子育てに関する悩みは尽きない…などと耳にすることがあります。
実際にこんな悩みも聞いてきました。
- 子どもの落ち着きが全然ありません。
- すごく元気だと思ったら急に元気がなくなることもあります。
- 思い当たることがないのに突然高校を辞めると言いだしました。
- 常に周りを気にしてばかりいます。
最近だと
HSPじゃないかなぁ?と心配される方もいます。
HSPだと生きづらい…こんな言葉もネット上で見かけることがありますが、そうとも限りません。
私は現在、HSPの傾向が強いと言われた子どもの教育にも関わっていますが、その子と過ごす時間はとても有意義で、お互いに楽しむことができていますから。
ここでは、論文:感受性の個人差に関する研究の概要と私の経験をあわせて、
- HSPとは何か?
- HSPとの関わり方はシンプルで様々なところにも活かせる
という話をします。
人との関わり、育児の参考にしてください。
HSPについて詳しく知ろう
HSPって何?と思われた方も多いと思います。
その特徴や考えられる要因について解説します。
HSPとは?
Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略で、
のことを言います。
パッとみた印象は素晴らしい人のように見えますが、「生きづらい」と良く言われるのは次のような特徴があるためです。
特徴1 情報処理の深さが半端なく深い
友達のたかしくんと遊びに行く約束をしていたとしましょう。
けれど、数日前に
「約束をしていたけれど、仕事に出て欲しいと言われたから無理になった。」
と言われたとします。
この時に、
- 本当に仕事が入ったのだろうか?
- 数日前に自分の言った一言が良くなかったのだろうか?
- もしかして、遊びに行くお金が無くて困っているのだろうか?
などと考えてしまいます。
特徴2 場の空気をとても敏感に察知し、気が利きやすい
誰かが自分の近くを通っただけでも、この人は機嫌がいいとか、悪いとかを感じることができます。
その感性と行動がスムーズに結びつく場合は、「とてもよく気が利く人」という印象になります。
また、周りの音になどにもとても敏感です。
特徴3 共感しやすい
映画やドラマを見ていると、その中に入り込むかのように夢中になり、状況によっては大きく喜んだり、涙を流したりします。
映画やドラマの視聴後も余韻が長く続く傾向も強いのではないかと言われています。
特徴4 自己価値が低い
特徴2で触れた様に、周りの空気を敏感に察知しながら、気を利かせることが得意ということは、自分よりも他人を優先させる傾向が強くなります。
とても優しい性格ですが、他人を優先させるために「自分を低くする」ことも多々見られます。
私が実際に関わっている子どももこの部分が習慣化されており、出会ったころはとても自己価値が低かったです。
特徴5 疲れやすい
特徴はまだ他にもありますが、1〜4の特徴を見れば、疲れやすいというのは、十分に察することができるはずです。
HSPの原因は?
ではなぜ、こんな「疲れやすい」性質が受け継がれていくのか?
論文:感受性の個人差に関する研究の概要(船橋亜希)に分かりやすい話が掲載されていました。
肉食動物の餌食になる小動物達は小さな音でも聞きつけ、わずかな匂いをも嗅ぎ分け、遠くでかすかに動く小さなものもいち早く認めなければならない。仲間達より、ほんの一瞬でも早く認めただけでも、生き延びる確率が飛躍的に増す。
論文:感受性の個人差に関する研究の概要 より抜粋
人間の場合、この様な心配をする必要はありませんが、人間の進化の歴史を見ると、様々なことに敏感になることは必要なことだったのです。
さらに、この論文にはこう文章が続いています。
人間の場合、現代の文明社会があまりにも生物離れしているので、優れた感覚の持ち主の方が小数派とされて肩身が狭くなっている。
論文:感受性の個人差に関する研究の概要 より抜粋
優れた能力を幸運にももって生まれた人が生きにくい社会。
ここに自然のルールと社会の構造とのギャップのようなものを感じます。
そして、この風潮はますます加速してしまいそうです。
刺激の強い社会、自然とのギャップはますます加速する
このまま社会が発展していくとますますHSPの傾向がある人にとっては辛くなってしまいます。
その理由を解説します。
社会が発展すると刺激はますます強くなる。
刺激が強いと個人や会社・商品が認知される。
分かりやすいのが「炎上商法」というやつで、これの良し悪しについては、ここでは触れませんが、刺激的なTweetなどを行えば、認知されやすくなりました。
