新築やリフォーム・リノベーションに関わっていると、かなりの確率で、
という質問をされます。
京都・滋賀・大阪のお客様が多く、特に京都の冬は厳しいためにこの様な質問があって当然だと思います。
ところが、2020年現在、近畿地方程度の寒さであれば、
と断言しています。
きっと大手のハウスメーカーや工務店さんは、床暖房の設置を勧める中で、私が床暖房が不要だという理由を解説します。
【理由1】床暖房を使っているという声をあまり聞かない
これまで私は、京都・大阪・滋賀を中心に様々な店舗や住まいを設計し、作ってきました。
様々なニーズがあり、床暖房を希望されたために、設置した物件も多数あります。
ところが、初年度の冬は床暖房を使われることが多い様ですが、私の感覚では、年数が経つほど利用頻度が低下しているという印象があります。
ある滋賀県のお客様はこんな話をされていました。
きっとこの様な感覚の方は、あなたの周りにもたくさんいらっしゃると思います。
実際に、住まいラボの調査では、次の様な結果となりました。
(回答数567)
年数が経つほど、床暖房を使用していない傾向があることが分かります。
理由は様々考えられますが、課題点がありそうだという事は、推測できます。
【理由2】新規設置コスト・メンテナンスコストに課題
近年の床暖房は性能も高くなり、上手に利用すると、冬でも快適に過ごすことができますが、コストの面で課題を感じます。
質のよい床暖房システムほど設置費用のコストが高い
これは当然のことですが、全館の空調をコントロールし、且つ丈夫で、ランニングコストも抑えられた床暖房システムとなると設置費用はそこそこ必要になります。
一般的には、この程度の費用が必要だと言われています。
6畳 | 12畳 | |
電気式床暖房 | 30万〜50万程度 | 50万〜70万程度 |
温水式床暖房 | 40万〜60万程度 | 60万〜80万程度 |
床暖房の施工を行っている会社は、相当数あり、施工方法も様々なために、価格にバラツキがあるのが現状です。
万が一の修繕コストが高くリスクが高い
床暖房は、機械的なものですから、いずれ寿命を迎えることになります。
床暖房に力を入れている会社は、耐用年数が数十年と長いのですが、万が一壊れてしまった場合の修繕が大変になる可能性もあります。
床下のパイプに問題が生じてしまった場合は、床をめくる作業が必要になるために、場合によっては、新設よりも修繕にコストが必要になることもあります。
最近の住まいは、全体的に断熱性が向上しています。
断熱性が高いので、部屋が温まればそれで十分だと言われる方も多いのが現状です。
【理由3】 床暖房をオフにすると寒い
この様な声をあなたも聞いたことあると思います。
床暖房が機能しているときは快適ですが、オフにすると辛い状況になることは、概ね想像できるかと思います。
床暖房を設置するのであれば、フローリング材(表面の部分)の断熱性が優れていてはいけないのは明らかです。
もし、床材の断熱性が優れていたら、部屋は暖まりにくいくなってしまいます。
ということは、Tweetにもあった様に、床暖房をオフにすれば、寒くなりやすいということは十分想像できるはずです。
いくら、ランニングコストが下がってきたと言っても、決して安価ではありません。
その状態で、床暖房システムをオンにしておかないと寒い…というのは、不経済な気がしてしまいます。
【理由4】室内の空気環境リスクが大きい
床暖房を設置する場合、その表面のフローリング材に無垢材を使用することはありません。
それは、無垢材は、温度・湿度の変化などに応じて、微妙に変化するために、床暖房との相性はよくありません。
ということは、床暖房を設置すると決まった時点で、複合フローリング(一般的なフローリング)が使われることになります。
そのフローリングを加熱するとどうなるか?
フローリングに含まれている接着剤などが揮発して室内の空気環境が悪くなるリスクが十分考えられます。
特に、赤ちゃんやアレルギー体質の人にとっては、辛い環境になってしまう可能性も十分に考えられるために、私は、床暖房を設計に入れることはありません。
【理由5】床暖房なしで十分暖かく・涼しい環境は作れる
私たちが施工している空気がうまい家®︎では、室内の空気環境に拘っているために、特殊な方法で自然乾燥させた無垢材を使用しています。
上の写真の通り、床材は38mmもあり、空気もしっかりと含んでいるために、床材そのものだけでも断熱効果はあります。
もちろん、住まい全体に対しても断熱を行っているために、京都・大阪・滋賀周辺の地域程度の寒さでは、冬に床が冷たいと感じることはありません。
経年と共に痛む心配もなく、ランニングコストも必要ありませんから、床暖房は必要ないと考えています。
実際に、施工をされたHさん(京都市)はこんな話をしてくださいました。
特に真冬なんか床がめちゃくちゃ冷たいじゃないですか。
とてもじゃないですが裸足で歩くことなんてできませんでしたが、床を変えたら平気になりました。とは言っても、もちろん、冬の床は冷たいですよ。でも、底から冷え込むって感覚じゃなくて、冷たいけど暖かいって感じなんです。
体感したことがない人は意味が分からないと思いますが、この床を体感した人は分かってくれる表現だと思います。
まとめ
床暖房について思うことを書きました。
最近の住宅の断熱性能は高くなってきているために、床暖房の必要性が弱まってくるかもしれません(寒冷地は除く)。
ただ、断熱性の良し悪しは、地域差や人の感覚に左右されるところもあります。
ですから、床暖房に限らず、室内の温度に関して何か検討するべきことがある場合、とても寒い日・熱い日を狙って、各社のモデルなどを訪問することをおすすめします。
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
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