京都市の街中で2020年10月から行っているフルリノベーション。
概ね大工仕事は終わり(細かな部分はまだありますが)、漆喰を塗る作業に入っています。
現代の住まい・店舗のほとんどは、ビニルクロスで仕上げるのが普通なのに、なぜ、わざわざ漆喰を塗るのか…?という質問をいただくこともあります。
その理由は、とてもシンプルで、
- 生活しながら発生してしまう様々な不要なものを分解してくれるから
- メンテナンスコストはぼぼ0になるから
です。
施工の手間は当然かかりますが、後の生活は極めてシンプルになるので漆喰を塗っています。
実際に、どの様に塗るのか現場の様子を紹介しながら、詳しく解説します。
漆喰を塗る時に注意していること【ビニルクロスとの大きな違い】
ビニルクロスは、ご存知の通りシート状になっているために、職人が貼っていきます。
当然、これを綺麗に貼るには技術も必要ですが、綺麗に貼るだけで作業が完了しますから、割と短期間で済みます。
ところが、漆喰を塗るには、ビニルクロスの何倍も手間がかかります。
漆喰を塗る時のおおまかな流れ
簡単にいうと次の様な流れです。
- 壁に下地をぬる
- 一度漆喰を塗り、乾燥させる
- 仕上げの漆喰を塗る
実際の作業の様子は、こちらの動画をご覧ください。
漆喰を塗る時に特に注意していること
漆喰を塗った時のタッチを揃える
漆喰は塗り壁ですから、様々なスタイルで塗ることができます。
ただ、規則正しいパターンで塗ってしまうと、補修をご自身ですることが困難になってしまいます。
そのため、要望がない場合は、上の写真の様に敢えてランダムな雰囲気になる様に塗っています。
ところが、ランダムと言っても漆喰を塗る職人によって微妙にタッチが異なるのです。
大きな住まい・店舗になってくるとこのタッチのすり合わせを入念に行う必要が出てきます。
施行中にできてしまった汚れは「お酢」で拭く
当然、漆喰を塗るには養生はしっかりとしないといけません。
ところが、どんなに養生をしても、どうしても巾木などに漆喰が付着することもあります。
その都度、お酢を使って付着した汚れ・漆喰を拭き取っていく必要があります。
なぜ、合成洗剤などを使わずに「お酢」を使って綺麗にするのか?は【実例!無垢材のお手入れ】雨によるシミを綺麗にする方法と注意点を参考にしてください。
なんで、こんなに大変な作業をするの?
納期が遅くなるし、コストもかかりそうじゃない?
今なら、漆喰風のビニルクロスだってたくさあるでしょ。
この様な疑問があって当然です。
では、なぜ、敢えてリノベーションなのに漆喰を塗っているのか?解説します。
【漆喰をリノベーションにも使う理由】大きなメリットが3つ
漆喰と言っても様々ですが、京都市でリノベーションをしている物件には、幻の漆喰®︎を使用。
特に、2・3は幻の漆喰®︎に限ったメリットです。
- 塗り壁は珍しいので、すぐに気付く人に絶賛される。
- 目に見えないウィルスや化学物質・花粉症の原因物質などは分解してくれる。
- 汚れても綺麗になることがほとんどで、メンテナンスコストは0円。
- 埃がたまりにくい家になる。
怪しそうだなぁ…と思われる点もあるのは承知ですが、実は、2・3の様なことが起きるのが当然のことであり、起きない方が不自然だといつもお客様には伝えています。
この怪しさの部分も踏まえて詳しく解説します。
塗り壁は珍しいので、絶賛してもらえるし、自分も満足できる。
自分の住まいを褒めて貰う…というのは、誰でも嬉しいものです。
また、仮に誰からも褒めて貰えなくても、良いものに囲まれていると気分がいいものです。
- いい洋服を着る
- いい財布やバッグをもつ
ことで気分がよくなることをあなたも経験したことがあるはずです。
この様な満足感は、例え見た目が似ていても漆喰風ビニルクロスでは得られないのは、十分想像できるはずです。
あまり他人には言えませんが、
という満足感を得るというのも、いい影響をもたらしてくれます。
室内のウィルスや持ち込まれた化学物質を分解してくれる
生活をしていると必ず、ウィルスや化学物質は室内に入ってきます。
それらが気になるために、空気清浄機を利用されている方もたくさんいらっしゃいます。
ところが、幻の漆喰®︎を用いると
ので、空気清浄機も不要になり、複雑な構造をした換気システムも必要ありません。
この様に表現すると、怪しい売り文句の様に聞こえるかもしれませんが、様々なものを分解しながら新しい生命を産んできたのが自然界のルールです。
目に見える大きな落ち葉だって、様々な虫や菌の力で分解されていくからこそ、山が落ち葉で溢れかえる…ということにならないのです。
また、微生物は、下水処理場の水を綺麗にする仕事もしてくれています。
こうして見ると、
なことです。
ところが、化学物質などを分解するなんて考えにくい…と思うのは、それだけ私たちの周りが人工的なものに囲まれてきている証拠でもあります。
もちろん、これからご家族で元気に過ごすことを考えた場合、できるだけ自然のものでできた壁材を使いたいとあなたも思うのではないでしょうか。
空気清浄機と室内の化学物質の関係は、【実例】空気清浄機の効果でシックハウスを抑える事ができるのか?をご覧ください。
漆喰はメンテナンスはほぼ不要・問題があれば自分で補修できる
ビニルクロスの場合、どうしても経年とともに劣化してしまいます。
もはや、15年〜20年もすれば、クロスの総張り替えをした方がいい・張り替えるのが普通…という認識になっています。
実際には、「クロスを張り替えたいけれども、節約しないと…」と我慢をされている方もたくさんいらっしゃいます。
ところが、漆喰の場合どうでしょうか。
屋外という厳しい環境下であっても大きく汚れていないことが分かります。
とは言え、漆喰は塗り壁ですから、子どもが荷物を激しくぶつけた!なんてことがあれば、欠けてしまうことがあります。
ところが、欠けた部分に漆喰を塗ってしまえば何の問題もないという事は十分想像できるはずです。
20年経ったから、一部欠けてしまったから…と言って大掛かりな手入れをする必要がありません。
よほど大きな損傷でないかぎり、メンテナンスコストは0円です。
漆喰を塗ることで、埃が溜まりにくい家になる
埃は生活している以上、どうしても出てしまうものです。
漆喰にしたからと言って、埃の発生量が減る訳ではありませんが、静電気を帯ないために、埃が付着しにくくなります。
掃除をする度に、発生した埃を取り除くことが可能なのですが、ビニルクロスの場合、帯電しやすいためにどうしても壁にたくさんの埃が吸着してしまいます。
室内の埃については、【埃の原因と対策】埃が溜まりやすい家の特徴を知れば対策できるを参照してください。
私たちが、新築やリノベーションをしている間に、周りの家はどんどん完成して入居される方を見ると、お客様に早く引き渡したい…と思うものです。
それでも、これだけのメリットが大きいのですから、施工期間が多少長くなっても、漆喰を塗り、漆喰の空間の気持ち良さを満喫した生活を送って欲しいと思うのです。
先ほど、京都市の現場に幻の漆喰®︎を届けてきましたが、すでに漆喰のふるさとの海の香りがしていました。
以前は、新築の匂いがするのが当然…と思っていましたが、新築の匂いがしない住まいが本当に住みやすい住まいだと改めて実感しました。