気温の低い日が続く冬。雨が連日続く梅雨。どんな時期でも、洗濯物は次々と出てきます。
特に、子どもがいる家庭では、天候に合わせて洗濯をするなんて悠長な事は言ってられません。
家づくりについて考える際にも、最近ではランドリールーム(洗濯をして室内で干す場所)を考えて欲しいと言われることも増えてきました。
ランドリールームを考慮して設計をして欲しいと言われる気持ちも十分分かります。
誰だって、リビングで快適に過ごしたいと思うにも関わらず、現実は…
リビングで部屋干しをしているという方が圧倒的に多数ですからです。
だからと言って、間取りを工夫してランドリールームを設ければ良いかというと、決してそんなことではありません。
があるためです。この問題をどうクリアしながらランドリールーム(洗濯室)を設けるかが、大切です。
部屋干しすると本当に臭いの問題が発生する?
穴吹興産「梅雨時期の洗濯に関するアンケート」調査の室内干しで最も困ることとして
- 洗濯物の臭い
- 生乾き
- 干す場所が邪魔
が全体の約76%を占めています。しかも、臭いに関する問題がダントツTOP。
ということは、臭いの問題を解決しつつ、他の問題点もクリアできる様にランドリールームをプランする必要があるということです。
では、なぜ、部屋干しをすると臭いが発生してしまうのか…その仕組みを見ていきましょう。
室内干しをした時に発生する臭いの原因は何か?
部屋干しの臭いの原因は、次の通りです。
- 洗濯で落とし切る事ができなかった皮脂や垢が変質して臭いが発生する
- 残った汚れを餌として、雑菌が増殖して臭いが発生する
部屋干しの場合は、外で干す場合と比較すると、衣類が乾燥するまでの時間がどうしても長くなりがちなので、その間に雑菌が増殖して臭いが発生しやすくなります。
また、外で干す場合は、紫外線が衣類に当たるために雑菌の増殖が自然と抑えられるので、臭いが発生しにくくなります。
【具体策】部屋干でも臭いを発生させない方法
先に紹介した臭いの原因を取り除くことができれば、部屋干し臭い問題は解決できます。
具体的には次の方法になります。
- 洗濯物は確実に綺麗に洗う(皮脂などを綺麗に落とす)
- できるだけ早く乾燥させる
洗濯物を確実に洗うためにできる工夫
- 洗濯をこまめにする(できるだけ溜め込まない)
- 衣類はできるだけ裏返して洗濯機に入れる
これらについて詳しく解説します。
洗濯をこまめにする(容量の7割程度で洗濯をする)
感覚的に、
ということは十分理解できると思います。
ただ、容量が8kgの洗濯機に8kgの衣類を詰めてしまうと、洗濯能力は、半減してしまう場所もでてしまいます。
上のグラフは、
- 洗濯機の容量に対して7割程度の衣類を入れた場合、上部・中部・下部共に良く汚れを落とす。
- 洗濯機の容量に対して10割程度の衣類を入れた場合、上部・中部の衣類の汚れは通常の半分または半分以下しか落ちない。
ということを表しています。
部屋干しの臭いが気になる場合は、洗い残しがある可能性も考えらるということです。
衣類はできるだけ裏返して洗濯機に入れるなど
ちょっとした工夫ですが、
洗濯機に衣類を入れる時に、裏返しておくことも有効です。
さらに、汚れが激しいかも…と思われるものは、40℃程度のお湯につけ、軽く手洗いしてから、洗濯機に入れることで、洗い残しを随分軽減させることができます。
その理由は、
だからです。
洗濯機に入れる前にある程度、スッキリさせておくことで、部屋干しの臭いの発生源を減らすことができます。
早く洗濯物を乾燥させる
嫌な臭い出す菌が増殖してしまう前に、乾燥させることができれば、臭いを気にする必要がなくなります。
そのために、部屋を暖める・除湿するといった方法も考えられますが、ここではできる限りエネルギーを使わない方法を紹介します。
早く洗濯物を乾かす基本は、
ことです。具体的には次の方法が考えられます。
扇風機を使う(少しだけエネルギーを使う)
私は、部屋干しをする際、衣類に向けて扇風機を回すことがあります。
