住まい作りの中でも、どの様な床にするのか気になる方は多いと思います。
先日、床材について、次の様な質問をいただきました。
床材に関するこの様な質問はよくいただきます。
確かに私たちが施工する多くの家の床は、意図的に凸凹にしています。
もちろん、フラットな床を選ばれる方もいらっしゃいますが、なぜ、敢えて凸凹の床にしているのでしょうか。
それは
- とにかく滑りにくい
- 真夏でもベタつくことがないので快適
- 光が柔らかくなり、疲れにくい
というメリットがあるためです。
この様な凸凹を敢えて強調して製材したものをうづくり(浮造り)と言います。
【一手間加えられた無垢材】うづくりはどの様にして誕生したのか?
古来から人々は、自然が作り出す形に心を奪われてきました。
杉の成長の仕方によってできる木目も美しい…と感じる人が多かったのでしょう。
この木目を強調させるために考えられた方法が「うずくり(浮造り)」だと言われています。
杉のうづくり(浮造り)の基本的な仕組み
夏の間、杉はぐんぐんと成長しますが、冬はゆっくりと成長します。
つまり、夏の間に成長した部分は柔らかいが、冬の間に成長した部分は、硬い部分となります。
その結果この様な感じの木目が自然に出来上がります。
この木目をより立体的に強調しようとすると、磨いたり、焼いたり、特殊なブラシをあてるなどして柔らかい部分を少し削ぎ落としていく必要がります。
現代の製法は様々ですが、いずれにしても一手間加えて、木目の美しさを強調しようとしたものです。
木の質感をより良く出すための技法は様々
まず、うづくり(浮造り)について紹介しましたが、木の質感をより全面に出す技法は、様々あります。
以下に紹介する技法が一般的な住まいに用いられることは少ないですが、家具職人が手間暇かけて作った家具などで時々見ることができます。
スプーンカット
木材の表面をスプーンですくった様な形で敢えて凸凹をつけていく方法です。
敢えて凹凸をつけることで、面白さが感じられるようになります。
株式会社マルホン https://www.mokuzai.com/Notice/surfacetreatmentより
ナイフカット
株式会社マルホン https://www.mokuzai.com/Notice/surfacetreatmentより
スプーンカットと同様の考え方で名称がつけられています。
木材の表面をナイフで削ったような模様を入れていく技法で、上の写真の場合、左側の壁面にナイフカットの処理が施されています。
スプーンカットの場合は、削り跡に丸みが感じられますが、ナイフカットの削り跡はシャープな感じがするのが特徴です。
まだまだ、他にも様々な技法がありますが、世界中で様々な人が、
ということが伺えます。
現在、うづくり(浮造り)をはじめ、この様な技法を住まいに用いることが少なくなっていますが、なぜ、空気がうまい家®︎では、うづくり(浮造り)を床に用いているのでしょう。
【一手間加えられた無垢材】うづくりを床材に用いる理由
うづくり加工をした無垢材を使った住まいは、とても少ないと思います。
その為、来客の際は、とても珍しいと言ってくれるので、少し自慢気な気持ちにもなれます。
が、それだけのためにうづくりの床にしている訳ではありません。
うづくりの床はとにかく滑りにくい
うづくりの床はとにかく滑りにくいというのは、見ての通りなので十分イメージできると思います。
木目方向には滑りやすいのでは?と思われる方もいらっしゃいますが、木目は直線的ではなく、適度に曲がっているので、どの方向に歩いても滑りにくいものです。
その為、階段に滑り留めをつける必要もありません。
また、人間にすれば些細なことですが、室内で過ごすペットにとってこの環境はとても重要です。
ペットについては、【無垢材にしたい理由】犬の後ろ足がおかしい原因と床材の関係をご覧ください。
真夏でもベタつくことがないので快適
真夏にたくさん汗をかくことはよくあります。
