住まいを新築、リノベーションをしたにも関わらず、埃っぽい…という声を聞くことがあります。
そもそも埃の原因は、
- 繊維クズ
- ティッシュの粉
- 垢やフケ など…
などですから、一般的な住まいの場合、静電気によって壁に吸い寄せられ、気付かない時に壁から埃が落ちるということがあります。
詳しくは、【埃の原因と対策】埃が溜まりやすい家の特徴を知れば対策できるで静電気と埃の関係について詳しく解説していますので、お読みください。
上の記事では、静電気によって埃が壁につくのであれば、壁の静電気以上の静電気で埃を除去すればいいという方法を紹介しました。
ここでは、もう一つの方法、
という方法をNHKの「ためしてガッテン」で紹介されていましたので、その方法を紹介します。
なぜか出るホコリ!原因はソコだった!? - NHK ガッテン!(PDF)
ただし、次の様なメリットとデメリットがあるので、注意が必要です。
- 一般的なビニルクロスは帯電しにくくなるので埃は付着しにくい
- コストは非常に安い
- 月に1〜2度程度壁を拭かないといけない
- 化学的なもの(合成界面活性剤)を使うので自然な環境ではない
私としては、素晴らしい方法だ!と断言はできませんが、それでも、ハウスダストアレルギーなどの方は増えているので、一時的な対策として捉えていただきたいと思って紹介します。
また、化学的なもの(合成界面活性剤)の仕組みについても詳しく解説するので、何がデメリットになるのか詳しく解説します。
埃を減らすためには静電気をコントロールすることが大切
一般的な住まいに使われているビニルクロスの材料は、とても帯電しやすいために埃を付着させる力が働いてしまいます。
通常、壁面を掃除することはあまりないので、掃除をしても「なんとなく埃っぽい」という状況になってしまいます。
そこで、
という考えが出てきます。
それをするには、界面活性剤を使うと有効的なのですが、界面活性剤とは何でしょうか?
この部分から丁寧に解説します。
埃を減らすために使う界面活性剤とは何ものか?
界面活性剤は、日常生活の様々なところで使われています。
代表的なものが、台所用洗剤で、界面活性剤が機能してくれるために、油が水に馴染み食器についた油が水とともに流れ落ちてくれるのです。
簡単に言うと、
では、なぜ界面が曖昧になるのか、図で解説します。
図の様に、界面活性剤は、親油基と親水基というものでできています。
漢字の通り、それぞれの部分は次の性質があります。
親水基 | 水になじみやすい |
親油基 | 油になじみやすい |
これらが、水と油の間に上手に入り込むために、広い目で見ると水と油が馴染んだように見えるのです。
これを人工的に作ったものを、合成界面活性剤といいますが、自然界にも界面活性剤の役割を果たすものがあります。
それがマヨネーズ。マヨネーズの基本的な原材料は、
なのですが、ドレッシングを作る時に、酢と油を用いますが、当然、分離してしまいます。
ところが、卵を混ぜることで、酢と油は分離せずに一体となります。
つまり、
ということになります。
では、この性質を知った上で柔軟剤の役割を見てみましょう。
柔軟剤に入っている界面活性剤はどんな働きをするのか?
柔軟剤は、衣類をフワッとしあげるために利用されます。
なぜ、フワッと仕上がるのか?
それは、親水基(水になじみやすい部分)が繊維に引き寄せられるようにし、親油基(油になじみやすい部分)を繊維と繊維の間に入るようにしているからです。
こうすると、繊維と繊維の間に潤滑油を入れたような状態になるために、繊維と繊維が擦れることが少なくなり、フワッと仕上がるのです。
もちろん、繊維が擦れないということは、静電気も発生しにくくなります。
では、この柔軟剤を壁面に塗るとどうなるのでしょう?
埃と壁の関係【壁に界面活性剤を塗るとどうなるの?】
壁に界面活性剤を塗ると、図の様になり、壁面に水分を集めることができます。
とは言っても、部屋の湿度が下がった!と感じるほど強烈なものではありません。
それでも、ビニルクロスの表面は湿度が高くなるために、静電気が発生しにくくなるために、埃が静電気によって付着することが防げるのです。
では、実際にどの様にして、壁面に界面活性剤を塗ればいいのでしょう。
埃を減らす!ガッテン流除電雑巾の作り方【超簡単】
- 市販の柔軟剤を購入して、柔軟剤の説明書きの通りに雑巾やモップの先を洗います。
- 衣類と同じようによく干す。
- 乾いた雑巾やモップで壁面をかるく撫でると除電完了。
実際には、塗れたままの雑巾やモップの方が効果がある気がしますが、塗れたところに埃がついてしまうので、逆効果です。
十分に乾かして利用してください。
なお、効果は長く持続しません。月に1〜2度、上記の1〜3の作業をする必要があります。
ここで、勘の鋭い方は一つ疑問に思ったことがあるはずです。
- 子どもなんかは不用意に壁を触るし、触った手でおやつも食べるのに…目に見えないとは言え、柔軟剤を舐めるようなものじゃないの?
- えっ?乾いた雑巾で拭いても界面活性剤は壁に付着するの?
私は、この部分が大きな課題だと感じています。
実は、界面活性剤はとても便利なものですが、これまで自然が作ってきたルールを壊す働きもあるので、その点について紹介します。
界面活性剤は静電気を防ぐだけではなく水を壊してしまう
界面活性剤は、主に次の3つの性質があります。
- 水と油を馴染ませる
- 水の表面張力を弱める
- 物質を取り囲む
例えば、上の写真の様に、毛糸は通常水に浮きます。
毛糸には、アメンボの足の様に細かい毛が出ているために、水の表面張力が働いて、沈まないのが普通なのですが、柔軟剤、洗剤を1滴でも入れるとすぐに沈んでしまいます。
水と植物・動物・人間は古代からずっと共に生きてきました。
自然界には微量の界面活性剤の役割を果たすものが存在しますが、水には表面張力があるものとして生き物の体は作られてきました。
ところが、近代に入り自然界のバランスを大きく崩してしまう程、至るところで合成界面活性剤が使われ、アメンボをはじめ、魚・虫・植物が苦しみ出しました。
もちろん、人間にも様々な影響が出ています。
以下の記事では、香害・化学物質について解説しています。
特に、小さなお子さんがいる方、アレルギーなどをおもちの方は参考になるはずです。
壁面を除電し埃対策をするのであれば一時的にしたい
合成界面活性剤の課題を大きく取り上げましたが、人によっては、とにかく今のハウスダストをなんとかしないと喘息が…とか、子どもが辛そうにしているから…ということもあるでしょう。
実は、私も子どもがその様な状態になり、毎日布団乾燥機をかけて、布団に掃除機をかけ、空気清浄機をたくさん買い込んで生活をしていたことがあります。
ですから、とにかく今を凌ぐという視点で、除電と埃対策を紹介しました。
長い目で見た時、どんな住まいで生活をすれば、人にも植物にも動物にも優しく生活できるか?を考えなくてはいけない時期に来ています。
最後までお読みいただきありがとうございます。