食べ物の好き嫌い(偏食)についての悩みを抱えている方、案外、多いものです。
- 子どもが好き嫌いが多くて困っている。特に野菜をあまり食べない。
- 子どもの偏食は自分の偏食が原因ではないだろうか?
- 旦那や付き合っている人の好き嫌いが激しく、それに合わせて料理をすると作るものが限定されてしまう。
食べ物の好き嫌いの問題を解決する方法に正解・不正解はありません。
ですが、これまで、教員としてたくさんの子どもと関わってきた経験を踏まえながら、この問題を解決するヒントをお伝えします。
ポイントは次の3点
- 子どもの味覚と大人の味覚は違う
- 本能的な「嫌い」のブロックを解放する
- ビールはたまらんなぁ…を活用する
それでは、解説していきます。
「とにかく野菜を食べない」の原因を深く追求する
好き嫌いの中でも、嫌われ役になりやすいものは、
- ピーマン
- 人参
- ゴーヤ
- 春菊
- きのこ類 など
反対に、あまり嫌われない野菜と言えば、キャベツ・レタス・キュウリなど。
苦味が濃く、香りも強いものが嫌われる傾向にあります。
ところが、
不思議なことに肉や魚の好き嫌いは、野菜と比較すると随分少ない印象を受けます。
なぜ、好き嫌いが発生してしまうのか?
人は生きるために様々なものを食べます。
ところが、自然の中にも「人間にとって毒」になる食べ物もたくさんあります。
そして「毒」は基本的に苦味をもっています。
だから
人は命を守るために「苦味」を嫌う必要があったのです。
具体例を一つ挙げてみます。
あなたはこのキノコを食べる勇気があるでしょうか?
食べ物が豊かになかった時代を想定して考えてみましょう。
空腹時にこんなキノコを見つけました。
食べられるものなら食べたいけれども、毒をもった可能性もあります。
おそるおそるほんの少しだけ食べて見ると、苦い…。
当然、おいしくないのでこのキノコを食べるのを辞めます。
こうして、毒から命を守ってきたのです。
香りもとても良く、クリームパスタとの相性が抜群です。
苦味もありません。
なぜ、好き嫌いの主役は野菜になってしまうのか?
野菜は、食べることのできる植物ですが、改めて見ると雑草と大差はありません。
先に、キノコの例を挙げましたが、何かよく分からない野菜を差し出されて食べてみると苦い…となれば、誰でも食べるのが怖くなります。
また、食べられる野菜と毒のあるものとが、非常に似ている場合もあります。
例えば、ニラとスイセン。
ニラとスイセンの間違いの事故は時々起こっています。
パッと見ただけでは、なかなか区別しにくいものです。
一方、魚や肉の場合、一部、毒をもったものがいますが、植物と比較するとその量も少なく、見分けが簡単なものが多いです。
ということは、
もちろん、現代は味で安全かどうかを確かめることはしません。
ところが、科学が発達していなかった頃は、味で安全性を判断してきために、その知恵が受け継がれているのです。
だから、
子どもに見つからないようにピーマンを細く切って、ハンバーグに入れても吐き出してしまうの…
という声がたくさんあって当然なのです。
ビールやコーヒーは苦いのに美味しいじゃないか!
では、苦いものを人は嫌うのか?というとそうではありません。
大人は、ビールやコーヒー、秋刀魚の内臓など苦いものが大好きという方もたくさんいます。
けれど、大人が美味しそうにビールを飲んでいるのを見ても、小さな子どもはビールを飲みたがりません。
何これ?
めっちゃ変な匂い。
ジュースの方が絶対にいいやん。
「苦味」はとても複雑で、
- 毒を感じさせる苦味
- 美味しさを感じさせる・食べても大丈夫な苦味
に分けることができます。
ところが、子ども場合、この2つの苦味を判断する味覚が十分に発達していないのと、経験が不十分なために、苦味=毒と判断してしまう傾向が強いのです。
だから、味や香りの強い野菜を口にすると吐き出してしまうということがおきます。
では、どうすれば、この野菜嫌いを克服することができるのか?
