もしあなたがカフェを営むとしたらどんな建物にしたいでしょうか。
様々なアイディアを思い浮かぶのではないでしょうか。
- クールでモダンな雰囲気。
- ログハウスのような雰囲気。
- 古民家のような雰囲気。
それぞれ好みはあるものの、こだわって設計していけばどれも魅力的な建物になるでしょう。
けれど、「私の仕事は、どこでもできる仕事ですが、ここですることが重要なのです。」
と、言われる方がいらっしゃいました。
一体、どういうことなのか?
広島市にある小さな料理教室のMariage-artさんで話をしながら考えさせられたことをお伝えします。
超豪華な建物を準備すれば、人は集まり続けるでしょうか。
世の中には、とても豪華な建物がたくさんあります。
例えば、一般に高級ホテルと言われるものはとても豪華な内装で、キラキラ輝いています。
新しくできた当初は、地域の話題にもなり、たくさんの人が集まりますが、もし、建物の凄さだけであれば、一度足を運ぶだけで終わってしまいそうです。
けれど、実際には高級ホテルにも何度も足を運ぶ方がいらっしゃいます。
それは、建物が非日常を感じさせるくらい凄いことと、非日常的なくらい細やかな気遣いをしてくれることに心地よさを感じて、何度もリピートされるのではないでしょうか。
このバランスが重要だと思います。
非日常的なくらい細やかな気遣いをしてくれるのに、建物が古びた感じでは、きっと満足感も下がるのだろうと思います。
人は何を求めて商品を買ったり、サービスを得ようとするのでしょう。
人はどんなものを求めて商品を買ったり、サービスを受けたりするのでしょうか。
もちろん、商品の機能や技術がズバ抜けていたらその商品を手にしようとするかもしれません。
ところが、実際には、機能や技術が優れているからという理由だけで、あなたは物を購入していないはずです。
例えば、最強のプロ野球チームだけにファンがいるのか?ということです。
明らかに今年は調子が悪いなぁ…というチームであっても、ファンは応援し続けます。
そのチームの野球帽だって、2つ目、3つ目だと分かっていながら、購入する人もいます。
それは、なぜか?
様々な理由が考えられますが、そのチームが好きだから、結果がどうであれ応援するのです。
じゃあ、なぜそのチームが好きになるのか?
- 地元の球団だから親しみがある。
- あの選手の考え方や行動が好きだから。
- チームの雰囲気や監督の考え方が好きだから。
つまり、チームに関わる人の行動や思考が好きだから、強さ(機能や技術)が一番ではなくても応援したくなるのだと思います。
と、いうことは、
もし、あなたがカフェを営むのであれば、美味しいコーヒーも重要ですが、あなたがどんな人であるのかが重要だということになります。
実は、こんなことをMariage-artの平野陽子先生と話していて考えさせられたのです。
料理が教えたいのではなくて、家族が楽しく過ごせるようにしたいだけです
平野陽子先生は、こんなことを言われていました。
私は、料理教室をしていますが、凄い難しい料理が作れるようになって欲しいなんて全く思いません。それよりも、仕事から帰ってきた時に冷蔵庫を開けて、
「こんな物しかないのか…」って思うのではなくて、
「こんないい物が残ってたから、これ作ってみよう!」って言える人が増えて欲しいんです。
世の中は便利になりましたから、「こんな物しかないのか…」ってなってしまうと、何か買いに行けばいい!になってしまいます。
もちろん、買いに行くこともあっていいのですが、家でちょっと手を加えたら一品が作れます。
実は、その一品はノーリスクなんです。
失敗したら「ちょっと失敗してしまったね」ってみんなで笑えばいいんです。
結構上手にできたら「これ本当に美味しいね。」ってみんなで笑ったらいいんです。
私は、こんな風景を増やしたいから、料理を教えているだけですよ。
そう言いながら、隙間時間を見つけて子どもたちに「りんごのオヤツを作ろう」って誘われていました。
たくさんの生徒さんがいらっしゃる訳が十分に分かった気がします。
私の気持ちをより強く演出してくれるのが、この場所なのです。
さらに平野陽子先生はこんなことを言われました。
今は、お腹を満たそうと思えば、コンビニに行けばいいんです。
おにぎりだってお茶だって売っている時代ですから、反対にここで扱う食材は、できる限り自然の物にしたいじゃないですか。
ですからレッスンの時に使う材料の質にはこだわるのですが、そんな材料を使っているのに、発砲スチロールの器だったりしたら、なんだか残念じゃないですか。
だから私は器にもこだわりたいなぁって思うんです。
そして、そんな私の気持ちも汲んで、ちゃんと演出してくれるのが「空気がうまい家」なんです。
自然の物を使ってみんなで楽しく料理をしているのに、その部屋が、ビニルクロスだったり、合板のフローリングって、発泡スチロールに乗ったステーキみたいじゃないですか。
平野陽子先生の想いを思い出すだけで、Mariage-artでのお料理が食べたくなってしまいます。