最近では、「ぬか(糠)」という言葉を聞く機会が随分減ってしまいました。
けれども、その一方で、より健康的、自然に近い暮らしを求める風潮も強まりつつあります。
その中で注目したいことの一つに
ということです。
そこで、古くから「ぬか漬けをする人の手は綺麗」と言われてきた理由に迫ります。
また、実際に我が家の無塗装の無垢フローリング(音響熟成®︎木材)にぬか袋を使っている様子を紹介します。
近年では、「化学物質過敏症が気になるから」「小さな子どもがいるから」などの理由で、できるだけ自然のものを使いながら生活をしたい!という方も見られるようになりました。
ぬか袋を使った、快適で気持ちがいい暮らしをおくるヒントになれば嬉しいです。
なぜぬか漬けを楽しむ人は肌が綺麗なの?
「ぬか漬け」を触ったことがない人からすると、ぬか漬けを触ると余計に汚れてしまいそうな印象があるかもしれません。
ところが、ぬか漬けを楽しんだ後は手がスベスベになります。
ぬか床を作ったその日から十分実感することが可能です。
では、なぜ、そんな効果が起きるのでしょう。
ぬかに含まれている成分とは?
米ぬかには、様々な成分が含まれていますが、その中でも注目したいのは次の3つです。
- ガンマオリザノール
- 乳酸菌
- ビタミンB1
ガンマオリザノール(γ-オリザノール)
γ-オリザノールは、糠に含まれる油分の中に多く含まれているものです。
詳細はまだまだ謎の部分が多いのですが、米が発芽する時のエネルギーを守る働きがあるのでは?と考えられています。
発芽には、タンパク質・糖質などが必要なのですが、γーオリザノールがあるからこそ、酸化を防ぎ、光や熱からも守られていると考えられています。
また、γーオリザノールを多く含んだ化粧品・美容関係製品もたくさん販売されているのもうなずけるのではないでしょうか。
乳酸菌
最近では、活きた菌を食べて、腸内環境を良くしよう!と言われますが、ぬか床にいる乳酸菌はとても生命力が強いことで知られています。
下の写真は、漬物からとった乳酸菌と乳製品からとった乳酸菌を人工的に作った胃液や腸液に7時間つけたものになります。
明らかに漬物からとった乳酸菌の方が消化液にも負けていないことが分かります。
詳しくは、「ぬか漬けの乳酸菌はなぜ強い」をご覧ください。
これは体内での様子の話ですが、ぬか漬けを楽しむ人は当然、ぬか漬けを食べる機会が多くなるので、腸内環境が整いやすくなり、肌が綺麗になるというのも頷けそうです。
ビタミンB1
野菜をぬか漬けにするとビタミンB1が10倍に増えることが知られています。
ビタミンB1は、私たちが活動する時に使用するブドウ糖をエネルギーに変換する役割を担うものです。
反対に、ビタミンB1が不足するとブドウ糖をエネルギーに上手く変換できないために、
- 倦怠感・疲労感
- しびれ・動悸・息切れ(深刻な場合) など
の問題が生じます。
ビタミンB1を発見したのは、お米の研究をしていた鈴木梅太郎氏で、彼のおかげで当時、脚気(かっけ)で苦しんでいた多くの人々は救われました。
こうして見ると、米ぬかには優れた性質がたくさん隠されていたことが分かります。
ですから、まだまだものが豊富ではなかった頃の先人は、米ぬかも捨てるのではなく、掃除や美容、食品として活用しようと考えたのです。
米のぬか袋を使って無垢材フローリングを磨いてみました
我が家の無垢材は、無塗装の杉の無垢材(音響熟成®︎木材)です。
通常、音響熟成®︎木材は木本来の油分がしっかりと残っているので、特別な手入れをする必要はありません。
ただ、今回は米のぬか袋の効果が感じられるかどうか…ということなので、一部、強くメラニンスポンジを使って、油分を落としたところでテストしてみました。
ぬか袋の準備と使い方
- 米ぬかを布巾など目の細かい布に包み、口を縛る(または、ティーパックの様なものに米ぬかを入れる)
- 作ったぬか袋を水で濡らし、軽く絞って雑巾の様に使用する
- 最後に乾いたタオルなどで水分を拭き取ります
たったこれだけですが、先にも紹介した様に、米ぬかには油分がしっかりと含まれているために、何度かこの作業を行えば、艶が出てきます。
但し 一般的なフローリング材(ワックスやコーティングがされているもの)や塗装などが行われている無垢材の場合は、ぬか袋で掃除をしてもいいのか、販売店などにご確認ください。
無垢材の床の汚れとメラニンスポンジとは相性がいいですが、強い力で擦ることは避けたいものです。
詳しくは、【実例!無垢材のお手入れ】雨によるシミを綺麗にする方法と注意点をご覧ください。
身近にあるものをできるだけ使う考え方
ものが豊かではなかった頃の先人達は、この様に身の回りにあるものをできるだけ使おうとしたために、生活経験の中から様々な発見をしてきました。
現代は、わざわざこんなことをしなくても、ワックスも塗装用のオイルもホームセンターに行けば簡単に手に入りますが、買ったものを使って予想通りの効果が得られるのは当然と誰もが考えます。
一方、こうした身の回りのものを使えないだろうか…と考えてみることで多くのことを発見することができます。
些細なことですが、こうした暮らし方を生活のほんの一部にでも取り入れることで、無機質・スマートになりがちな生活が面白いものに変化するのではないでしょうか。
住まいづくりの視点から言えば、身近にあるものを思い切り使いたくなる空間かどうか…という見方もとても大切だと思うのです。