【読み物】ファーストフード店の内装から人の心理を考える

【読み物】自然の営み
北村美千代

数々の店舗、住まい、文化財の新築・修繕のプランを行う。自由度が低く、制限があればあるほど建物のプランを考えるのが楽しくなってくるという習性がある。プランを考えている時間が至福の時間。

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京都市周辺に住んでいると、たくさんのファーストフード店を見かけます。

マクドナルド・ガスト・サイゼリア・ケンタッキーフライドチキン、

ご飯もののお店になると、吉野家・すき家・なか卯…

改めてお店を挙げてみると、たくさんあるなぁとつくづく感じます。

 

ここで、特に洋食系のファーストフード店の内装を思い出してみてください。

あなたは、これらのお店の内装の共通点に気づいたでしょうか。

 

ファーストフード店の内装は、わざと派手にしている!

このファーストフード店も、改めて内装を見るととても派手なことが分かります。

そして、また、別グループのお店も派手な色使いがなされています。

 

反対に、懐石料理をいただくようなお店には、一切、派手な色使いが見られません。

なぜ、ファーストフード店には、派手な色が使われているのでしょう?

ファーストフード店は、見事に人の心理を利用して店内の内装を施しているのです。

 

教科書「時計の時間と心の時間」より

小学校六年生が使用している国語の教科書(光村図書)に次の様な記述があります。

身の回りの環境によっても「心の時間」の進み方は変わります。これは身の回りから受ける刺激の多さと関係があります。実験は、円で表した刺激の数と時間の感じ方との関わりを調べたものです。複数の参加者、様々な数の円を、同じ時間、映した画面を見てもらいます。そして、円の増減によって、円が表示されていた時間をどのくらいに感じたのか調べました。すると、表示時間が同じでも、円の数が増えるほど、長く映っていた様に感じる傾向があったのです。

(時計の時間と心の時間 より)

 

つまり、刺激の多い室内にいると、私たちは長く感じるということです。

さらに、こんな実験結果もあります。

 

赤い部屋と青い部屋の実験

(画像:建築回収解決.COMより)

赤で統一された部屋と青で統一された部屋に人が入るとどう感じるのか?

これらについて調べた有名な実験があります。

 

体感時間を調べる方法

  • 実験複数の人を集め、赤い部屋に入るグループ・青い部屋に入るグループに分けます。
  • それぞれの部屋に入り、1時間が経過したと思ったら部屋の外に出る。

 

結 果

  • 赤い部屋のグループ
    実際に経過した時間:40〜50分
    心拍数:増加
    体温:高くなる
  • 青い部屋のグループ
    実際に経過した時間:70〜80分
    心拍数:減少
    体温:低くなる

これで、ファーストフード店の内装が派手な理由が見えてきたでしょうか。

室内の刺激を強くして、長く店内にいたような錯覚が起きることを期待しているのです。

そうすることで、客足の回転を良くしようという工夫がなされています。

 

近年、スポーツの世界にも変化が起きている!

近年の陸上競技場のトラックの色は、青色です。

従来は、レンガの様な色のトラックだったのですが、

青色にすることで、心拍数が抑えられ、選手がリラックスできるようになります。

スポーツをする場合、情熱的な赤の方が良さそうな印象もありますが、トラック競技のように、シンプルに「走る」という場合には、リラックスして冷静になることの方が重要だそうです。

反対に、アメフトの様なスポーツは情熱的な方がいいのかもしれません。

アメフトの選手が利用するロッカールームは、赤が目立つような作りになっている事が多いです。

 

日々の生活を送るのなら、刺激が弱い部屋が良い!

空気がうまい家

住まいについて話をしていると、

「子どもが勉強に集中できるようにして欲しい。」

と言われる場合があります。

これまで、色と人間の反応の関係を見てきましたが、

冷静になれて、
時間の経過が早く感じられる(集中できる)のは、

刺激が弱い空間ということになります。

もちろん、刺激の弱い空間にすれば、勉強がバリバリできて、成績がアップするという魔法の様なことが起きる訳ではありません。

集中しやすい環境になるという風に理解して欲しいと思います。

 

ただ、先ほど紹介した、赤い部屋と青い部屋の実験…。

実は、目隠しをして部屋に入室しても心拍数や体温に変化が見られたそうです。

なぜ、その様な変化が起きたのか?

「色」は光の波の長さの違いによって生まれるものだから、いくら目隠しをしても、その波に体が反応したのではないかとも考えられています。

 

なぜ人は、赤に強く反応し、青があるとリラックスできるのか?

自然の世界で見られる赤や青のものを集めてみると、何か発見があるかもしれません。

赤いもの青いもの
夕焼け・紅葉・血液・花・トマト・いちご青空・綺麗な海・湖

こうして見ると、赤も青も自然の中では、意外と少ないものです。

 

花は刺激的な色で、虫を集め受粉させるチャンスを拡大しようとしています。

トマトやいちご・さくらんぼなどは、鳥に食べて欲しくて赤色になるそうです。

また、怪我をした場合には、すぐに対処しなくてはいけません。

だから、血液は刺激的な赤色なのかもしれません。

 

反対に、綺麗な青空・綺麗な海の存在は、人が生きていくうえで、特別危険な存在になるということはありません。

だから、私たちはリラックスできるのではないでしょうか。

 

たかが色。

そう言えば、それまでもかもしれませんが、私たちは知らず知らずのうちに、色からも大きな影響を受けているような気がします。

あなたにとって住まいは、これから何十年と一緒に生活をする相棒のようなものです。

そう考えると、できるだけシンプルな空間にしたいなぁと思うのです。

 

最近、怒りっぽいなぁとか、集中できないなぁと感じた方は、部屋をシンプルにすることから初めてみてはいかがでしょうか。

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