もちろん、足の裏もたくさんの汗をかくのですが、その状態でツルツルの床を歩くとどうなるでしょう。
想像の通り、ベタベタ・ペタペタとなり、何だか気持ち悪いなぁ…という状態になってしまいます。
ところが、うづくりであれば、適度に凹凸があるために、湿っぽい足がペタっと吸い付くような感覚がなくなるということです。
うづくりにすると表面積が広がるから調湿効果が高くなる
バイクなどのエンジンは、走行をし続けるとどんどん熱くなります。
その熱を逃すために、エンジンにはフィンと言って上の写真の様な溝が掘られています。
これにより、エンジンをカバーしている部分の表面積が広くなり、熱が逃げるという仕組みです。
住まいの場合、うづくりにすることで、床材の表面積が広がるので、調湿効果がより高くなります。
エアコンがなかった頃は、この様な工夫を活かして快適に過ごせるようにしたそうです。
現代では、エアコンがありますが、うづくりによりエアコンの不自然さが軽減されるという特徴があります。
木材がもつ調湿効果については、無垢材に調湿効果はあるのか?【エアコンの利用量が減少する】で詳しく解説をしています。
凸凹しているために傷がつきにくい
冒頭で紹介したように、うづくりにすると、杉の柔らかい部分が凹み、硬い部分がわずかに飛び出した形状になります。
尖ったものを落とした場合は仕方ありませんが、ある程度の大きさのものを落とした場合、物が当たる部分は、床の硬い部分だけになるために、柔らかい部分は守られます。
その為、床に目立った傷が入りにくいという特徴があります。
なお、空気がうまい家®︎に使用して音響熟成®︎木材の場合は、塗装なども一切行っていませんので、万が一、大きな凹み傷ができてしまっても、水を含ませてあげるだけで、傷はほぼ見えない状態にまで修復されます。
詳しくは、無垢材のフローリングの凹み傷は水だけで治る【実験した結果】で実際に凹み傷を作って修復する様子を紹介しています。
室内の光が柔らかくなり、疲れにくい
とにかく現代人は、PC・スマホを見る時間がどうしても長くなりがち。
そうなると、なんとなく疲労感を感じるものです。
その上、室内の光もそのままストレートに反射してしまう様な床だと、1日を通して柔らかな光に包まれる時間がとても少なくなってしまいます。
ところが、床をうづくりにすることで、光は様々な方向に反射していきます。
その結果、光がかなり柔らかくなるので、かなりリラックスできるということことです。
上の写真で少しでもその感覚が伝われば嬉しいです。
光で疲労感などが変わるの?と思われる方も多いのが現状ですが、人と光の関係は、リビングでの勉強のメリットと最適化【机と照明には工夫が必要】で詳しく解説しています。
こうして見ると、一手間加えて作られたうづくりの無垢材には、多くのメリットがあります。
また、うづくりによる恩恵は、住まい続ける限り持続するという点も魅力です。
多くの住まいがツルツルの床なので写真では違和感を感じる人も…
不動産物件を紹介するテレビ番組や新築のモダンな住まいのパンフレットなどを見ると、床はツルッして、かなりピカピカに仕上げられています。
その様な住まいの営業の方に話を聞くと、やはりツルッ、ピカッとさせて魅せた方が反応がいいとのことでした。
一般的にその様な風潮が強いために、質問をくださった方の様に、
と感じられるのも十分に分かります。
ところが、実際にうづくりの床の住まいを見て、裸足で歩かれた方の多くは、なんとなくいいと言われます。
もちろん、個性あるものですから好みはあると思いますが、一度体感されるのもいいと思います。
うづくりの床を体感してみたいという方は、地域を問わず、お問い合わせよりメッセージをお送りください。
また、私たちが施工に使っている「うづくりの床」は、塗装なども一切必要としません。
詳しくは、無垢材のフローリングにワックスは必要か?【本物の無垢材であれば不要】をお読みください。