【読み物】桜が花見の影で教えてくれる年を重ねる魅力

自然の営み
渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する元小学校教諭。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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まだ2月(2019年)だというのに、もう桜の蕾が見え始めました。

例年、3月末から4月にかけては、忙しいものです。

人によっては、転勤・異動もあります。

もちろん、大人だけに限らず、子どもも新年度の準備をしないといけませんから、何かと慌ただしいものではないでしょうか。

それなのに、桜が咲き出すと「いつ花見に行く?」なんて話が出てきます。

外でのんびり花を見ながら、美味しいものを食べて、お酒を呑んで…

 

のんびりとした「花見」「年度始めの忙しさ」

相反するものが重なりあって不思議だなぁと思います。

なぜ、わたし達は、花見が好きなのでしょうか。

 

食べ物をとても大切にしてきたからこそ、花見が好きなんだ!

地球規模で四季の変化が楽しめる国を探すと、案外少ない事に驚きます。

海外に住んでいる子ども達からすれば、毎日、大根、きゅうり…という生活が羨ましいそうです。

その理由は、こちらを参照してください。

【読み物】毎日、冬の大根料理を食べられる事は幸せなんだ!
冬は毎日、大根・白菜の料理ばかり。あなたも子どもの頃、またかぁ…と思ったことがあると思います。ところが、少し視野を広げると、毎日、大根や白菜だからこそいい!と思える話を子どもが教えてくれました。

 

どうやら「花見」の文化は、食生活と深い関わりがあるそうです。

 

歴史的に見ると貴族が花見を楽しんでいたらしい。

平安時代の貴族達は、すでに「花見」を行っていたそうです。

なぜ、平安貴族は「花見」を行っていたのか?

当時の生活を元にして、子ども達(海外の中学生)と考えてみました。

  • する事がないから花を眺めていた。
  • お米や野菜を育てていたから、花の咲き具合を見て気候を知ろうとした。
  • 花見をして、俺は余裕があるぜ!っていう雰囲気を出したかった。

 

どの意見もよく考えられているなぁと思いました。

厳しい冬が終わり、桜の花が咲くほど暖かくなってきた…というのは、当時の人にすれば、女神様の出現の様に嬉しかった事じゃないかなぁと思います。

当時は、暖房器具も充実していなかったのですから、春の訪れはきっと現代人以上に嬉しい事だったのでしょう。

 

子ども達の推測を簡単に紹介します。

する事がないから花を眺めていた

電気もない、もちろん、スマホもテレビもない時代で、優雅に生活をしたと言われた貴族。

暇な時間が思った以上にあり、のんびりと花や木々を眺めていたのかもしれません。

 

お米や野菜を育てていたから、花の咲き具合を見て気候を知ろうとした。

農業をしながら食べるものを得ていた人が多いために、季節の変化や天気はとても気にする人が多かったのではないだろうか。

花が咲くタイミングを見ながら農作業を開始する日程を決めていたのかもしれない。

今でも、農業をしている人は、よく天気や天候の話をしている印象がある。

 

花見をして、俺は余裕があるぜ!っていう雰囲気を出したかった。

ある程度、権力があるのを見せつける事も大切だったために、忙しそうにするのではなくて、のんびり「花見」でもして、贅沢をする必要があったと思う。

今でいうと、高級な食事をしている所を人に見せるとか、高級車に乗る人の気持ちに似ている所があるような気がする。

 

実際に、秀吉は盛大な「花見」を行った事は有名ですから、権力を敢えて見せる事も意識していたのかもしれません。

 

こうして、なぜ、花見をするのだろう?と考えてみると、私たちの生活と深い関わりがあるように感じます。

他の文化についても、長年受け継がれてきたものは、生活と深い関わりがあるはずですから、その理由を調べてみたり、推測してみたりする事で、新しい発見がありそうです。

 

こうして、「花見」のシーズンには主役級の桜なのですが、シーズン以外にも私たちを喜ばせてくれるのです。

 

意外と知られていない年を重ねた桜の木がもつ良さ

アイドルの様だった桜の木も「花見」のシーズンが過ぎてしまうと、寂しそうに見えます。

学校でも、卒業式・入学式・始業式の辺りでは、「桜が綺麗だね」と花が咲いている事が喜ばれますが、こうした行事が終わり、花が散り始めると、散った花びらは邪魔モノになってしまいます。