これで、衣類周辺の空気が良く動くので、随分乾燥までの時間を短縮させることができます。
エフシージー総合研究所の実験結果でも、扇風機の効果は明らかで、上記のグラフの様な結果が得られています。
扇風機を利用することで、少しエネルギーを使いますが、除湿機などと比較すると、エネルギーの使用量はかなり少ないので、かなり有効な手段と言っていいでしょう。
乾きやすいハンガーを使う
通常、シャツを干すと、前面と背中側がくっついてしまいます。
これでは、風通しが悪くなってしまい、乾燥までに時間がどうしてもかかってしまいますが、乾きやすいハンガーを使うことで、早く乾燥させることができます。
これにより、部屋干しの臭いの問題を回避することができます。
部屋干し専用洗剤の基本的な仕組み
室内干し専用の洗剤が増えてきましたが、仕組みとしては、従来あった洗剤と大きな違いはありません。
主な違いは、
- 強い洗浄力
- 殺菌・抗菌成分を増量
- 香りをつける場合もある
です。
つまり、「洗剤の力」で、嫌な臭いの発生を抑えるているのですが、部屋干し専用の洗剤を紹介しなかったのは…
- 小さな子どもがいる家庭では、高機能な洗剤を使うのが心配
- 香害に悩む人の声を聞いてきた
ためです。これまでに次の様な声は何度もききました。
もうすぐ、赤ちゃんが生まれるけれども、できるだけ自然に近い環境で育てたいと思います。生活の全てを無添加・オーガニック的にするのは無理だとわかっていますが、生まれてくる子のことを考えると、やっぱり出来るだけの事はしたいと思います。
「香害」って私には無縁だと思っていたけれど、年齢と共に人工的な香りが段々と辛くなってきました。自然の金木犀の香りは、気持ちいいのですが、人工的な金木犀の香りを嗅ぐと、体調が乱れてしまいます。ですから、私自身は、香り付き洗剤や芳香剤などの使用は控えています。
確かに部屋干し専用洗剤とか消臭効果の高い洗剤は便利ですが、辛い思いをされている方が多いと感じたためです。
人工的な香りについては、私だけが問題と感じているのではなく、9030件のアンケート結果を見ても課題はまだあることが分かります。
【事例】何も考えずに部屋干しできるランドリールーム
部屋干し(天候に左右されにくい物干し場)の一つの例をここに挙げてみました。
また、お客様のご希望によっては、脱衣所と衣類の収納場所が隣り合わせになる様なプランを考えることもありますが、通常は、そんなことをするとジメジメした感じになってしまいます。
ただ、私たちが施工する空気がうまい家®︎の場合は、
- 床材(音響熟成®︎木材・無垢材)が十分湿度を調整をする
- 壁面の漆喰が様々な化学物質などを吸着・分解をする
ために、通常では考えられない様な設計をすることができます。
上の写真は、十年以上前にリノベーションをされたご家族の衣類が全て収納されている場所ですが、衣類が「ベタついた」「臭いがする」といったことは一度もない様です。
もちろん、リノベーションから10年経過しても、この様に快適に使われています。
こうした話をすると、
- 無垢材が本当に調湿するのか?
- 漆喰が様々なものを本当に分解するの?
という疑問の声もこれまでにたくさん聞き、実際に見学・体感をしていただいてきました。
これらについて詳しくは、
無垢材に調湿効果はあるのか?【エアコンの利用量が減少する】の記事を参照してください。
また、漆喰が様々なものを吸着・分解する仕組みについては、漆喰や珪藻土が化学物質を吸着するってどういう仕組みですか?の記事で解説しています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
山は様々なものが腐敗している場所ですが、腐敗臭を感じることはありません。
風通しが良く、ちゃんと微生物が様々なものを分解し続けてくれているためです。
私たちは、何か問題があると最新技術で何とか解決しようとしますが、古くから自然がやり続けてきたことにも目を向けることを忘れてはいけない気がします。