ツルツルの綺麗なフローリングは生活しにくい【熱の不思議】

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九谷田 義之

不動産・施工に関するお金に詳しい人。同じ費用をかけるなら本当に重要なところに費用をかければいい。削減できるところは削減も惜しまない。なぜかお客様の子どもに愛される。

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住まい作りで、重要なポイントはたくさんありますが、「床材」に注目される方もたくさんいらっしゃいます。

小さな子どもからお年寄りまで、誰もが必ず触れる場所が、床材だったり階段の手すりですから、この様な場所は、絶対にこだわりたいと常々思っています。

先日も見学に来てくださった方が、歩きながら、

こりゃ自分の家の床と全く別物だなぁ。床暖房とか絨毯なんかも要らないっていうのも十分分かるなぁ…。それよりも、今から家に帰るのが嫌になってしまったじゃないですか。

なんてことを言われていました。

私たちが作っている住まいは、こんな住まいですから、写真からでも何となく一般的な住まいと雰囲気が違うことが伝われば嬉しいです。

空気がうまい家®︎

空気がうまい家®︎

 

今日、考えてみたいことは、

同じ木のフローリングなのにものによって暖かみが全く違う理由

です。

私が住まいについて相談を受けた場合には、

  • パッとみた感じが、ツルツル・テカテカの綺麗な住まいは生活しにくい。
  • ツルツル・テカテカの床の場合、長い目で見るとコスト面でも大きな問題がある。

ということを必ず伝えています。

その理由もここで解説していきます。

現代、床にワックスを塗ったり、特殊コーティングをするのが当たり前になっていますから、多くの方に叱られそうですが、ちょっとした違いで、大きな違いとなるので、この機会に知って欲しいとおもいます。

 

基本的にツルツル・テカテカの床・フローリングにすればよく売れる

例えば、あなたがマンションに住んでいたけれども、部屋を売却しよう…と考えるのであれば、

  • 部屋を綺麗に掃除する
  • ワックス・コーティングを行い光が反射するくらいにする
  • ビニルクロスを張り替える

これらのことを行えば、その地域の相場価格よりも高く売れることが多いです。

それくらい、床や壁の美しさは重要だということになります。

そして、高く売れるということは、多くの人が、ツヤツヤで、ツルッとした床の方が良いと認識していることが分かります。

けれども、これは見た目だけの話であって、実際に生活するとデメリットがたくさんあります。

 

 

同じ木でできたフローリングでも暖かさ・冷たさが全く違う理由

最近では、環境への優しさ・エコ・節電…などと言われ、その為に高気密高断熱住宅にしよう!という動きがあるにも関わらず、床がツルツル・テカテカの住まいが多いことに疑問を感じます。

そうした難しい技術を駆使する前に、できることはあります。

 

ツルツル・テカテカの形状は熱を伝えやすい

住まいの暖かさや涼しさの話になると、熱伝導率の話が出てきます。

熱伝導率とは、熱の伝わりやすさを数値化したもので、数値が大きい程、熱が伝わりやすいという見方をします。

参考までに、いくつか例を挙げると

物質熱伝導率(W/m・K)
72
ガラス
アルミ200
0.12
空気0.02

ですから、鉄のフライパンやアルミの鍋が作られるのです。

基本的に金属類は、熱伝導率が高いのですが、下の写真の2つを触ってみるとどうでしょう。

実際に試すと触った感じがこんなにも印象が違うものかと、痛感できるはずです。

当然、金属タワシの方は、冷たさの様なものを感じませんが、フライパンの方は、もの凄く冷たく感じます。

その理由は、

フライパンと皮膚の間に空気がないため

です。

空気は熱伝導率が低いのですが、フライパンの表面はツルッとしているために、手のひらを当てた時に空気層がほとんどできません

その為、手のひらの熱がどんどんフライパンに移動していくために冷たく感じるのです。

一方、金属タワシの方は、ギュッと握りしめても空気が含まれる為に、大して冷たく感じません。

つまり、過ごしやすさというのは、物の形状とも深い関わりがあります。

 

