子どもが危ない!化学物質過敏症の症状って?【自分の体験から】

住まいと健康
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渋谷 浩一郎

住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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最近(2020年8月現在)、化学物質過敏症(MCS,CS)で苦しんでいる方の話を聞く機会が、増えてきたように感じます。

少なくとも、10年前には、言葉の存在は知っているが、直接人からこの言葉を聞くことはほぼありませんでした。

化学物質過敏症(MCS,CS)または、似た様な症状で、悩んでいる方は、明らかに増え続けており、この先数倍にも膨れ上がってしまう可能性もあります。

その理由は、

化学物質過敏症の原因と今できる対策【歴史を知ると見えるもの】に書いていますので、参考にしてください。

 

ここでは、

  • 化学物質過敏症ってどの様な症状なのか?
  • 子ども達にはどの様な影響があるのか?
  • 改善させるにはどの様な方法が考えられるか?

について、私の体験も交えながら解説します。

 

化学物質過敏症になると通常の生活が厳しい

化学物質過敏症は、極めて簡単に言えば、文字通り「化学物質に対して敏感に反応してしまう」症状です。

「花粉症」をイメージすると理解しやすいです。

あの春の「花粉」の代わりが「化学物質」になるわけです。

人によって、反応する化学物質は様々ですが、私の子どもの場合は次のものに反応していました。

  • 水道水の塩素
  • 建物(ビニルクロス・フローリング)や家具に含まれる化学物質
  • 食品に含まれる添加物など

これらに触れると、体が腫れ上がっていましたから、日常生活がとても厳しくなることは十分に想像できると思います。

せっかくマンションを購入し、リフォームをしたにも関わらず、自宅に帰れないという日々が続きました。

夜中、夫婦で交代しながら、ベビーカーを押して子どもを寝かせるという日々です。

もちろん、そんな生活

 

また、Twitterを見てもその大変さ分かるTweetはかなりたくさんあります。

いくつか紹介します。

 

 

化学物質と子どもの成長の関係【教師として感じたこと】

現在も、教育現場で働いている方は、

年々落ち着きがない子どもが増えている気がする

と感じているはずです。

私が教員になった頃は、落ち着きがない子どもが学年に1〜2人程度だったものが、15年もの間に、どんどん増えていった印象を受けました。

 

子どもの成長の実態(文部科学省の資料と体験より)

文部科学省・特別支援教育の現状と課題より

文部科学省・特別支援教育の現状と課題より

この様に勢い良く増加しています。

しかも、小学校の児童数・中学校の生徒数は少子化の影響で減少しているにも関わらずこのような状態です。

私が担任をしていたクラスにも、2010年頃からは2〜3名、通級指導を受けている子どもがいました。

通級指導とは?
LD・ADHDなどの傾向があり、通常時はクラスに在籍して授業を受けていますが、それでは、生活・学習が困難なために、週に何度か別教室で授業を受けることを言います。現在は、通級指導を希望されるご家庭も増えて、受け入れが限界になってきている学校もたくさんあります。

なぜ、この様なことが起きているのか?

様々な視点で、研究・調査が行われています。

その中でも分かりやすい、こちらの資料をもとに、簡単にまとめてみました。

ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議 提言と実行

 

化学物質と自閉症・発達障害などの関係は深い

環境脳神経科学・情報センター代表の黒田洋一郎氏は次の様に言われています。

  • 子どもの発達の問題は、遺伝30%・環境要因70%
  • PCB、有機塩素系農薬が子どもの脳の発達に悪影響を及ぼす報告が多い
  • ADHDなどの発達障害のリスクを上げることが報告された有機リン系農薬も神経毒性が明らかとなって、ヨーロッパではほぼ使用されなくなったが、日本では現在も多量に使用され続けている。

 

化学物質の量とIQの間に関係がある

同じ資料の中で、東海大学医学部・生体構造機能学領域・坂部貢氏は次の様なことを言われています。

 

化学物質は、言語性IQ(VIQ)、動作 性IQ(PIQ)、学習障害、注意欠陥・多動性障害などに影響を与える可能性がある。

総揮発性有機化合物(TVOC)多い(約1000μg/㎥)少ない(約370μg/㎥)
IQ89.2105.5
VIQ97.5109.0
PIQ82.6101.0

つまり、

化学物質の少ない空間であれば、子どもも本来もっている力を存分に発揮でき、化学物質が多い空間にいると、力を発揮しにくくなっていく。

こんなことが言えそうです。

 

化学物質過敏症を治療する方法【海外での事例】

アメリカでは、化学物質過敏症の人はどの様な治療が行われているのか?

「アメリカにおける化学物質過敏症の診断と治療」というレポートには、化学物質過敏症の方が治療に利用する施設の様子が細かく書かれています。

 

  • 診察や検査を行う施設は、日本の一般病院のような室内空気汚染の原因となる塩化ビニル等の壁紙や合板の天井材は一切使用されていない。
  • 宿泊施設にはプラスチック製品がない。
  • 施設内で販売されている石鹸類、衣類、食料品、飲料水などは、環境や人体への影響を配慮したもの。
  • 化学物質の暴露を避けて発汗により体内に蓄積された化学物質を排出する。

 

まとめにかえて

ビニルクロスなどの新建材を使用していない空気がうまい家®︎

ビニルクロスなどの新建材を使用していない空気がうまい家®︎

人類の歴史をみると、化学物質(人工的なもの)とは付き合いが非常に短いことがわかります。

ところが、近代に入って化学物質の量は爆発的に増えたために、生命を守ることを第一に作られている人間の本能は、この変化に驚き、対応が追いついていない様に感じます。

私たちは、住まい作りを通して、この様な問題の大切さに一人でも多くの方に気付いて欲しいと考えています。

と同時に、子ども達の能力が存分に発揮できる環境を今の大人が作っていくことがとても大切な使命ではないかと考えています。


環境の大切さは、以下の記事でも紹介しています。

少しでも参考になる点があれば嬉しいです。

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