この記事は2020年7月20日に追記しました。
2020年1月下旬あたりから株の暴落が始まり、3月21日現在、株価の下げ止まりの気配はまだ感じにくい状況です。
これから新築やリフォームを考えていらっしゃる方から、この様な質問をいただきました。
特に京都・大阪の都心部ではかなり地価が高騰していましたので、この様なことを思われるのも十分に分かります。
ところが、これから物件価格が安くなるようであれば、建物の質にこだわれるようになると考えています。実際に、噂として聞いた「安くなるだろう」に期待をしてもいいのでしょうか。
もちろん、未来のことは分かりませんから「絶対に安くなります」「高くなります」という事は言えませんが、参考になる話ができたらいいなぁと思います。
コロナウィルスは不動産の価格に響くのでしょうか?
コロナウィルスの勢力が強くなるに連れて、飲食・宿泊・観光に関する業界は大きな打撃を受けたということはとても分かりやすいと思います。
一見、不動産とコロナウィルスとは無縁の様に感じられるかもしれませんが、今回の件で不動産RIETが大暴落してしまいました。
RIETの暴落は、後々、不動産の販売価格に影響するだろうと考えていますので、その理由をここでは解説したいと思います。
2020年7月20日現在、不動産RIET指数は以下の様な状態です。
少し回復していますが、まだまだコロナ第二波の心配もあり、停滞している感じが伺えます。
不動産RIETとは何か?
あなたも街のビルを眺めながら、あのビルのオーナーって誰なんだろう?なんて考えたことがあるかもしれません。
あのビルはもちろん、会社・個人の資金で建設されたものもあると思いますが、「投資信託」の形で資金が集められ、建設されたものがたくさんあります。
とても簡単にいうと次のような仕組みがRIETです。
凄い資産家でなくても、上記のように投資をしようという人が多く集まれば、大きな資金を準備することができます。
不動産RIETが暴落しても個人の住宅には関係ないのでは?
不動産RIETには、様々な種類があります。
例えば、次の様な会社はあなたも一度は耳にしたことがあるはずです。
- 阪急阪神リート投資法人
- 星野リゾート・リート投資法人
- イオンリート投資法人
- 積水ハウス・リート投資法人
これらの価値がコロナショックにより軒並み大暴落したということは、こうしたRIETに出資する人が激減したということを意味します。
なぜ、不動産リートは暴落してしまったのか?
大手のホテル・旅館などの建設には、RIETから調達された資金が用いられてきました。
ところが、コロナウィルスの影響により、ホテル・旅館の利用者は激減してしまいました。
つまり、出資した方からすれば、「出資したにも関わらずメリットが得られない可能性がある」ということで、価値が下がる前に売ってしまうと思われた方が多いのでしょう。
これまで、多くの方々に出資して貰っていたからこそ、たくさんのビル・ホテル・マンションが建設できたのですが、建設する費用が調達しにくくなってしまったのです。
資金が調達できないとなると当然、需要が減っていきます。
とても簡単な流れで、不動産RIETについて紹介しましたが、資金調達が難しくなってしまうと、土地を購入する需要・新たに大きなビルを建設する需要が減っていきます。
このまま不動産RIETの価格が戻らないとなると需要が少ないままの状態が続きますから、当然、不動産の価格は下がっていくことになると考えていいのではないでしょうか。
RIETが暴落したからと言って、すぐに市場価格に反映されるわけではありませんが、約半年ほどの時間をかけて、不動産の価格は下がっていくだろうと思います。
2020年7月に発表された路線価は都心部では全体的に上昇?
国税庁は毎年、7月1日に路線価を発表します。京都・大阪では、前年度と比較して高くなってしまいました、これには注意が必要です。
2020年1月1日の路線価が発表されるためです。
つまり、2020年7月1日に発表された路線価には、コロナの影響が反映されていないということです。
国税庁は、
路線価の減額修正を可能にする措置を導入する方針
です。
つまり、今の段階では、土地の価格が下がっていくかどうか…とても判断しにくい状況です。
ただし、住宅ローンの金利の上昇には注意が必要
あなたも知っている通り「低金利」の時代が長く続いていました。
低金利だからこそ、金融機関は様々なところに融資をして、いわゆる「薄利多売」的なスタイルで利益を得ていました。
実際に、2010年以降、銀行が不動産関連に融資した額は相当大きな額になっています。
ところが、コロナウィルスの影響により、直接的にはホテル・旅館・ショッピングモールなどは、大打撃を受けています。
この金融機関が貸し出した莫大な資金の回収は、困難になるかもしれません。
そうなると、金融機関は今までの様に「低金利だから今が借りどきですよ」と言いにくくなってくることも考えられます。
つまり、住宅ローンなどの審査は厳しくなり、これまで行われてきた優遇金利などの制度は若干、利用者にとって厳しい方向に向かうことも考えられます。
まとめ
日本・アメリカ共に歴史的な株価の暴落で、すでにコロナショックなどと呼ばれています。
リーマンショックの時と比較されることが多いですが、株価暴落の勢いや国が介入し、市場に投入した金額などはリーマンショック以上のものとなっています。
ですから、この先どうなるかは不透明な部分もありますが、理想的な住まいを考えたいけれども、土地の価格が高すぎるために、建物の費用を抑えないといけない…と考えておられた方にとっては、いいチャンスになるかもしれません。
- 不動産RIETに投資する人が激減したために不動産の需要が減る可能性がある
- 不動産の需要が減っていくと、価格は安くなる可能性がある
- 銀行も厳しい状況になるために、融資(ローンの提供)は厳しい方向に向かう可能性がある
- 中古物件の購入や新築を考えていらっしゃる方は、時々、RIETの動向や地域の不動産価格を注意深く見ておこう。
コロナショックにより、株価が大きく下落してしまいましたが、実態経済にあわせた形になったという見方もできるという声もあります。
そうなると、これからは本当に形があるもの、質のよいものが求められる時代になるのかもしれません。