隠れ家的な書斎は小さくても十分【狭い空間ほど集中できるのか?】

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住まいと人の成長は深い関わりがあるのか?そんなことを追求する。住まいとアレルギーやアトピー、学力との関係にも注目している。現在、国内外の子ども達と関わりながら、住まいに関する書籍や冊子などの連載も行っている。要するに住まいのオタクである。

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住まいは、様々な役割を果たさないといけません。

気持ちの面だけを見ても

  • 家族や友人達とリラックスして過ごす
  • 勉強や仕事に思い切り集中する

全く正反対のことが、一つ屋根の下で行える環境をもたないといけません。

また、2020年からは働き方も変わったという方もいらっしゃり、現在、京都市でリノベーションを行っている物件も書斎が欲しいという要望がありました。

家族構成や敷地の広さによっては、しっかりとした書斎を設けることは難しいかもしれませんが、PCで作業をしたり、本を読む場所として書斎を使うのであれば、小さな書斎でも十分だと思います。

理由は、

人は狭い場所の方が落ち着き、集中しやすい傾向があるから

です。

これについて、調査結果も参考にしながら、詳しく見ていきましょう。

また、ビジネスでも上手に活用されている事例を紹介します。

 

【よく言われる話】飲食店などでは、端の席から埋まっていく

カフェに入ったとき、店内が空いているとどこの席に座るでしょうか。

きっとほとんどの人が、壁際や窓際の席を選ぶはずです。

全ての動物がそうだとは言えませんが、動物達も端が好きな傾向があります。

動物園に行くと、堂々と檻のど真ん中で過ごして欲しい…と思うにも関わらず、大抵は檻の端の方でじっとしています。

人や動物が端を好む理由1 命を守るため

原始的な話になりますが、人や動物が大草原のど真ん中で、じっと立っていたら、何者かに襲われるリスクが高まります。

一方、岩陰に潜みんでいると、襲われるリスクを随分軽減することができます。

こうした危険から身を守るために、もともと人や動物は基本的には、隅や壁際が好きという性質があります。

近代に入って広いリビングに憧れる人が増えましたが、暑さ寒さの問題もクリアでき、住まいの中では命の心配をする必要がなくなったためだと考えています。

 

人が端を好む理由2 集中している時は邪魔されたくない

始発電車に乗る時、あなたはどの席に座るでしょうか。

この時も、端の席から埋まっていく傾向があります。

その理由は、この後、多くの人が乗車してきた場合、中程に座っていると少し移動しないといけないことも想定されるからです。

車内が混雑してくると、読書をしたり、スマホを触っていても一旦作業を中断しないといけません。

何かをやり始めたのに中断しないといけないのも、人は嫌うものです。

だから、無意識のうちに端を選んで座ると考えられています。

 

では、本当に人は端、狭い場所にいると落ち着きを感じ、集中できるのでしょうか?

実際に行われた調査の一部を紹介します。

 

【書斎の広さのヒント】狭い場所の方が落ち着き、集中できるのか?

約4畳程度の書斎(空気がうまい家®︎・京都府)

あなたも何かに集中して作業をしたい時、なんとなく狭い場所、または部屋の隅を選んで座るのではないでしょうか。

実際に、単純な作業を行っている場合、狭い空間(閉鎖的空間)の方が

  • 居心地がいい
  • 親しみがもてる
  • 作業はしやすい

と感じる人が多いという調査があります。

作業のしやすさを調査するために使われた実験セット

 

作業を行った人のアンケート結果(抜粋)

開放感が作業のスランプに及ぼす影響に関する研究

http://www.ngy.hi-tech.ac.jp/labo/miyakoshi/pdf/h20/kakutsuta/kakutsuta_thesis.pdfより

 

この調査では、ブロックを指定された形に組み合わせ、解体し、また組み合わせる作業を繰り返すというものですが、結果として、

  • 閉鎖的空間の方が作業の上達が早い。
  • より集中できる。

という結果が得られています。

書斎を設ける際の実際の間取りは新築やリノベをするなら書斎を取り入れたい【間取りの具体例】に掲載しています。

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さらに、この人の性質を上手に利用し、ビジネスに活用されていると感じるのが、ラーメン一蘭のカウンターです。

 

ラーメン一蘭は座席を工夫をして食べることに集中させている

人の性質を上手に利用したラーメン一蘭のカウンター(閉鎖的空間だからこそよい)

博多ラーメンで有名な「ラーメン一蘭」の客席は上の写真のように、独特なスタイルをしています。

この閉鎖的な空間が、ラーメンを楽しむのに良いという戦略で、大成功されています。

閉鎖的な空間に着席すると、目の前にラーメンに関するうんちくが書かれています。

例え、友達や家族とラーメンを食べに行っても、この閉鎖的空間に入ると、ラーメンが出されるまでの待ち時間に必然的にうんちくを読むことになります。

渋谷

ラーメンを作るのにこんなに大変な作業があるのか…

そりゃ、美味しいラーメンが出てくるだろうなぁ…

食べる前から「おいしい」が大いに期待されている状態になるのです。

そんな気持ちで、ラーメンをいただくのですから、より美味しく感じるのでしょう。

私は、ラーメン一蘭の閉鎖的空間を体験したことは一度しかありませんが、面白いなぁとつくづく感じました。

 

人は空間に影響を受けながら日々生活をしている

ここでは、狭い空間と人との関係を紹介しましたが、集中できる場所を作るのにただ単に、閉鎖的空間を確保すればいいという訳ではありません。

  • 光(日光や照明の当たり方)
  • 机や椅子の高さ・角度
  • 壁や床、机などの質感にこだわる(好きになれるものを選ぶ)

などによっても疲労感や集中力が変わると言われています。

こうして、小さな書斎と集中力との関係を見ても、私たちと住まいの質は深く関係しあっているということが分かります。

 

光と集中力の関係は、リビングでの勉強のメリットと最適化【机と照明には工夫が必要】に詳しく掲載しています。

リビングでの勉強のメリットと最適化【机と照明には工夫が必要】
最近はリビングでの勉強がいいと言われるようになりました。その理由をもとに最適化する方法を紹介しています。照明が私たちに与える影響や机の配置について具体的な間取りとあわせて紹介しています。

 

料理で例えるなら、素敵な器が家で、お料理があなたということです。

いくら一流のシェフが作った料理でも、発泡トレイに載せられてしまうと料理の魅力は半減以下になってしまいます。

ところが、素敵な器に綺麗に盛り付けられると、料理の良さは格段に上がります。

だから、小さな書斎・ワークスペースでも何で作っていくのか?ということを大切にしたいと思うのです。

 

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