新築したり、リフォーム・リノベーションをする時、家族構成や暮らし方によって、間取りが変わってくるのは当然です。
例えば、これから小学校に入学するお子さんがいる家庭では、
- 勉強できる場所は、どんな風に設けるといいのか?
- 衣類の収納も自分でできる形にするのはどうすればいいのか?
こうした話も気になるところだと思いますが、既に様々なハウスメーカーや工務店がされていますから、ここでは割愛します。
実は、こうした間取り・家具などの話前に、
とは深い関わりがあるために、ここでは、
を紹介します。
実は最も重要な考え方は、
という要素を残すことです。
どういう事なのか、近年の子ども達の様子も踏まえながら詳しく解説します。
小学生の暴力や不登校が増加した理由から家づくりを考える
子どもの数は、大きく減少しているにも関わらず、不登校の児童は増え続けています。
私も教育の現場にいたために、不登校の理由を一つに絞ることはできないことは重々承知しています。
ただ、全体的な傾向を言えば、
という子ども達が多いのが現状です。
また、近年では小学生の暴力も大きな課題となってきました。
この様な結果になってしまった要因を、様々な角度から分析されていますが、一言で言うと、不登校の子ども達と同じ様に、
という所にあります。
では、なぜ、現代の子ども達は人間関係に悩まされているのか?
- 遊び相手が子どもから母親に変わった(少子化・核家族化)
- テレビゲーム・スマホを触る時間が長くなった
これらが、原因の一つではないか?と言われています。
細いデータを見なくても、大勢の友達と付き合う時間が減り、機械に触れる時間が長くなると人付き合いを学ぶ機会は減ってしまうかもしれないということは容易に推測できます。
実際に、アメリカでは、大人気ゲーム「フォートナイト」にどっぷりとハマる人も続出し、ゲーム中毒の様な症状を訴える人も出てきたために、デジタルリハビリ・カウンセリングが始まっています。
詳しくは、デジタルリハビリが必要なビデオゲーム中毒の子どもたち、その原因は『フォートナイト』?をご覧ください。
当然、子育て世代の方々は、不登校や暴力、ゲーム中毒などの問題とは無縁であって欲しいと思うはずです。
では、どうすればいいのでしょうか。
重要になるのは「コントール可能かどうか」という視点をもつことです。
人は一人になり、コントロール可能な範囲では傲慢になる
人は一人になり、多くのことがコントールできる様になると傲慢になりやすい傾向をもっています。
子どもの場合の分かりやすい例
テレビゲーム・スマホゲーム・ユーチューブを見るのは楽しいものです。
しかも、これらは自分の支配下にありますから、非常に快適です。
- 見たい番組が自分の手元で見れる。面白くなければ違う番組に移動できる。
- ゲームも自分の思うがままにコントールできる。
しかも同じ空間には一人ですから、子どもがゲームをしている時に使う言葉かなり乱暴になりやすいのです。
なんやこれ!全然おもろないし。
もう、マジで最悪!嫌や!
ホンマ、むかつくし…。
普段、穏やかな子でも、この様な言葉を連呼する場面を何度も見たことがあるはずです。
一方、スマホが無かったころは、テレビを完全に支配することはできませんでした。
おじいちゃん、いつまで相撲はあるの?
