最近、室内の空気環境を大切される方が増え、無垢材の床や壁にしたいと言われる方も随分増えてきました。
そこで、よく質問をされるのが
無垢材は調湿効果が本当にあるのですか?
ということです。
あなたも、感覚的には調湿効果があると感じたことがあると思いますが、ここでは、実験・統計も参考にしながら詳しく解説していきます。
無垢材の調湿効果は歴史と実験から明確に分かる
あなたも「無垢材は反る」などという言葉を聞いたことがあると思います。
また、子どものころ学校の校舎のサッシが木造だった方は、日によって窓の開閉のしやすさが変化していた記憶があるかもしれません。
これらは、無垢材が調湿を行なっているために起きる現象です。
感覚的に無垢材の調湿効果が感じられる時
上の写真は空気がうまい家®︎のキッチン部分ですが、吊り戸棚などに、扉があります。
この扉、シーズンによって扉の開閉のしやすさが微妙に変化します。
それは、無垢材が空気中の水分を吸ったり、空気中に水分を放出したりするために起きる現象です。
この様な感覚的なところからでも、無垢材には調湿作用があると言えます。
研究機関の実験結果から無垢材の調湿効果をみる
木造建築物等の健康・省エネ性等データ整理という資料に、無垢材の調湿効果の実験結果が掲載されています。
ここには、次のような実験棟を作り、湿度を比較した実験結果が掲載されています。
A棟 | B棟 | |
床 | 無垢の杉板 | UV塗装した床材 中身はMDF |
壁 | 無垢の杉板 | ビニルクロス パーティクルボード |
天井 | 無垢の杉板 | ビニルクロス パーティクルボード |
柱・梁など | 杉 | 杉 |
この実験棟で湿度の変化を調べた結果は次のようにでした。
時間の経過(最大6時間)とともに湿度に開きが出ていることが分かります。
最終、無垢の杉板を使ったA棟の方が湿度が10%低くなるという結果となりました。
これだけ明確な違いがあるということは、無垢材に調湿効果はあると言って問題はありません。
さらに、この様な自然がもたらす調湿効果は、私たちの暮らしをより快適にするメリットがたくさんありそうです。
エアコンを使うと「疲労感がある」と言われる要因について解説します。
湿度の調整をしっかりとすることが快適に過ごすコツ
「湿度の調整をするといい」という話になるとエアコンの話が必ず出てきますが、
という声が多いのも事実です。
なぜ、快適になるようにエアコンを設定したにも関わらず、疲労感を感じるのでしょうか。
寝ている時の体の変化を見ながら解説します。
人がぐっすり眠るために必要な条件
寝つきがいい人、悪い人様々ですが、基本的に人は次のような条件を満たした時に入眠します。
ですから、蒸し暑く寝苦しい夜と言われる時に、昔の人は氷枕を活用していました。
氷枕で頭部や首を冷やすことで、冷えた血液が体内にまわり、深部体温を下げようとしたのではないかと言われています。
もちろん、室内が適温・適湿であれば、深部の熱が表面に上がり汗をかいても、その汗は蒸発して適度に熱を発散してくれます。
ところが、湿度が高すぎると、汗が蒸発しにくいために、熱が体にこもり、眠りにくくなってしまいます。
朝、気持ちよく起床するための条件
朝、気持ちよく起床するには、
が大切です。
簡単に言えば、体の表面の温度が上昇し、活動を始めるとその熱は次第に内部に伝わり、睡眠時には低かった深部体温が上昇して、私たちの活動は始まっていきます。
ところが、朝までエアコンを使用していた場合…
- 室内が冷えているために、体の表面の温度があがりにくい。
- 表面の温度が上がりにくいために、体の内部の温度があがりにくい。
- 目覚めが悪く、疲労感を感じる。
これが、「寝る時にエアコンを使うと疲労感がある」といわれる原因です。
湿度さえしっかりと調整することができればかなり快適
京都市の青少年科学センターでは、次のような気候を体感することができます。
- 京都市の夏
- 砂漠の気候
これらを比較すると京都市の夏の方が圧倒的に過ごしにくいです。
もちろん、気温は砂漠の方が高いのですが、湿度が20%程度のために、暑いけれどもカラッとした印象を受けます。
しばらく、砂漠の部屋に入っていると、多少汗が出てきますが、すぐに乾き、ベタつく感じはありませんから、想像以上の快適さです。
汗が出て、乾く時にしっかりと熱を奪ってくれることを体感することができます。
私たちは、快適に過ごすために室内の温度に注目しがちですが、それ以上に湿度を上手にコントロールすることが大切です。
ある程度、湿度を無垢材がコントロールしてくれると、夏でもエアコンの温度を大きく下げる必要もないために、冷えすぎによる皮膚温度の低下を防ぐことができるということです。
現代では、ヒートアイランド現象などの問題もありますから、エアコンの手助けを0にすることは難しいですが、エアコンの手助けの割合を削減させることは十分可能だということです。
最近は、住宅の性能がかなり高くなり、エアコンを24時間使用しても、光熱費が抑えられるようになってきました。
ですから、エアコンに空調を任せようという風潮もありますが、エアコンが苦手という声もたくさんあるのが現状です。
- 空調のほとんどをエアコンが行うのか?
- 無垢材の調湿効果とエアコンの力で空調を行うのか?
この違いは、数値で表現することは難しいですから、体で感じて判断されることをオススメします。
分厚い無垢材を使用した空間、空気がうまい家®︎の体感を希望される方は、お問い合わせからメッセージをください。
また、なぜ私たちがここまでこだわった住まいを作っているのか?
をご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
最近は、ゼロエネルギーハウスなども増えてきていますが、まだまだ課題が山積みの状態です。
ところが、こんな高度な技術がない時代でも日本の人々は、涼を上手に生み出してきました。こうした知恵も交えながら家づくりを考えることが、本当の意味で、環境負荷を抑えることになるのではないかと考えています。