床材をツルツル・テカテカの形状にすると…

冬の寒い日に、ツルツル・テカテカのフローリングの上を歩くとかなり冷たい!と感じたことがあるはずです。

これはフライパンと似た形状なので、非常に辛く感じるということです。

いくら断熱性を高めた住まいであっても、冷たく感じるのはこのためです。

けれども、大事な床材が傷ついてはいけないので、一生懸命ワックスを塗るなどのことをしなくてはならないのは、なんだか大変だと思います。

時間、費用をかけてより辛い環境を作る

この様なサイクルは、断ち切って欲しいと思い、私は床材にこだわっているのです。

 

塗装もワックスも塗らない床材は、小さな凸凹があるので快適

桐の電子顕微鏡による拡大写真(森林総合研究所より引用)

無垢材の場合、木の表面をカンナで綺麗にしても、ペーパーで磨いても凸凹は残ります。

特に、建築によく用いられる杉は、比重(体積あたりの重さ)が軽いことで知られています。

上の写真は桐のものですが、比重の軽い木には、空気がたっぷりと含まれているということです。

その上、熱伝導率も低いために、冬の寒い日に触った瞬間「冷たい!」と感じにくいのです。

だからと言って、当然ですが、室温が高い訳ではありません。

特別なエネルギーを使わずに、自然の力の範囲内で過ごしやすい状態を作っているということです。

 

この良さを活かすのであれば、無垢材の床の方は、ワックスを塗ることはオススメしません。

また、私たちが用いる無垢材は、オイル塗装もワックスも使用禁止とお伝えしています。

「傷が心配」という声をいただくこともありますが、少々の傷なら水をかけるだけで、綺麗に元にもどどるので、特別なメンテナンスは必要ないということになります。

詳しくは、無垢材のフローリングの凹み傷は水だけで治る【実験した結果】をご覧ください。

無垢材のフローリングの凹み傷は水だけで治る【実験した結果】
新築やリノベーションをする際に床材をどの様にするか悩む方がたくさんです。ところが、長期的な視点で見ると、コスパ・質感・断熱性などの観点から圧倒的に無垢材の方がいいと言えるでしょう。万が一、大きな凹み傷が入ったとしても水だけで修復することができます。実際に傷を作り、水だけで修復できる様子を紹介しています。

 

まとめに変えて 数値と同時に感じ方を大切に!

特に、高い買い物をする場合には、それを買って本当にいいのだろうか?と数値を見ます。

ただ、数値というのは、評価できる部分だけを表したものであるということは忘れたくありません。

子どもの通知表が良ければ、人として素晴らしいとは言えない

のと同じ様な感覚です。

特に、近年は様々な技術が発達して、数値的に凄いものがたくさん出てきましたので、気持ちがそちらに向きやすいですが、意外とシンプルなことで問題を回避できることもたくさんあります。

また、自然が作る形状というものは、何億年という歴史の中で、淘汰されずに残された形状であるということも忘れたくありません。

私たち自身も生き物ですから、できるだけ自然と共に生きる感覚を大切にしながら、足りない部分を技術で補うという考え方がとても重要だと考えています。

特に日本では、「自然と共に生きる」という考え方を大切にしてきました。

その上で素晴らしい日本文化が誕生し、現代に至っています。

詳しくは、日本文化の特徴は「自然と共に」この考えが世界から注目される!の記事も参考にしてください。

日本文化の特徴は「自然と共に」この考えが世界から注目される!
様々な技術の進歩が進んで行く中で、技術の最先端でもない「日本文化」が注目されています。実際に海外の人に話を聞いても「日本はいい」と言われますが、何が原点となって素晴らしい文化となっていったのでしょう。事例を挙げながら解説しました。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

納豆が発砲スチロール容器に入っているのも、酸欠にならず適度に空気に触れられる環境を維持するためだそうです。

 

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