お花見の由来から暮らしを豊かにする文化について考える

【読み物】自然の営み
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九谷田 義之

不動産・施工に関するお金に詳しい人。同じ費用をかけるなら本当に重要なところに費用をかければいい。削減できるところは削減も惜しまない。なぜかお客様の子どもに愛される。

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例年、3月末から4月にかけては、慌ただしく、進学・転勤・異動が伴うという人も多いでしょう。

それなのに、桜が咲き出すと「いつ花見に行く?」なんて話が出てきます。

外でのんびり花を見ながら、美味しいものを食べて、お酒を呑んで…

のんびりとした「花見」と「年度始めの忙しさ」相反するものが重なりあう風景は不思議に感じられます。なぜ、わたし達は、花見が好きなのでしょうか。

何でもないような話かもしれませんが、これを考えることを通して、私たちが暮らしの中で大切にすべきものが見えてきそうです。

食べ物をとても大切にしてきたからこそ、花見が好き?

地球規模で四季の変化が楽しめる国を探すと、案外少ない事に驚かされます。

海外に住んでいる子ども達からすれば、毎日、大根、きゅうり…という生活が羨ましいそうです。

その理由は、以下の記事でも紹介しています。参考にしてください。

【季節の野菜を食べる】季節の大根を食べるメリット
冬は毎日、大根・白菜の料理ばかり。あなたも子どもの頃、またかぁ…と思ったことがあると思います。ところが、少し視野を広げると、毎日、大根や白菜だからこそいい!と思えることもたくさんあります。

こうしたことを踏まえつつ、「花見」という文化を改めて見ると、

「花見」の文化は、食生活と深い関わりがある

ということも言えそうです。

歴史的に見ると貴族が花見を楽しんでいたらしい。

平安時代の貴族達は、すでに「花見」を行っていたことはよく知られています。

なぜ、平安貴族は「花見」を行っていたのか?

当時の生活を元にして、子ども達(海外の中学生)と考えてみました。

子ども達の推測ではありますが、歴史的に言われていることと大きく相違はありませんでした。

  • する事がないから花を眺めていた。
  • お米や野菜を育てていたから、花の咲き具合を見て気候を知ろうとした。
  • 花見をして、俺は余裕があるぜ!っていう雰囲気を出したかった。

どの意見もよく考えられているなぁと思いました。

子ども達の推測を簡単に紹介します。

する事がないから花を眺めていた

電気もない、もちろん、スマホもテレビもない時代で、優雅に生活をしたと言われた貴族。

暇な時間が思った以上にあり、のんびりと花や木々を眺めていたのかもしれません。

お米や野菜を育てていたから、花の咲き具合を見て気候を知ろうとした。

農業をしながら食べるものを得ていた人が多いために、季節の変化や天気はとても気にする人が多かったのではないだろうか。

花が咲くタイミングを見ながら農作業を開始する日程を決めていたのかもしれない。

今でも、農業をしている人は、よく天気や天候の話をしている印象がある。

花見をして、俺は余裕があるぜ!っていう雰囲気を出したかった。

ある程度、権力があるのを見せつける事も大切だったために、忙しそうにするのではなくて、のんびり「花見」でもして、贅沢をする必要があったと思う。

今でいうと、高級な食事をしている所を人に見せるとか、高級車に乗る人の気持ちに似ている所があるような気がする。


実際に、秀吉は盛大な「花見」を行った事は有名ですから、権力を敢えて見せる事も意識していたのかもしれません。

こうして、なぜ、花見をするのだろう?と考えてみると、私たちの生活と深い関わりがあるように感じます。

他の文化についても、長年受け継がれてきたものは、生活と深い関わりがあるはずですから、その理由を調べてみたり、推測してみたりする事で、新しい発見がありそうです。

こうして、「花見」のシーズンには主役級の桜なのですが、シーズン以外にも私たちを喜ばせてくれるのです。

意外と知られていない年を重ねた桜の木がもつ良さ

アイドルの様だった桜の木も「花見」のシーズンが過ぎてしまうと、寂しそうに見えます。

学校でも、卒業式・入学式・始業式の辺りでは、「桜が綺麗だね」と花が咲いている事が喜ばれますが、こうした行事が終わり、花が散り始めると、散った花びらは邪魔モノになってしまいます。

