築100年以上!三重塔・五重塔が地震で倒壊していない理由!

住まいと安全
渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する元小学校教諭。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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2018年は、とても災害の多い年となりました。

地震や台風によって、たくさんの建物が被害にあいました。

その為でしょうか。

これから住まいを持とうと考えている方からは、耐震について詳しく知りたいという声の量が以前より随分増えた様に感じます。

ところが、

長期優良住宅などという肩書きだけで判断をすることは危険です。

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実際、こうした制度がなかった時に建てられた、三重塔・五重塔は次の様に言われています。

 

近代的なマンションやビルは地震で倒壊するが、
三重塔や五重塔などが地震で倒れたとは聞かない。

 

三重塔・五重塔などは築百年以上のものがほとんどな上に、独特の形状をしています。

決して安定的な形だとは言えませんが、なぜ、五重塔・三重塔は倒れないのでしょうか。

 

実は、優れた免震構造となっており、現代の建築技術に取り入れられつつあるのです。

どんな構造になっており、どうやって免震されているのか詳しくみていきましょう。

 

三重塔・五重塔は阪神淡路大震災でも倒壊しなかった?

五重塔が激しい地震でも倒壊しなかったという話は、様々なところで言われています。

五重塔は地震による倒壊がほとんどありません。

激震に見舞われたとき、隣に建つ御堂が倒れても木塔だけが残るケースも多いのだそうです。

かの伊東忠太(建築家・建築史家)も、

「関東大震災でも五重塔はまったく損害がなく、歴史上、五重塔が倒れたケースを知らない」

と伝えています。

1995年の阪神・淡路大震災においても、兵庫県にある15の三重塔はほとんど無損傷でした。

(ほぼ日刊イトイ新聞より)

まだまだ、科学的に三重塔・五重塔が倒壊しない理由は、解明されていない点もたくさんあると言われていますが、解明されている部分だけをみても、地震に強い理由は、十分納得できます。

地震大国である上に、歴史上、五重塔が倒れたケースを知らないとまで言われる優れた建築物から私たちは多くの事が学べそうです。

 

なぜ、三重塔・五重塔は地震で倒壊しなかったのか?

様々な方がこの不思議な現象について研究をされています。

阪神淡路大震災の折には、京都市も激しく揺れ、学校などの壁面にはヒビが入り、窓ガラスも割れるような被害がみられました。

現代の建築物がそのような被害を受けたにも関わらず、高さ55メートル・木造建築物で日本一の高さを誇る東寺の五重塔は被害がありませんでした。

しかも1644年に再建されたものですから、約築370年となります。

 

三重塔・五重塔は重箱のような構造をしている。

三重塔は3階建、五重塔は5階建のようなイメージですが、地面から上部にかけて長い柱があり、その間に各フロアが設けられているという構造にはなっていません。

簡単にいうと、1階の上に2階が乗せられ、その上に3階が乗せられているという構造です。

重箱を重ねていくようなイメージです。

想像をすると大変危ない印象を受けるかもしれませんが、上のフロアが重ねられる際に、ちょっとした遊び(隙間)が設けられているのです。

ですから、上の階に行けばいくほど、揺れが小さくなる免震構造になっているのです。

 

さらに、木材自体が振動を吸収している。

木は、鉄やコンクリートと異なり、外部から力が加わると変形します。

ところが、外部からの力が抜けると元に戻るという性質があります。

昔から使われている竹ぼうきもこうした性質を見事に利用した道具の一つです。

 

人間も同じく、高いところから飛び降りた時には、本能的に膝を曲げ着地した時の衝撃を吸収しようとします。

もし、着地しても膝を曲げてはいけないという事で、膝を固定されたとすれば、大怪我に繋がってしまいます。

つまり、建物にしても、体にしても、外部からの大きな力から守ろうとするならば、力を吸収するようなちょっとした変形(しなやかさ)が重要だという事が言えるのです。

こうしてみると、硬くて丈夫なものほど強いという印象が違って見えてくるのではないでしょうか。

そもそも、木は何百年と生きてきましたから、その間に起きた出来事に対して何らかの対応策を考えながら命をつないできたと考えていいはずです。

近代的な鉄筋はとても硬く、丈夫な印象があるのですが、硬いだけでは大きな力を吸収する事が難しいのです。

近年の建築にもしなやかさが重要だと見直され、基礎には大きな積層ゴムも用いられる様になってきました。

昔から用いられていた技術が、近年になって形を変えて利用される様になったのです。

 

心柱の存在が強い!

三重塔・五重塔には心柱というものが1本通っています。

上の図の柱の事です。

たった1本、この柱があるのか、ないのか…で揺れに対する強度は大きく変わります。

重箱を想像すると分かりやすいですが、通常の重箱を重ねた状態で机を激しく揺らすと、ある程度の揺れまでは耐える事ができますが、やがて綺麗な重なりがズレる事は想像できるはずです。

ところが重箱の中心に穴を開け、心柱のようなものを一本通すとどうでしょう。

左右の揺れに対して格段に強くなる事が想像できるはずです。

 

数百年前の人々の知恵と技術がすごい理由

もしかしたら、私たちは、頭から昔は様々なことに対して技術がまだ発達していないと思い込んでいるのかもしれません。

ところが、生活の様々な部分に不自由があったからこそ、その問題を解決しようと、身の回りをよく見る目が育っていたのではないでしょうか。

厳しい自然の中でも生き延びてきた動物や植物から学ぼうとする視点。

 

例えば、田畑で作業されている方は、こんなことも言われます。

今日は天気予報では晴れと言っていたけれど、この分だと午後から雨が降りそうやなぁ…。
早めに作業を切り上げた方がいいだろうなぁ。

確かに、近年の天気予報はとても優れています。

ところが、田畑で作業をされ、この様なことを言われる方は、技術自分の観察力を使ってさらに天気予報の精度を高めているのです。

 

三重塔・五重塔が圧倒的に地震に強いというのも、代々伝えられた技術と当時建築に関わった方の周りを見る目の二つが相重なって実現したのではないでしょうか。

地震に強い家を求めるのであれば、もちろん最新の技術データを調べることも重要ですが、それに留まらず、あなたの身の回りで長く生き延びてきたものを探す視点も大切にして欲しいのです。

家づくりというのは、素晴らしい家に出会うことももちろん大切ですが、それ以上にあなたのものの見方が豊かになるチャンスでもあるのです。

 

まとめ

三重塔や五重塔が地震に強い秘密に迫ってみました。

改めて当時の建築技術に迫ってみると、私たちはまだまだ先人から多く学ぶ要素がたくさんある様に感じます。

  • 実際、三重塔や五重塔が地震で倒壊したという事例がない。
  • 三重塔や五重塔が地震に強いのは、少しの遊び(ゆとり)・しなやかさ・心柱があったため。
  • 古来のものだから技術が十分に発達していないとは限らない。
  • 家づくりを通して、身の回りの自然を見る目を大事にして欲しい。

本当の財産というのは、あなた自身に宿るものの見方や考え方ではないでしょうか。

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