小学生の子ども達も「花びらが散らばり過ぎじゃない?掃除が大変やんか。」などと言いながら掃除をしていました。

「桜の花」だけを見ていると、確かに「花見」シーズンが終わる頃には、邪魔な存在なのかもしれませんが、桜の木からも私たちは、恩恵を受けているのです。

2つ紹介します。

秋田県の樺細工(桜の樹皮を使って作られるもの)

樺細工とは、日本の伝統的な木工工芸品として密かに知られています。

「樺」という漢字が用いられていますが、実際は桜の樹皮を使って、茶筒などが作られています。

例えば、「角館伝四郎」では、この様な茶筒が販売されています。

総皮茶筒 小口張 (藤村浩美 作) - 藤木伝四郎商店 オンラインストア|角館 伝四郎 DENSHIRO
 伝統工芸士・藤村浩美の茶筒。桜皮を研磨した無地皮を用いています。小口(外蓋と身が接する細い面)に節のない部分の桜皮を貼り、細部にも気を配って仕上げました。経年変化を楽しみながらお使いいただきたい逸品です。サイズ(約):直径

 

お茶っ葉を入れるだけの容器が10,000円程ですから、非常に高価なのかもしれません。

ただ、これらはずっと使えるモノを目指して作られているようです。

空き瓶にお茶の葉を詰めておくのもいいかもしれませんが、こうした容器に、お茶の葉を入れ、お茶をいれる度に贅沢な気分を楽しむのもいいのではないでしょうか。

こんな一文も書かれていました。

樺細工は手で触れることで色・つやが経年変化するため、年を重ねるごとにいろいろな表情や風合いを楽しむことができる伝統工芸品です。

さらに、樺細工にはこの様な特徴があるそうです。

樺細工には、乾燥した物の湿度を一定に保ち、外部からの変化から守る特徴がある。

つまり、経年とともにゆっくりと変化をしていき、呼吸をしているという事です。

桜の木から剥がされても、生き続けているような印象を受けます。

 

燻製(スモーク)をする際に最も愛されているのが桜の木

近年は、アウトドアが好きな方や料理が好きな方の間で、燻製をされる方が増えてきました。

あなたも知っている通り、細かく砕いた木材に熱を加えていくと、煙が出てきます。

この煙の中に食材を入れて、香りをつけていくというのが、燻製の基本的な考え方です。

焼肉店に行くと、衣類に焼肉の匂いがつくのも燻製と似たようなものです。

ですから、燻製をする際に最も重要になるのは、何で発煙させるか?という事です。

一般には、次の様なものが使われています。

  • サクラ
  • リンゴ
  • くるみ
  • ヒッコリー

他にも様々ある上に、こだわりの強い方になると、これらをどうブレンドして香りを作るのか?

そんなことを追求されている方もいらっしゃいます。

どれも、それぞれいい香りなのですが、やはりどんな食材にも似合い、癖がないなぁ…と感じるのがサクラです。

ですから、サクラでスモークチーズを作ったり、ベーコンを作ったりして楽しんでいるのですが、こうしたものを食べると、オフシーズンのサクラを見ても、サクラって偉大だなぁと思うのです。

 

さらに、燻製をする際に、よりよい香りを出すには樹齢が高いサクラの方がいいと言われています。

若鶏よりもヒネ鶏、新生姜よりもヒネ生姜…の方がそれぞれの特徴がしっかりと出て、複雑な味わいがあります。

スモークをする際に使われるスモークチップやスモークウッドは、「ヒネスモークチップ」とは言いませんが、年月を重ねた分、味わいが深いという事を教えてくれた様に思います。

ヒネって何?
古くなった穀物や野菜。特に、一年以上前にとれた穀物。

 

特に美容の世界では、若い程いいという風潮がありますが、人も経年とともに出てくる味わいって魅力的だなぁと思います。

既に、亡くなられてしまいましたが、渥美清さんも経年とともに味わいが深くなっていった様に感じます。

また、今も活躍されている小林薫さんも格好いいなぁ…と思います。

たかが花見、されど花見。

花見について少し考えてみても生き方まで繋がる様な発見があったのです。

渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する元小学校教諭。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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