具体策を紹介します。
本能的な「嫌い」のブロックを解放する方法
- よく知らないものを食べるのは怖い
- 毒の可能性が感じられるものは食べたくない
この本能的なブロックを解放してやると、随分、改善されることがあります。
案外、簡単なものです。
調理実習をすると野菜嫌いな子どもがいなくなる?
小学校高学年にもなると調理実習が学校で行われます。
「野菜炒め」を調理することが多いのですが、私の経験では、ほとんどの子どもが「おいしい」と言って食べます。
火が通り過ぎたもの、調味料が効きすぎたもの…
子どもが作るものですから、中には「ちょっと変じゃない?」と思うものもありますが、それでも、子どもたちは喜んで食べています。
この風景、なんとなくあなたも想像できるはずです。
野菜を育てたり、自分で収穫しに行くと一気に好きになる
2020年4月、自粛ムードが高かったのですが、休日にセリをとりにいきました。
子どもが野菜を全然食べないと心配されていた親御さんと本人も一緒に。
セリと言えば、野菜嫌いの子どもからすれば、最強の敵とも言える存在です。
少しちぎって、香りを嗅いだりしました、最悪な評価でした。
こんなの食べるの?
全然、おいしそうじゃない!
ところが、その日の夜に
セリ鍋の様なものにしましたけれど、セリが全然足りません。
とメッセージをいただきました。
他にも、自分でトマトを育てたことがきっかけでトマトが食べられる様になった…なんて話はあなたもたくさん聞いたことがあると思います。
今回、2つ事例を紹介しました。
なぜ、突然、食べられるようになったのか、まとめるとこういうことです。
特に、子どもの好き嫌い解決するのに有効な手段です。
さらに好き嫌いを減らす、もう一つの方法を紹介します。
「あぁ…ビールはたまらんなぁ」を好き嫌いの克服に活かす
暑くなってくると、この写真を見ただけでもたまらないなぁ…と思われる人がいるくらいビールが大好きという人も多いです。
中には、たくさんは要らないけれど、一杯だけ飲みたいという方もいます。
ビールは明らかに苦いのに…
また、苦いと分かっていても、
二十歳直前の人は、飲みたそうにしている様子を見かけたことがあります。
なぜ、苦いのに飲みたいのか?
私は全く飲めないので、二十歳直前の青年の気持ちがよく分かりますが、ビールを飲む人ってたまらなく美味しそうに飲みます。
この風景に憧れるのです。
ということは、野菜嫌いな人がいて、それを克服したいのであれば、野菜を食べて、これをすればいいのです。
例えば、家族にピーマンが嫌いな人がいる場合、ピーマンの肉詰めのようなものを作って家族全員で、「あぁ…たまらなく美味しい」と何度も行うのです。
特に、子どもは周囲の影響を受けやすいので、好き嫌いを克服できる可能性が高まります。
この発想は、他の様々なところでも活用できます。
他の活用方法は、また別記事を書こうと思います。
まとめ
野菜嫌いな子どもは、ダメな様に思われがちですが、人としての本能をしっかりともっていることが感じられたら嬉しいです。
この様に丁寧に問題を見ていくと、人は凄い能力をもっていると感じられるはずです。
そして、知らなかったことを知った時に、大きく前進することも可能な生き物だということです。
私たちは、この写真のような「空気がうまい家」を作りながら、自然や人がもっている力を信じられる人が増えたらいいなぁと願っています。
- 人は生きていくために苦味を察知し、毒から身を守ってきた
- 野菜嫌いな子どもは、身を守る本能に優れている
- 好き嫌いを改善するには、口に入るまでの過程を知ることから
- ビールに憧れる人が多いのは、環境の影響も大きい
子育てが大変って声も耳にすることがありますが、子育てが大人の学びになったり、楽しめるようになれば嬉しいなぁと思います。
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