スマホゲームの世界を見ても、内容や効果音までもが刺激的になりました。
私は住宅の業界にいますが、住宅にも様々な装備が付けられるようになりました。
刺激的・パッとみて分かりやすいものが認知され、売れるわけですから刺激はより強くなってしまう一方です。
こうしたことを踏まえつつ、
私がHSPの傾向が強いと言われた子どもと関わる時に意識していることを紹介します。
HSPの子どもとの具体的な関わり方
意識している点は多々ありますが、主に次の3点は、最初からから徹底しています。
叱ることはしない
- 勉強をひどく嫌がる
- 言葉遣いが乱暴になる
- 急に違う話を始める
など、様々なことがありますが、叱ることはしません。
- 勉強を嫌がれば待つ。
- 言葉遣いが乱暴であれば、その言い方だと気持ちが良くないから返事をしたくことを伝える。
- 急に違う話が始まれば、一旦、話に乗って「じゃあ○○に戻ろうか」と言う。
もちろん、こんなことをしていては、少しの作業をするのに膨大な時間を要します。
けれど、
と言ったところで、それは威圧したに過ぎません。
大事なのは、自分がとった行動について自分で考えてみるということです。
子どもだと思わず、対等だと思って接する
一般に学校でも地域でも、大人の言うことを良く聞く子は「良い子」だとされます。
HSP傾向が強い子ほど、「良い子」になりがちで、大人の顔色も良く見ます。
ところが、これでは疲労してしまいます。
大人の言うことを聞くもが普通…という概念は綺麗さっぱり捨てて、子どもと大人が対等になれるように大人が配慮することが大切です。
昔のドラマなどで良くみた風景
夕飯の食器洗いは、たけし!お前がやれ!
一生懸命仕事をし、疲れ切っていることが事実であっても、
子どもからすれば、
と思うものです。
対等というのは、この子どもが考えている俺も学校でめちゃくちゃ勉強したし、部活もしてきたんだけど…この様な言葉が聞けた時にはじめて対等になれたと理解しています。
褒めたところが長所になる
良いところは褒めよう!と良く言われますが、私の経験では、中学生程度までの子どもなら、褒めたところが長所になると言えます。
きっと、あなたが今得意だと思っていることも、最初から得意だったのではなく、誰かに褒められたことがきっかけになっていると思います。
このTweetに出てくるお母さんも流石だなぁ…と思います。
もちろん、細かく挙げればまだまだ意識していることはありますが、この3つさえできれば、楽しく成長も十分感じられる時間を過ごすことができます。
これを見て、あなたはどう感じたでしょうか。
HSPとかADHDとか…
そんなこと関係なく、誰もがこんな関わりを求めているはずです。
本当は誰もが求めている関わり方
あの人はHSPだから…と特別視する必要はありません。
先に挙げた具体的な関わり方は、大人だって求めます。
でも、時々、自分の都合であの子はHPSだから…って思ってしまったら私はメガネを外すようにしています。
私は視力が悪い
世の中には視力が悪いために、コンタクトレンズやメガネを利用している方がたくさんいます。
私も視力が悪いために、メガネを利用しています。
もし、あなたも利用しているのであれば良く分かると思いますが、
になるはずです。
例えば
- 車の運転ができない
- 仕事ができない
- 他人を見て誰か判別が難しい
こんなことになってしまいます。
生きて行けるか行けないか…の瀬戸際のような日々を送ることになります。
ところが、実際は、視力が悪いだけでは全く問題になりません。
コンタクトレンズやメガネという素晴らしい道具があるから救われているだけです。
HSPに対応できる素晴らしい道具がないだけ
この様に見ると、「HSPだから…」という特別な見方をする必要はありません。
HSPの傾向がある人が「生きづらい」と感じるのであれば、どこかに問題が潜んでいるはずです。
この様な現象は、非常に高い能力をもって生まれてきた方々から「時代の流れが早くなり過ぎている」という合図なのかもしれません。
そう言えば、最近ゆっくりと散歩もしていないなぁ…という方も多いのではないでしょうか。
敢えて、ゆっくりと時を過ごすことで新たな発見・新しい発想は生まれてきます。
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まとめ
最近よく耳にするHSPについて、実体験を交えながら書いてみました。
ところが、HSPの傾向の強弱に関わらず、人(子ども)との関わりで大切な部分があることに気付けたのではないでしょうか。
- 人を叱ることは基本的には不要
- 対等に付き合うことが大切
- 褒めたところが長所になる