そろそろ、見たいドラマが始まるんだけど…。
あぁーー悪いなぁ。
今から一番の大勝負なんだよなぁ。
もうちょっとだけ待ってくれるか。
こんなやりとりをしながら、妥協点を探すということをしてきました。
何でもないことの様ですが、こうしたやりとりはコミュニケーション能力の育成と深い関わりがあります。
また、「物に気遣う暮らし」というのも豊かな暮らしだと考えています。
詳しくは、【便利グッズと暮らし】優しい子どもを育てるための秘訣も参照してください。
大人が傲慢になりやすいのは、自動車を運転する時
「あの人はハンドルをもつと性格が変わる」という言葉を耳にすることがあります。
心理学者の分析によるとこの性格の変化は、「ドレス効果」というものであって、特に大きな車・高級な車に乗ると、自分が凄い人になった錯覚をしてしまうことがあるようです。
さらに、自分の肉体よりも遥かに大きな力をもったものを自由にコントロールできるために、錯覚はより大きくなり、傲慢になってしまう人が見られるということです。
もちろん、車の中は基本的に一人、または家族が同乗する程度ですから、電車の中とは状況が大きく異なるのも傲慢になる要因だと言われています。
つまり、個人化が進み、支配(コントロール)できるものが大きくなると傲慢さが出やすくなります。
傲慢になると人間関係がこじれやすくなることは十分想像することができるでしょう。
日本人が繊細で高度な技術を身につけることができた理由
コントールができる範囲が異なれば、人の性格・気質にも変化が出てくるのでしょうか。
それは、歴史を見るとよく分かります。
基本的に西洋は支配(多くをコントロール)する文化です。
具体的には、
- 日本よりも遥かに厳しい階級の制度(奴隷の文化)
- 自然と対立する家(厳しい自然から身を守るため)
- 宗教を信じないといけない風潮の確立
などがあります。
この様な考え方・制度があったために、人々はより多くの知識・権力を手に入れようとしてきました。
と言われる所以が何となく感じられたのではないでしょうか。
一方、日本は、
多少の支配(コントロール)があったものの西洋より随分穏やかなものでした。
- 役割を定める身分制度(西洋よりも緩やか)
- 女性が優雅であることも承認する(平安文化がその象徴)
- 自然と共に生きる家(四季の変化を楽しむ)
- 宗教(神様)の存在を感じる文化
政治的な権力闘争はあったものの、社会を支配(コントロール)する発想が西洋に比べると弱かったことが分かります。
敬語の文化を見ても、相手をコントロールするのではなく、相手を大切にする文化が強かったことがよく分かります。
こうした発想の原点は、自然の有り様を独自の視点でよく見てきたためです。
人々は毎年豊作を願って、神を祀ってきましたが、凶作になってしまう年もありましたが、神を責めるのではなく、その状況を認め、「来年こそは…」という考え方をしてきました。
ですから、海外の方から見ると、日本の人達はとても穏やかで繊細、丁寧な仕事ができる…という風に感じるのです。
この様な背景を踏まえると、必然的に子育て世代の方々がどの様な家づくりを心掛けるといいのかが見えてきます。
穏やかな子どもが育つ家は、コントロールできる範囲を緩めること
近年(2021年現在)の住まいづくりは、とても高機能なものが主流となってきました。
- 室温・湿度が常に一定に保たれるシステム
- 床暖房システム
- 電気式玄関ドア
- スマートホーム(子どもの帰宅をスマホに通知・遠隔お湯はり)など
まだまだ便利な機能はあります。
もちろん、これらのシステムの一部を導入するのもありだと思います。
ただ、これらは人が住まいを大きく支配(コントロール)していることになります。
この様な環境下で子ども達は何を学ぶことができるのか?という事まで見て判断する必要があります。
というのは、あまりにも視野が狭い気がします。
戸建ての場合は、外と内のつながりを大切にし、庭の片隅で家庭菜園をするのもいいでしょう。
薪ストーブを入れて、寒いのになかなか火がつかない!と焦るのもいいと思います。
私たちが作る住まいの床は、塗装もしていない杉の無垢材です。
そんな床に大きな物を落とせば凹んでしまうことがあります。
焦って、手で撫でてみたり、紙やすりで擦ろうかなぁ…とドキドキするのもいいと思います。
特に、子どもは住まいからも多くのことを学びます。
ついつい、あれもこれも備わった住まいづくりを目指したくなりますが、住まいにいるだけで自然が感じられ、コントロールできないものとどう付き合うのか、考える余白を残すことは、大切です。
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