です。
自然乾燥と呼ばれたり、天然乾燥と呼ばれますが、現代では、自然乾燥と機械乾燥を抱き合わせた乾燥方法もああります。
常温で乾燥させるとなると、機械乾燥と比較すると膨大な時間を要することが分かると思います。
自然乾燥のメリット・デメリット
- 乾燥が完了するまでにかなりの期間を要する。
- 乾燥期間も天候によって左右される。
- ゆっくりと乾燥させるために木材の色艶がいい。
- 木材にとって好条件のために内部が割れるリスクはかなり低くなる。
自然乾燥のデメリットをさらに軽減させたのが音響熟成木材
私たちが施工する空気がうまい家®︎は、飫肥杉と呼ばれる杉を自然乾燥させた木材、音響熟成木材を使用しています。
音響熟成木材は、木も人間と同じく居心地のいい環境で乾燥させるべきだ!という発想で生まれた木材です。
ですから、
最初から特別な処理がされることなく、38℃以下で自然乾燥させているのです。
さらに、木材の乾燥中に、クラシック音楽を流しています。
上の写真の様に、音響熟成木材が作られている工場には、煙突が1本もなく、ただ倉庫に木が並べられ、クラシック音楽が流れているだけです。
木材の乾燥に何か特別な処理がなされている風景はありません。
こうして、建材となる木材がどのように保管されて建材となっていくのか、産直のように生産者の顔が見える建材というのは、そう滅多にありません。
こうして乾燥させられた音響熟成木材は、驚くほど、木本来の性質が残されており、素晴らしい香りを放してくれています。
本日は笠懸の石原工房さんのショールームへお邪魔してきました。
音響熟成木材という素晴らしい素材はさすがです。
質感も香りも最高でした。また、独自の炙りで作られる黒色の同木材もシックで唸らせて頂きました。
— 今泉家具センター@群馬 (@imaizumikag) February 17, 2017
こちらに、工場に見学に行ってみたいという方の問い合わせフォームがありますので、お気軽にメッセージをください。
木材の乾燥から私たちが学ぶべきこと
今日は木材の乾燥方法について紹介しました。
木材に水分が含まれていると、木材の大きさが変わる…。
だから、水分が少ない方がいい。
そんなことを考えて、私たち人間は木材から水分を抜くことにだけ注目していたのではないでしょうか。
実は、木材を高温状態にしてしまうと内部から破壊されることなんて、難しい勉強をしなくても私たちは知っているのです。
焚き火の時に、乾燥が不十分な木を入れるとどうなるでしょうか?
内部から、シューっと言って水分が出始め、そののちにパチン!と言って破裂が起きるのです。
木は長い歴史の中で、力強く行きていけるように自ら工夫をしてきました。
ところが、歴史の中で、気温が100度を超えるようなことは一度も起きていないのです。
つまり、100℃程度の温度で水分を飛ばすことはできても、木材そのものは高温に対応できないと考えてもいいのではないでしょうか。
本当に丈夫で、人にとってもいい住まいを求めるのであれば、人と同じように可愛がってもらった木材使いたいものです。