【化学物質過敏症と匂い】苦しくなる理由と今後の香害対策ポイント

住まいと健康
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渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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数年前から「香害」という言葉を目にする機会が増え続けています。

以前は、極めて一部の方の問題の様に言われていたことが、現在(2020年)では、かなり一般化してきました

 

例えば、大阪府枚方市香里小学校が配布している手紙にも、化学物質過敏症と匂いに関することが取り上げられています。

枚方市立香里小学校・校長室だより(画像クリックでPDFが開きます)

枚方市立香里小学校・校長室だより(画像クリックでPDFが開きます)

化学物質過敏症と匂い(香害)の問題は、私たちの身近な問題になってきていることは確かなことです。

その一方で、何も問題なく元気に過ごしている方からすると、

「たかが匂いでしょ。細かいことを気にしすぎ!」

という感覚があるかもしれません。

 

ただ、何らかの原因で化学物質過敏症の様な症状が出てしまうと、暮らしは一変してしまいます。

  • 好きな食べ物を食べることができない。
  • せっかくリノベーションした自宅に帰ることができない。

我が家の場合、現在は完全に問題を克服することができましたが、この様な生活を送っていた時期があります。

 

この様な生活は誰一人望まないはずです。

ですから、ここでは、

  • たかが匂いだけれどもどの様な問題がおきるのか?
  • なぜ、匂いが私たちに影響を及ぼすのか?
  • これからの生活の中でできそうな対策は?

について解説します。

 

化学物質過敏症と匂いの関係【どんな症状になるの?】

香害に関する生の声はTwitterにたくさん投稿されています。

 

もちろん、匂いの感じ方は個人差があるために、必ずしも上記の様な症状が出るとは限りません。

ただ、明確なのは、何か不快感を感じると、仕事や勉強などの集中力は大きく落ちてしまうこと

例えば、花粉症や風邪が原因で、鼻水がひどく出るだけでも、かなり集中力が欠けてしまうことは、誰もが体験したことがあるはずです。

因みに、電源が入っていないスマートフォンが近くにあるだけでも、集中力が低下する傾向が強くなることは研究からも明らかになっています。

それだけ、人は環境の影響を受けやすい生き物なのです。

くわしくは、こちらの記事を参照してください。

 

こうして見ると、匂いによる不快感を感じた場合も失うものは大きいことは想像できそうです。

一般的には、化学物質過敏症とまで言わなくても、匂い(香害)によって次の様な症状が出ると言われています。

かゆみ・咳・喘息・頭痛・吐き気など

これらにも程度はありますが、冒頭に紹介した大阪府枚方市香里小学校の手紙の様に、子どもの勉強をする機会さえも場合によっては奪ってしまうことにもなりかねません。

 

なぜ、たかが匂いが人の体に影響を与えるのか?

香害のマクロカプセルはイクラのイメージ(人工イクラは簡単に自宅で作れる)

香害のマクロカプセルはイクラのイメージ(人工イクラは簡単に自宅で作れる)

香害の最も大きな要因は、合成洗剤や柔軟仕上げ剤などの香りと言われています。

なぜ、合成洗剤や柔軟仕上げ剤の香りが、頭痛や吐き気の原因になるのでしょう。

 

香りを包み込んだマイクロカプセルが原因?

一般的に香害の原因は、マイクロカプセルだと言われています。

専門的な複雑な話はさておき、マイクロカプセルとは何かというと…

イクラ(あくまでもイメージです)

このマイクロカプセルは、洗濯や柔軟剤に限らず、食品や農薬など様々な分野で活用されています

イクラの様に、大切なものを包みこみ、必要に応じて破裂させることができると、次の様なメリットがあり、大変便利なために普及しました。

  • カーボンが不要な紙(圧が加わったところはカプセルが破裂)
  • 複数の薬も一緒に保存できる(化学反応がおきない)
  • 食品の保存性を高める(酸化しにくくなる)

などのことが可能になりました。

アイディア次第では、どんどん便利なものを開発できそうです。

 

そんな便利なものですが、洗濯洗剤、柔軟剤に入っているマイクロカプセルは、非常に小さいために目視することはできません

それが、空気中を舞い、何らかの刺激を受けた時に破裂し、香り成分が飛び出してくるのです。

洗濯洗剤や柔軟剤に使用されているマイクロカプセルのモデル

洗濯洗剤や柔軟剤に使用されているマイクロカプセルのモデル

これが空気中に蔓延するために、どんどん体内に入って来て、身体になんらかの影響が出るわけです。

私が最も大きな問題だと感じる点は、

最近、健康志向が社会的に強くなり、有機栽培などの野菜を食べ、適度な運動を心がけ、体調管理にも気を配っても、このカプセルがどんどん体内に入ってくる可能性が十分にある。

という点です。

 

マイクロカプセルを作って食べる勇気があるか?

