2020年現在、新築やフルリノベーションをすると「24時間換気システム」を設置しなくてはいけません。
これは、法で定められているので、どの工務店・ハウスメーカーで施工をしても同じです。
ただ、最近は、一言で24時間換気システムと言っても、
という質問を受けることがあります。
また、施工完了後、生活が始まると24時間換気システムは音がうるさいので切っている…という声も多数あります。
そこで、ここでは、換気システムを選ぶ前に「そもそもとして」知っておきたい
- 24時間換気システムの設置が定められている理由
- 生活が始まってから24時間換気システムを切っていいのか?
- これからの住まいは二極化する
ということについて詳しく解説します。
住まいに24時間換気システムの設置が義務付けられた理由
24時間換気システムの設置が法で定められた背景を詳細に語るととても長くなるので、ここでは結論だけまとめておきます。
要するに、室内の空気環境がとても悪く、体調を崩す人がたくさん出たためです。
分かりやすいもので言えば、
- アレルギー
- アトピー
- 偏頭痛
- 吐き気
- めまい
などで、住環境を変えることで改善した事例はたくさん報告されています。
また、近年の子ども達は、LD(学習障害)・ADHD・アスペルガーなど支援が必要とする子が爆発的に増えていますが、建物とも深い関係があります。
そもそも何で建物を建てただけで空気が悪くなるの?
通常、建物には合板・ビニルクロスなどが使われています。
それら自体、またはそれらを接着するのに大量の化学物質を使用しています。
これが高気密高断熱の住まいの四方八方から揮発し続ける(20年程度揮発を続ける)と、室内の空気は悲惨な状態になることは想像できるはずです。
そこで、この問題を改善するために、様々な対策が考えられましたが、注目は2点。
- 24時間換気システムを導入して化学物質を薄めるようにしよう!
- 新築・リノベーションをする時にホルムアルデヒドがたくさん出ない材料を使おう!
というものです。
空気清浄機を使えばいいのではないか?という方は、論文をもとに、【実例】空気清浄機の効果でシックハウスを抑える事ができるのか?で詳しく解説しています。
24時間換気システムの電源を切るということは恐ろしい事かも!
24時間換気システムの目的は、
というものでした。
特に問題なのは、建築に使われる材料は、ホルムアルデヒドの発散量だけが測定されたものなので、トルエン・キシレン・有機リン系などは、たくさん使われている可能性があるということです(上の塩尻市の資料参照)。
ところが、実際には、
マンションのふろ場の24時間換気システムまじ寒すぎる!
— Aoi (@AOI_menhera) November 22, 2020
毎日風呂沸かして入ってても寒すぎて死ぬ
普通は換気止めたりするボタンとか喚起の強弱ボタンあるはずなのに
ないってどういうことー!!!
寒すぎるってーー!
御近所さんが外壁塗装してらして、近隣中に揮発性の臭いが充満😔
— 真 (@makkoyayoi) November 12, 2020
部屋の中を何度換気しても、揮発性の臭いが滞留…😞💨
臭くて暖房する気になれない程…。
24時間換気システムのために吸気口閉じちゃダメだろうし…💦
服や寝具カーテンに臭いついたら嫌だし、頭痛がするし…まいったなあ…😥
- 24時間換気システムの音がうるさい
- 台風が来たから
- 虫が入ってくるのが嫌
- 野焼き・工事などの匂いが気になるから
などという理由で、運転を止めたり、運転について悩まれているのが現状。
こうなると、
という状態に陥ってしまいます。
では、どうすればいいのか?
すでにお気づきの様に、24時間換気システムは素晴らしいシステムではなく、問題を薄める痛み止めの様なものです。
根本の原因は、室内に自然環境が極めて少ないということなので、できる対策はおのずと決まってきます。
ということです。
「自然素材の家」と言っても、その程度は様々なので十分に検討する必要はありますが、ご家族が元気に気持ちよく生活することを考えると、かなり重要なポイントとなります。
ちなみに、私たちが施工している空気がうまい家®︎の場合、塗装も一切行わない無垢材や漆喰を使っているために、換気システムを重視することはありません。
室内に持ち込まれた化学物質も花粉症の原因物質もそのほとんどが抑制されることが明確になっているために、必要最低限のもので十分だとお客様には伝えています。
塗装すら一切行わない無垢材については、無垢材のフローリングにワックスは必要か?【本物の無垢材であれば不要】を参照してください。
こうした事情を知っておくことはこれから益々重要になります。
その理由は、今後ますます複雑な機能を搭載した家が増えていくためです。
さらに機械化された住まいが今後は増えていく!
最近では、スマートホームという言葉を耳にする機会が増えてきました。
スマートホームとは、イメージの通り、
というものです。
例えば、
- スマホと玄関ドアの鍵が連動し、近づくだけでロックが解除される
- 遠隔で空調やお風呂のオンオフができる
などが可能になりました。
これからは、さらにできる事はどんどん広がっていくことでしょう。
これらの技術は、とても素晴らしいと思います。
また、住宅を販売する側にとっても、良さをアピールする絶好のチャンスにもなります。
そうなると、
健康・文化・暮らしを楽しむ視点が
おろそかになる可能性がある
ということです。
スマートな機能を手に入れるために、複雑な住まいを作り、そこにコストをかける人と、多少アナログ的であっても長年かけて作られた文化を大切にするような住まいを作る人と別れてくるでしょう。
どちらの住まいが正しいかは、暮らし方によって大きく左右されます。
ただ、どれだけ素晴らしい技術が発達しても、人が作った問題は人の力で解決するのは難しい…ということを24時間換気システムの動向を見て強く感じます。
日本で最も深い湖の田沢湖は、発電所の建設や農業用水確保のために人が手を加え、1940年代に強い酸性になってしまいました。
その後、人工的に中和反応を起こしましたが、まだ以前の状態に戻すことはできていません。
住宅についても同様で、新しい技術を用いることは簡単です。
ところが、住まいは世代を超えて使うものであるために、私の人生以上に長く続いてきた、自然がもつルールを丁寧に見て、それを最優先することが安心できる住まいになると信じています。
こう言うと、難しく聞こえるかもしれませんが、答えはとてもシンプルで、動物も植物も人も心地いいを目指すことです。
最後までお読みいただきありがとうございます。