【読み物】春の訪れと苦い楽しみの話

自然の営み
渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する元小学校教諭。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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今年(2019年)の春の訪れは早いのでしょうか?

まだ2月だと言うのに、「菜の花」をいただきました。

大寒を過ぎ、「菜の花」をいただいて、ゆっくりと春に向かうのかなぁ…なんて思った矢先に寒波がやってきました。

まさに三寒四温を感じた瞬間でした。

きっと少し早まってしまった「菜の花」も不意打ちの様な寒波にジッと耐えているのだと思います。

今日は、そんな菜の花に思いを寄せて、「苦い楽しみの話」をしたいと思います。

 

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菜の花も山菜も何が美味しいのか分からない

子どもの頃、春がやってくると、祖父や祖母がたくさんの山菜をとってきたものです。

「今夜は、ご馳走だなぁ。」

そう言いながら、ワラビ・タラの芽・ユキノシタ・菜の花など…たくさんの山菜が台所に並べられます。

祖母の口癖は、

「こういう山菜をしっかりと食べたらなぁ、病気せえへんで。」

そう言って、嬉しそうにしているけれど、私にすれば、何がご馳走なのかもわかりません。

子どもにすれば、不味いお薬を食べさせられる様なものだったのです。

どれを食べても似た様なもので、ただ苦いだけです。

 

周りの大人は、夕食時にお酒を呑みながら、「あぁ春の香りだねぇ…」なんて言って嬉しいそうにしているけれど、お酒もなんだか臭いし、山菜は苦い。

そんなものが美味しいなんて感じる大人は変な生き物にしかみえませんでした。

 

子どもの感覚は正解!なんで、山菜は苦いのだろうか?

何歳で、この山菜の苦味を美味しいと感じる様になったのだろう?

その変わり目は、いつだったのか全く覚えていませんが、今は、山菜の苦味が大好きです。

今では、春になると、例年近所の方々と山菜を採りに出かけ、採れた山菜で夕食を楽しみます。

まさに、今の子ども達からすれば、私は「不味いものを食べる変な生き物」なのです。

 

山菜を採りながらこんな話をします。

男の子
男の子

なぁ、なんで山菜は苦いのばっかりなん。

もっと美味しいのはないの?

農家の山さん
農家の山さん

春になって、美味しい芽が出てきたらどうなる?

男の子
男の子

いっぱい食べるに決まっているやん!

農家の山さん
農家の山さん

だから、苦いんだよ。

美味しかったら、動物も人間もみんな芽を食べてしまうじゃないか。

近所の方々と子どものやりとりを聞きながら、なるほど…なんて思うのです。

どの植物も、子孫繁栄が第一であって、動物や人間に食べて欲しい…なんて思っていません。

とすると、子どもが「山菜は苦くて不味い」と感じることは、山菜達にとっては、とても嬉しいことなのかもしれません。

 

じゃあ、なぜ、大人になるとあの春の苦味が美味しいと感じるのか?

きっと、人として成長してくると、自然の中のルールが分かり、

「全部を食べ尽くしてはいけない…」

って事が分かってくるからかもしれません。

 

そう考えると「春の苦味が美味しい」と感じられるのは、

「自然のルールが分かってきたね」という合格証の様な気が気がしてきます。

そんな事を思いながら、いただいた菜の花をお浸しにすると、より美味しいものです。

 

菜の花と言えば、おひたし

菜の花の料理は、お浸し・辛子和え・炒め物など、色々ありますが、やっぱり定番の「お浸し」が春の香りを最も楽しめるように思います。

調理方法もとても簡単ですから、ぜひ、試してみてください。

菜の花のおひたしのレシピ/作り方:白ごはん.com
白ごはん.comの『菜の花のおひたし』のレシピページです。菜の花のおひたしは”だし汁を使わずに、菜の花をゆでた時のゆで汁を使う”という作り方がおすすめ。ゆで汁に十分味わいがあるので、ぜひ試してみてください。好みで辛子を溶いて、からし和えのような仕上がりにしても!

 

おひたしとは?
野菜や山菜などを茹でて、醤油をかけたもの。
もともとは、出汁に浸す過程もあったために「おひたし」と呼ばれるようになった。

近年の料理は、「焼き・揚げ」が増えて、家庭で出汁を取る風景も減ってきたように思います。

その影響もあるのでしょうか。

「おひたしって何?」っていう子どもも増えてきた様に感じます。

それぞれの時代に流行りの調理方法ってあると思いますが、少し、寂しさも感じます。

 

山菜は苦いけれども、食べる資格がない人も…

春がやって来て、山菜を採りに行くと、時々残念な風景に出会います。

特に、山菜の王様と呼ばれる「タラの芽」は全てが摘まれているのを見かけます。

 

長く厳しい冬を耐えて、木々はやっとの思いで芽を出します。

彼らは動物達に食べられない様に、苦味満載で新しい春を乗り越えようとしています。

それを根こそぎ摘んでしまうと、どうなるのか?

残念ながら木は死んでしまいます。

本来なら、この先何年も春の香りを私たちに与えてくれた筈なのに…。

 

山菜の苦味が美味しいなぁと感じる事ができるのなら、春の苦い香りは、「ほんの少しお裾分けしてもらう」そんな感覚を大切にしておきたいなぁと思うのです。

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