なぜ、木造建築に杉が使われるのか?そして杉のもつ性質とは?

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九谷田 義之

不動産・施工に関するお金に詳しい人。同じ費用をかけるなら本当に重要なところに費用をかければいい。削減できるところは削減も惜しまない。なぜかお客様の子どもに愛される。

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先日、新しい住まいを検討されている方から質問をいただきました。

木造住宅の場合、大抵、杉が使われていますがなぜですか?

実際には、様々な種類の木が使われていますが、一般的には「杉」が多く使われている印象があるのかもしれません。

そこで、今回は

  • 木造住宅に使われる木材は大きく2種類に分別することができる
  • 杉が建築に使われるようになった理由
  • 杉のもつ基本的な性質

これらについて解説します。

 

木造住宅に使われる木材は大きく分類すると2種類

塗装も薬剤なども一切使用していない無垢材の梁・空気がうまい家

塗装も薬剤なども一切使用していない無垢材の梁・空気がうまい家

集成材か無垢材かに分類することができる

それぞれ解説します。

集成材とは

ホームセンターで、「パイン集成材」という言葉を見たことがある人は多いかもしれません。

集成材とは?
小さく切り分けた木材を乾燥させ、接着剤で組み合わせた木材。品質が安定しているので、扱いやすく、工務店や住宅メーカーが使用しています。
集成材・木が貼り合わせてあるのが分かります

集成材・木が貼り合わせてあるのが分かります

集成材のメリット

・品質が安定している

山に生えている木を想像してみましょう。幹の下の方と上の方ではなんとなく硬さ丈夫さが違うことは想像できると思います。これらを切り分けながら、接着していくために、建材としてできあがった時に、集成材Aと集成材Bの差を小さくすることができます。

 

・反りにくい

一般的に集成材は反りにくいと言われています。ただ、表面的には綺麗に見えても内部に割れが見られるものもあります。割れが生じているということは、木材が気候などの条件によって収縮しているということです。

 

集成材のデメリット

・耐用年数に疑問がある

集成材は、接着剤を用いているために接着剤の耐用年数も考慮する必要があります。日本では、1950〜60年頃から集成材が使われ始めたために、60年程度の耐用年数しか確認することはできません。
また、無垢材として使用できない部分が材料として使われるために、耐久年数が劣る傾向が強くなります。

 

・健康的な問題が大きい

集成材を作る際に、接着剤と同時に、防腐剤・防蟻剤などの薬品が使用されます。集成材を施工現場でカットする際、これらの粉末が飛び、健康被害が出るために私たちはマスクを着用するようにしています。一般に「新築の匂い」と言われるのは、これらの成分が揮発しているためです。

こちらの記事では、どの程度化学物質が室内に蔓延しているのか見ることができます。

 

 

無垢材とは

無垢材のフローリングに憧れる…なんていう言葉を耳にした方も多いでしょう。

無垢材とは?
一本の原木から角材や板を直接必要な寸法に切り出したものの事。

ところが、一般的にオイル塗装などが行われていても「無垢材」と呼ばれています。

私たちの場合は、室内の空気環境にとことんこだわっているので、輸入材や塗装されたものは無垢材として認識をしていません。

 

本記事では、集成材のように貼り合わせを行っていない木材として話を進めます。

無垢材のメリット・デメリットは基本的に集成材の反対になります。

無垢材のメリット

・健康面での心配が激減

接着を行っていないために、木材から発生する化学物質は極めて少なくなります。ただし、無垢材であっても、保存剤や防腐剤などが注入されたものもあるために、空気環境にもこだわりたい方は、十分確認をすることをオススメします。

 

・耐用年数が長い実績はある

日本の木造建築の歴史は長く、現在でも築100年以上の建築物は様々なところで見ることができます。もちろん、ある程度の修繕が必要だったケースもありますが、使用する無垢材の質が良ければ、耐用年数は長いと言っていいでしょう。

 

 

無垢材のデメリット

・品質にバラツキが生じやすい

木を切って、必要な大きさにカットしただけですから、もちろん材によって個体差が生じやすくなります。この個体差をできるだけ小さくするために、メーカーでは、品質の管理に力を入れているところが多くみられます。

 

・反りやすい

木材は、空気中の水分を吸ったり、水分を放出したりする性質をもっています。無垢材の質にもよりますが、片面が膨張するということが起きると反る場合があります。

 

現代では、この2種類のどちらかの木材が使われているのですが、以前はどうして様々な建築物に「杉」が使われてきたのでしょう。

 

日本の木造建築に杉が多く利用されてきた理由

もちろん「杉」だけが使われてきたわけではありません。

ヒノキ・サクラ・クリ…など様々なものが使われてきましたが、やはり圧倒的に「杉」の認知度が高い気がします。

古くは日本書紀に記述があり、当時からの実績がある

古くから「杉」が用いられた理由は、日本書紀に根源があるとも考えられています。

思わず笑ってしまう様な話ですが、日本書紀にはこの様な表現があります。

スサノオノミコトが、ひげを抜いて植えるとスギになり、胸毛を抜いて植えるとヒノキになり、尻毛を抜いて植えるとマキになり、眉毛を抜いて植えるとクスノキになりました。さらに、スサノオノミコトは、この木々が成長したら、スギとクスは船に、ヒノキは建物にするよう子どもたちに伝えたのです。

日本書紀 現代語訳

当時は、科学も進歩していなかったために、こうした噂や権威性のある人の発言の様なものが頼りだったのかもしれません。

ただ、この当時から杉も様々なところに使用されてきましたが、建築物や舟を作っても大きな問題はなく、むしろ優れた木だったために現代も利用され続けているのだと思います。

私たちはお風呂にも杉を使うこともありますが、全く問題ありません。

杉ならなんでも大丈夫という訳ではありません。生き物として扱うとこの様な使い方をしても問題がないということです。興味のある方は、お問い合わせからご質問ください。

 

戦後の復興は早い方が良いだろうという考え

また、杉がたくさん植林されたのは、戦後の復興とも関わりがあります。

戦争により大量の木材が必要となった上に、多くの木造住宅が被害にあいました。

そのため、木材の需要が急激に高まり、国は「造林臨時措置法」まで定めて、杉やヒノキの植林を進めました。

特に杉は、成長が早い上にまっすぐに伸びやすいという性質をもっているため、戦後の需要を満たすものだと考えられたそうです。

成長が早いということは、柔らかく、加工しやすいというメリットもあります。

 

杉の性質をまとめておきます。

  • 杉は舟に使う事ができるくらい水に強い
  • 成長が早く、まっすぐに伸びやすいために扱いやすい
  • 全体に柔らかく加工しやすい

 

まとめに変えて

耐震に関する質問を受けることも多々あります。

鉄筋コンクリートの建物に比べ、木造建築物は弱い印象をもっている方がたくさんいらっしゃいます。

ところが、木造だから良い・悪いという見方をするのではなく、

同じ木造でも質の良いもの悪いものがあるという見方

が大切だと思います。

例えば、革のカバン一つみても、

  • ビニルで革の雰囲気を出した鞄
  • 合皮の鞄
  • 本革の鞄 など

種類は様々です。

耐久性も見た目や質感も全てが異なります。

もし、あなたが住まいを建てるのであれば、ハウスメーカーや工務店にお願いをして木が製材されている現場まで一度足を運ぶことをオススメします。

もちろん、私たちはご案内するようにしています。

 

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