【木造住宅の強さ】木材は乾燥させる程強いのか?

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九谷田 義之

不動産・施工に関するお金に詳しい人。同じ費用をかけるなら本当に重要なところに費用をかければいい。削減できるところは削減も惜しまない。なぜかお客様の子どもに愛される。

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最近は、木造住宅と言っても、

  • 人工的に作った木材(集成材など)を柱・梁に使用した住まい
  • 無垢材を柱・梁に使用した住まい
  • 接続部分の金物の作りを工夫した住まい など

があり、どちらが丈夫なのか?という論争の様なものもあります。

また、

木材は思いきり乾燥させてやった方が強くなる

などという、ちょっと誤解を招く様な話を耳にすることがあります。

集成材がいいのか? 無垢材の方がいいのか? 木材の乾燥はどの程度したらいいのか? この辺りの問題を考えるには、木の性質、接着剤などに対する理解を深める必要があります。

もちろん、全てを一気に解説することはできませんので、ここでは、

木材が乾燥する時の木の変化

を解説します。

木材が乾燥していく様子を知ったところで、特別おしゃれな空間の住まいになる訳ではありませんが、「木材を乾燥させる」ということは、家づくりでかなり重要なポイントだということが感じられると思っています。

 

木材は乾燥の過程で変形していくもの

空気がうまい家®︎に使用してしている音響熟成®︎木材

空気がうまい家®︎に使用してしている音響熟成®︎木材

そもそもなぜ、木材は乾燥させないといけないのか?

山で伐採したばかりの木の内部にはたくさんの水分が含まれています。

切り口を手で触っても、しっかりと濡れているのが確認できるほどの水分を含んでいます。

伐採された木は、製材をされて住まいの柱や梁など、様々な部分に使われますが、木材の内部にある水分は、蒸発していきます

しいたけやイカを天日干しし、水分が抜けてくると随分体積が小さくなっていくのと同じように、木も乾燥とともに体積が小さくなっていきます。

現実にはあり得ませんが、水分が多く含まれた木材で家を建てると経年とともに乾燥が進み、下の図のようにとんでもない力が家のあちこちにかかってしまい、歪みや割れが生じてしまうことは、誰でも想像できると思います。

その為、木材はしっかりと乾燥させないといけません。

ただ、【木造住宅の強さ】木そのものの強さについて知る・構造より重要で紹介している通り、木は神秘的ともいえるほど複雑な構成をしています。

その為、生きている木の内部にある水も非常に複雑な状態で存在しているために、どの程度乾燥させるのか?というのは、大切な視点となります。

 

木材の乾燥に程度の違いが出る理由

「木を普通に乾燥させる」と言った場合の直感的なイメージは、熱いお茶やコーヒーを室内にしばらく放置した時の変化と似ています。

確かに、お茶やコーヒーは冷めていきますが、いくらでも温度が下がっていくことはありません

時間が経てば、室温と同じ温度になって、温度変化は落ち着きます。

木材を乾燥させる時の水分も同じことが言えます。

大気中の湿度とバランスがとれる状態になった時に、木材の水分の蒸発は概ね止まり「平衡状態(へいこうじょうたい)」となります。

この平衡状態になるまでの間で、木は大きな変化をします。

乾燥による木の内部の変化のイメージ(細胞レベル)

乾燥による木の内部の変化のイメージ(細胞レベル)

木はとても複雑な構造をしているので、自由に移動できる水もあれば、なかなか身動きがとれない水も存在します。

この「身動きがとれない水」と「木の繊維(セルロース)」は、とても仲良くしているのですが、それでも時間の経過とともに、身動きがとれない水は、ゆっくりと蒸発してしまいます。

そうなると、セルロース同士の結びつきが強くなり、さらに強くなります

お姉さん
お姉さん

じゃあ、やっぱり木材はできるだけ乾燥させた方がいいのね。

九谷田
九谷田

ここが、よく誤解される部分なんだ。

もう少し良く考えないといけないことがあるんだ。

乾燥によって木の繊維はより強く硬くなるが変形が起きる

かなり細かい視点で見ると、身動きがとれない水が次第に減り、セルロースが結びつき、より強くなることは素晴らしいことです。

ところが、木材全体を見ると、

  • 身動きできない水が減ることで変形する
  • 変形の割合が縦・横・高さでそれぞれ異なる

そのために、とにかくどんどん乾燥させれば良い!というものでもありません。

乾燥のさせかたによっては、表面的にはよく乾いている様に見えても内部には多くの水分が残っている状態になってしまうこともあります。

そうなると、表面は乾燥して収縮したいのに、内部はそのままの形状を維持したいという状態になり、後々になって割れてくるということもあります。

 

 

人工乾燥木材のバイオリンと天然乾燥のバイオリン

良いバイオリンは自然の温度で10年以上乾燥させた木でつくられる

良いバイオリンは自然の温度で10年以上乾燥させた木でつくられる

  • 人工乾燥木材のバイオリンは経年とともに劣化しやすい。
  • 天然乾燥木材のバイオリンは経年とともに良くなる。

バイオリンに限った話ではありませんが、ボディーに木を使っている弦楽器の音の響きは、経験的にこの様に表現されることがあります。

福岡でバイオリンを一人で制作されている石田ヴァイオリン工房のHPにも次の様な記述があります。

当工房では表板に音の良いイタリー産を、裏・横・ネック材に主としてボスニア産のカエデ材を10年以上自然乾燥させたものしか使いません。なぜなら、部品の90%が木で出来ているヴァイオリンの素材となる木は、後でゆがみが出ないようにしっかりと枯らさなければならないためです。

石田ヴァイオリン工房HPより引用(https://www.ishida-violin.com/ordermade/

 

なぜ、乾燥の方法によって大人違いが生じるのか?

まだまだ、科学的に分からない部分もありますが、木材の強度や変形を防ぐために、高温や圧力によって「身動きできない水」を抜いてしまうと、セルロースが痛んでしまうからではないかと考えられています。

長く使われてきた弦楽器の経験からも私たちは木との付き合い方を考える必要があると思います。

こうした見方をすると、

木造住宅は強いのか?弱いのか?という議論がありますが、同じ木造住宅でも、木そのものの強さが、建物を建てる前から、大きく異なることが分かると思います。

空気がうまい家®︎

空気がうまい家®︎

 

私たちが新築をする場合、またはリノベーションをする際には、やはり経年と共に良くなって欲しいと思っているので、音楽を聴かせながら常温で乾燥させた木材を使用しています。

「音楽を木に聴かせる」というと、とても変な感じがするかもしれませんが、「身動きできない水」を細胞を壊さずに素早く抜くというところと深い関係があります。

それと同時に、楽器の制作・演奏に関わる方々が、楽器を「生き物」として扱うのと同じ様な感覚を、住まい作りに関わる者がもつというところが、素晴らしい住まい作りの原点だと考えております。

 

食品も衣類も素材がとても大切なのと同じように、住まいも素材はとても大切です。

そのため、空気がうまい家®︎を建てられる方には、どの様にして木がフローリング材や柱になるのか?という部分も希望者のご家族には実際に見学していただく様にしています。

「産直の住まい」そんなイメージをもっていただけたら嬉しいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

木の歴史は、人類の歴史よりも随分長いです。きっと、私たちが知らないことも木はたくさん知っているだろうなぁ…と思います。

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