マイクロカプセルの製法は様々なありますが、簡易的なものは家庭でも簡単に作ることができます。

以前、子ども達と一緒に作ったこともあるので、その時の手順と子ども達の感想を紹介します。

マイクロカプセルがどんなものか、体感も踏まえて理解しようと思う方は是非、ご自分でも作ってみてください。

 

人工イクラは簡単に作ることができる!

実際にイクラ(カプセルのイメージ)作りを開始した様子(家庭で簡単にできる)

実際にイクラ(カプセルのイメージ)作りを開始した様子(家庭で簡単にできる)

準備物

  • アルギン酸ナトリウム 
  • 乳酸カルシウム
  • スポイド
  • 割り箸
  • お料理用のボールまたはコップ
  • 食紅

特殊なものと言えば、アルギン酸ナトリウム乳酸カルシウムくらいです。

アルギン酸ナトリウム
乳酸カルシウム

STEP1 アルギン酸ナトリウムをお湯に溶かす

40℃程度のお湯100mlに対してアルギン酸ナトリウムを1g溶かします。

アルギン酸ナトリウムは少しずつ溶かさないと、ダマになりますので、少量ずつゆっくりと溶かしていきましょう。

割り箸でかき混ぜながら溶かしても5分程度はかかります。

 

SETP2 アルギン酸ナトリウム水溶液に色をつける

STEP1のアルギン酸ナトリウムが溶けたお湯に、食紅を使って色をつけます。

この時に、少し出汁醤油なども加えて味をつけてもOKです。

 

SETP3 乳酸カルシウムを溶かす

180mlの水に20gの乳酸カルシウムを溶かします。

乳酸カルシウムは、ダマになりにくく、常温でも割とすぐに溶かすことができます。

 

SETP4 ポタポタと着色した水溶液を乳酸カルシウムに落とす

ここが一番楽しい工程です。

着色したアルギン酸ナトリウム水溶液をスポイトでとって、乳酸カルシウム水溶液の中に一滴ずつ落としていくと、小さなゼリー状の玉が瞬時に出来上がります。

こうしてできた人工イクラは食べることができますが、小さな球体のゼリーという感じで、残念ながら、プチプチ口の中で弾ける感覚はあまり得られません。ただ、この中に上手に液体を入れると食べられるマイクロカプセルになるというイメージはできると思います。

 

これを体験した子ども達の感想は…

食べられるって分かっていても、ちょっと食べるのは勇気いるなぁ…。作っている時は美味しそうって思ったけれど、やっぱりドキドキするわ。
こんな作り方を発見した人と本物のイクラは凄いと思う。でも、食べるのは勇気がいるわ。本物のイクラなら喜んで食べるし、勇気も要らないけどね。

 

そして、これがもしプラスチックでできているとしたらどう?と質問してみると。

そんなの食べる訳がないだろう!病気になるというか死んでしまうかもしれないじゃないか!

と激しく言われてしまいました。

ところが、香害の元と言われるマイクロカプセルは、プラスチックでできているものもたくさんあります。

 

匂いの害(香害)になるカプセルはプラスチック?

看護における生活環境汚染汚染の理解とその重要性によると、

高残香性の付加価値を付加価値を付ける目的でマイクロカプセルが使用されている。マイクロカプセルとは、数ミクロンから50ミクロン程度の樹脂製カプセルのことであり…

看護における生活環境汚染汚染の理解とその重要性より

と書かれています。

つまり、カプセルの材料としてプラスチックが使われているということです。

また、カプセルの壁材料には、イソシアネートが使われています。

イソシアネートの危険性については、冒頭で紹介した大阪府枚方市香里小学校にもはっきりと書かれています。

こうしたものを、

満員電車・学校・会社など…

で健康や環境に対して意識している人も、意識していない人もどんどん、体内に取り込んでいるということが起きているのが現状です。

ただ、私はこの様な話をして、怖い時代がやってくるという話がしたい訳ではありません。

 

これから、私たちが意識したいこととできる対策は?

床材になった木も家族の声を聞いて変化する(空気がうまい家®︎)

床材になった木も家族の声を聞いて変化する(空気がうまい家®︎)

私たちの生活全体を見てみると、「自然なまま」のものがほとんどありません。

衣類・食品・住居

どれも、人工的なものばかりで、ほとんどの人が、土の上すら歩く機会がないという日々を送っています。

人は歴史的に長らく自然と付き合って生きてきました。

けれども、ここ最近、たった100年程度で、自然との付き合いが遠くなってしまい、もはや、ほぼ絶縁状態の人も多いように感じます。

ここに気付くことがとても大切だと思うのです。

 

この状態から完全に脱却することは、ほぼ不可能ですが、ほんの少しでも自然に触れる機会を作ることは、誰でもできそうです。

例えば、

  • 森林がある公園を散歩してみる
  • 自宅で植物を育ててみる
  • 鳥や虫の声に耳を傾けてみる
これを意図的にしようとする人が増えるだけでも社会は大きく変化すると思います。

理想的な社会は、宮沢賢治が目指した社会

  • 動物にとって優しい社会
  • 植物にとって優しい社会
  • 人間にとって優しい社会

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

こちらの記事も参考に!

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