小学生の子ども達も「花びらが散らばり過ぎじゃない?掃除が大変やんか。」などと言いながら掃除をしていました。

「桜の花」だけを見ていると、確かに「花見」シーズンが終わる頃には、邪魔な存在なのかもしれませんが、桜の木からも私たちは、恩恵を受けているのです。

2つ紹介します。

秋田県の樺細工(桜の樹皮を使って作られるもの)

樺細工とは、日本の伝統的な木工工芸品として密かに知られています。

「樺」という漢字が用いられていますが、実際は桜の樹皮を使って、茶筒などが作られています。

例えば、「角館伝四郎」では、この様な茶筒が販売されています。

総皮茶筒 小口張(藤村浩美 作) - 藤木伝四郎商店 オンラインストア|角館 伝四郎 DENSHIRO
伝統工芸士 藤村浩美 作桜皮を研磨した無地皮を用いています。小口(外蓋と身が接する細い面)に桜皮を貼る等、細部にも気を配って仕上げられています。経年変化を楽しみながらお使いいただきたい逸品です。サイズ(約):直径8 高さ12 c

お茶っ葉を入れるだけの容器が10,000円程ですから、非常に高価なのかもしれません。

ただ、これらはずっと使えるモノを目指して作られているようです。

空き瓶にお茶の葉を詰めておくのもいいかもしれませんが、こうした容器に、お茶の葉を入れ、お茶をいれる度に贅沢な気分を楽しむのもいいのではないでしょうか。

こんな一文も書かれていました。

樺細工は手で触れることで色・つやが経年変化するため、年を重ねるごとにいろいろな表情や風合いを楽しむことができる伝統工芸品です。

さらに、樺細工にはこの様な特徴があるそうです。

樺細工には、乾燥した物の湿度を一定に保ち、外部からの変化から守る特徴がある。

つまり、経年とともにゆっくりと変化をしていき、呼吸をしているという事です。

桜の木から剥がされても、生き続けているような印象を受けます。

燻製(スモーク)をする際に最も愛されているのが桜の木

近年は、アウトドアが好きな方や料理が好きな方の間で、燻製をされる方が増えてきました。

あなたもご存知の通り、細かく砕いた木材に熱を加えていくと、煙が出てきます。

この煙の中に食材を入れて、香りをつけていくというのが、燻製の基本的な考え方です。

焼肉店に行くと、衣類に焼肉の匂いがつくのも燻製と似たようなものです。

ですから、燻製をする際に最も重要になるのは、何で発煙させるか?という事です。

一般には、次の様なものが使われています。

  • サクラ
  • リンゴ
  • くるみ
  • ヒッコリー

他にも様々ある上に、こだわりの強い方になると、これらをどうブレンドして香りを作るのか?

そんなことを追求されている方もいらっしゃいます。

どれも、それぞれいい香りなのですが、やはりどんな食材にも似合い、癖がないなぁ…と感じるのがサクラです。

ですから、サクラでスモークチーズを作ったり、ベーコンを作ったりして楽しんでいるのですが、こうしたものを食べると、オフシーズンのサクラを見ても、サクラって偉大だなぁと思うのです。

さらに、燻製をする際に、よりよい香りを出すには樹齢が高いサクラの方がいいと言われています。

スモークをする際に使われるスモークチップやスモークウッドに樹齢が表記されることはありませんが、年月を重ねた分、味わいが深いという事を私たちに教えてくれている様に思います。

ものごとの背景を知ることは、暮らしを豊かにすること

随分、便利な時代になりましたが、未だに「花見を楽しむ」ということが行われているのは、

自然と一緒に時間を過ごす楽しさを本能が求めている

ということだと思います。

特に古くから「桜を見る」ことを行ってきたのは、一見、華やかに見える桜の背景にも、地味な部分や人と似た部分があるということを感じることができたためではないでしょうか。

現代は、様々技術が進歩して、パッとみて分かりやすい機能・便利さが人気を集めますが、ものごとの背景を知ることがとても大切だと思うのです。

  • 何気に食事の際に出された葉野菜
  • 自分で育てた葉野菜を食事の時にいただく

全く同じ種類の葉野菜であってもこの2種類の味わいは大きく異なるのではないでしょうか。

私たちは、住まいづくりを行っていますが、ただ、素晴らしい機能性をもった住まいを提供するのではなく、

  • 人と自然の関係
  • 住まいに使われる材料の生い立ち

などもお伝えする様にしています。

こうすることによって、暮らしの背景にも目が向けられるような暮らしが実現すれば、それは、「花見の文化」の様に、廃れることがないと思うのです。

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