2020年はコロナの影響もあり、室内で過ごす時間が圧倒的に増えました。
室内にいる時間が増えると「居心地」の良し悪しを感じる機会が多くなるものです。
また、店舗を経営されている方の中には、
たくさんの人を集めることに注力するのではなく、少人数でも、店舗に足を運んでくださった方々の「居心地」を大切にすることを痛感した年だった。
と話してくださった方もいらっしゃいました。
では、
居心地の良さを深く追求すると、様々なメリットを得ることができます。
例えば、
- 家にいる時間が楽しくなりイライラすることが減る
- 不要な外出が減り、無駄な出費が減る
- 店舗の場合、居心地が良いだけで口コミが自然と広がる
- 店舗でも住まいでも来客がなかなか帰らない(施主様が嬉しそうに話されていた)
では、居心地の良さはどう考えると生み出すことができるでしょうか。
これまでにも、当ブログで「居心地」ついて考えてきましたが、今回は、別の視点から考えてみましょう。
結 論
一言で表現すると、難しい雰囲気がするので、簡単に分かりやすく解説します。
心地いいお店はどんなお店?
馴染みのお店があり、そこに行くと「なんとなく良い」と感じたことはあるはずです。
では、その「なんとなく良い」の要素は何でしょう。
例えば、飲食店で考えてみると…
- スタッフの対応がいい
- お料理そのものがおいしい
- 店内の雰囲気が良い
こんなところかなぁ…と思うかもしれませんが、この3点を良くすれば、お店が繁盛するなんて簡単な話ではないことはあなたも肌で感じることができるはずです。
つまり、
ということです。
では、何が重要になりうるのか?更に詳しく見ていきましょう。
ペットに癒されるという人が多いのはなぜか考える
上のグラフは、ペットケア商品の世界的な市場の変化を表したものです。
年々、市場は増加していることが分かります。
もちろん、その要因は、ペットも長寿化した・ペット関連グッズが充実してきたなども考えられますが、ペットと共に暮らす人が増えてきたことも確かなことです。
では、ペットは「心地いい暮らし」をするために何か素晴らしい要素を提供してくれているかというと、そんなことはありません。
お料理を作ってくれる訳でもありませんから、ペットの存在価値が数値化されて、暮らしの質が10%向上した!なんて言えるものではありません。
そんなスペックな様なものを人々は求めているのではなく、
- 一緒に暮らしていると楽しい
- 心が癒されるような気がする
- とにかく可愛い
という理由で共に生活をしているのです。
敢えてペットの存在を数値化すれば、デメリットしかないでしょう。
- ペットの世話をするための時間
- ペットの食事・医療などにかかる費用
それでも、ペットを飼う人が増えているのは、
だからです。
このTweetからも犬を深く愛している様が伺えます。
愛犬とドライブするときは、シートベルトを忘れずに pic.twitter.com/oC1HwhrRZF
— おにぎり (@onigirry) January 1, 2021
では、私たちは生物的なものと共にいると居心地の良さや安らぎを感じるのでしょうか。
人の親やすさを中心に考えながら、周りのものを改めて見る
私たちは、より快適な暮らしをするために、様々なことを考えます。
- 〇〇を購入してどんなメリットがあるのか?
- コスパは適切だろうか?
- もっといい商品、サービスがないだろうか?
つまり、数的に損得を自分なりに納得させようとするところがあります。
ところが、ここで、従来の考え方をばっさりと捨てて、人との距離感、親しみやすさからものを見ると違った世界が見えてきます。
この様な考え方もできます。
人付き合いは自然と馴染みのあるものが近くなる
人付き合いをみても、言語が異なる外国人が身近にあるということは滅多にありません。
国内でも初めて出会った頃は、距離感があっても何度か会ううちに距離感が縮まり、気がつくと身近な存在になっていたというのが自然の流れです。
「うまが会う」なんて言い方がありますが、そんな人と共にいると特別おしゃれな空間でなくても、とても居心地のいい時間を過ごすことができます。
まさに「生物的なもの」の存在の大きさを痛感する瞬間です。
食生活も自然と馴染みのあるものが近くなる
日本には、それぞれ地域特有の美味しいものがあります。
漁村出身の人の話を聞くと、お刺身を食べることも、干物魚などを食べることも当然であったが、反対にお肉は少し珍しい感覚があり、子どもの頃は緊張感を感じながら食べたこともある…なんて言われていました。
京都で「湯豆腐」が有名なのも、肉食が禁止されていたお坊さんが多かった為だと言われています。
宗教上の理由ですが、豆腐は大事なタンパク源として京都に広まったのが、現代でも地域の文化として定着しているのです。
工業的なインスタント食品も様々な販売戦略が考えられて、地域限定のものも多数ありますが、地域の文化としては定着していません。
これも、人と材料の馴染みの関係が深いためです。
生物的なものの不思議な良さについては、高気密高断熱住宅は心地いい?【心地良さは機械で作れない理由】でも詳しく解説しています。
人となんとなく馴染みがいいものは自然にあるもの【住まいの視点】
衣類の世界を見ても、一時は、ビニール系の素材が安く注目を集めましたが、
などと言われ、再び綿が人気を集めています。
これは当然のことで、人は、同じ色、同じデザインの服にしてもちょっとした触り心地、着心地で綿のものか、ビニル系のものか瞬時に判断することができるためです。
そのため、肌に触れる部分には綿のものを使いたいという風潮が強くなりました。
衣類の綿とビニル系素材の距離感を住まいで考えると…
どこかで読んだ書籍に次の様な一節がありました。
人が気持ちいいと感じるのは、理由に関係なく、あなたとの距離感に比例します。ビニルやプラスチックは機能的だけど、心地よさを感じにくいのは、その主な原料である石油が遠いところにあるためと考えることもできるでしょう。
確かに、私の場合、日本の杉や栗の木の木目を見ると見事だなぁ…と感じますが、カナダなどで生産されるパイン材などをみても、大きく心は動きません。
近代的な住まいの大きな課題
この様に、馴染みのある素材、遠い存在の素材…として見ると、現代の一般的な住まいは、人の暮らしから遠いもので囲まれていることが分かります。
- 床、壁、天井には石油化学的なもので作られたものが貼られている
- 居心地の良さを出すために、機械的なものを設置
確かに、近代的な住まいは数値で測れる部分だけを見ると非常に優れていますが、将来、歴史的に見たときに「あぁ、素敵な居心地のいい空間だなぁ」と感じるかどうか…。
そんな視点で見ると疑問が残ります。
こちらは京都の古くからある料亭の一室です。
建物の場所によっては、未だに木製サッシが使われているような建物で、気密断熱のスペックは決して良い数値だとは思えません。
けれど、真冬に訪れてもどことなく暖かみを感じ、心からいい場所に来させてもらった…と感じるのは、やはり「身近な生物的なもの」に囲まれているからだと思います。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
あなたの住まいづくりのヒント、一つの考え方の指針になれば幸いです。