【低周波音と高気密住宅と健康】森の中で音が静かになる理由

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九谷田 義之

不動産・施工に関するお金に詳しい人。同じ費用をかけるなら本当に重要なところに費用をかければいい。削減できるところは削減も惜しまない。なぜかお客様の子どもに愛される。

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建築に関する技術は、日々向上しています。

サッシも様々なものが開発され、高気密高断熱にこだわった住まいも増えてきました。

それにも関わらず、騒音に関する苦情相談は年々増えています

低周波苦情件数の推移(株式会社コニケミー https://unichemy.co.jp/unilab/unilab-1516/より引用)

お兄さん
お兄さん

都会では車や電車が多いからうるさくなって当然じゃないの?

当然、都会はうるさく、田舎は静かという考え方もできますが、音という物を丁寧にみると、周りの環境だけの問題ではないこともよく分かります。

 

より健康的に生活するための場として住まいを見るのであれば、

  • 音によって健康が害されることもあり、その問題は増えてきている
  • ストレスとなる様な音を抑えるためにできること

この2点について、簡単に理解しておくことは重要です。

また、特別な原因がないにも関わらず、

  • 何となく調子が悪い
  • ぐっすり眠れない
  • やる気が出ない など

の問題を感じる人が急増しているのも住まいの作りと音とが関係しているという見方もあります。

複雑になりがちな話なので、ここではできる限り感覚的に理解しやすい範囲で詳しく解説していきます。

【ご注意!電磁波と音波は性質が異なる】
電磁波も音も「波」なので同じ様に理解される場合がありますが、別のものとして捉えてください。ここでは、音に限って話を進めていきます。

 

騒音によって健康的な暮らしができなくなるの?

あなたの住まいの近隣で大掛かりな工事が行われると、気持ちよくないでしょう。

期間が限定されているとは言っても、何らかのストレスを感じるはずです。

ところが、先にグラフで紹介した低周波音苦情というものは、工事現場の音とは異なり、期間が限定されないものが原因となる場合も多く見られます。

そして、よく考えてみると次の様な矛盾を感じるはずです。

高気密高断熱化が進んでいるにも関わらず
低周波音苦情件数が増加しているのはなぜ?

 

そもそも低周波音によって快適さは損なわれるのか?

人の性格によりますが、あなたは「少しうるさいなぁ」と感じただけで、苦情の電話を入れたり、相談機関に問い合わせをするでしょうか。

相談をされた方は、なんらかの大きな問題を感じて、改善したいという思いで行動をおこされたケースがほとんどだろうと私は見ています。

その大きな問題とはどんなことなのでしょう。

 

低周波音とは簡単に言えばとても低い音

音は空気の振動によって伝わるものですが、その振動の波が緩やかで波の長さが長いものを低周波音といいます。

高い音は、振動する回数が多くなり、低い音は振動回数が少なくなります。

低い音は振動する回数は少ないですが、より遠くに伝わるという性質があり、雷の低い音はかなり遠くまで届きます。

また、あまりにも低い音になると人間の耳では聞き取ることのできない音へと変化していきます。

耳では聞き取ることができませんが、空気が振動しているということです。

低周波音は、自然界にも存在しますが、圧倒的に人工的なものから発生するものの方が多く、現代社会は、人が許容できる範囲をはるかに超えているのです。

特に最近では、エコキュートが発する低周波音が不快・ストレスに感じる原因だと言われるケースが増えています。

環境省 よくわかる低周波音より引用

環境省 よくわかる低周波音より引用

これらの機械には低周波音を防ぐ工夫が行われています。全ての機械から低周波音が大きく漏れている訳ではありませんが、完全に防げている訳でもないのが現状です。

 

不自然な空気の振動の中にいると人は疲労する

例えば、ボイラーの「ボーーーーー」という音が小さい音としても聞こえ続けたらどうでしょうか。

うるさくはないものの、気持ちがよくないという感覚を覚える人が多いはずです。

ところが、この「なんとなく気持ちよくない」という現象が、人にとっては潜在的なストレスとなり、様々な問題を引き起こすことが分かっています。

低周波音の健康被害は主に次のような症状が出ると言われています。

精神的な面体の面
  • イライラする
  • 不安
  • 集中力の低下
  • 脱力感 など
  • 肩こり
  • 疲労感
  • 血圧の上昇
  • 頭痛 など

時々、避暑地などにいくと、イライラがなくなったり、目覚めがよくなったりするのも低周波音が少ない環境になるためだとも考えられています。

 

当然、自然がもたらす環境の良さというのも大きく影響しています。

詳しくは、疲れを感じたら近くで森林浴をしよう【少し歩くだけで効果は絶大】で紹介しています。

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高気密高断熱化されているにも関わらず辛くなる理由

音の性質を詳細に解説すると膨大なボリュームになるために、ここでは簡単に解説します。

音の性質は様々ありますが、まず3点だけ紹介します。

  • 音は反射する
  • 音は透過する
  • 音は吸収される

 

音は反射する

トンネルの中を想像すると分かりやすいです。

トンネル内で大きな声を出すとエコーがかかります。

基本的に硬いものほど音を反射する性質が強くなります。

コンクリートと布団を比較すれば、誰もがコンクリートの方がよく音を反射すると答えるでしょう。

 

音は透過する

簡単に言うと、音は障害物をも突き抜けるということです。

密閉空間で、大きな音を出してもその音は外で聞き取ることができます。

カラオケルームの外側でも音が聞こえるのは、扉などが振動し、さらに空気が振動するために音が伝わるのです。

 

音は吸収される

正しくは、音の振動エネルギーが熱エネルギーに変換されることを吸収されるといいますが、ややこしいので、音が吸い込まれるという感覚で十分です。

布団や座布団に向かって、大声で叫んでも声は吸い込まれるような感覚がします。

 

ここで考えてみて欲しいのは、近代的な住まいの床、壁面、天井は音をどうする割合が高いでしょうか。

 

高気密高断熱化を強くするほど、室内で音が反射する

高気密化するということは、隙間なく住まいを作るということになります。

そのレベルはどんどん高くなり、あるハウスメーカーの方と話をしていると、コンセントの穴からの空気の出入りまで管理すると言われていました。

それほど密閉された空間の中に、

  • 電子レンジ
  • テレビ
  • エアコン
  • 洗濯機
  • 24時間換気システム
  • 冷蔵庫 など

があり、これらのモーターからは低周波音が発生し続けていると状態になっています。

壁面にはビニルクロスが貼られ、床はしっかりとコーティングされていますから、音そのものが聞こえないにしても、低周波音はかなり反射されています

つまり、温度や湿度など分かりやすい数値の部分では快適であるという室内環境が実現しますが、「うわぁ、たまらなく気持ちがいい」と感動するような環境になりにくいということです。

 

気分障害患者数の推移(厚生労働省より引用)

年々、病院では何の問題もないと言われるにも関わらず、体調が優れない、やる気が出ない、鬱になってしまう…と言った方々が増加している要因の一つに、この低周波音と高気密高断熱の問題も関係しているのではないかと私は考えています。

 

では、どうすればいいのでしょうか。

私は、自然の中にその答えがあると思っています。

 

森の中に入るとかなりの静けさを感じる理由

実際に今、あなたが森に入らなくても、上の写真を見ただけで、騒音などがなくとても静かだろうなぁ…と想像できるでしょう。

私は、高速道路が近くを走っている山道を何度もあるいたことがありますが、やはり森林の中に入ると随分静かです。

なぜ、森林にはいると突然静けさが増すのでしょう。

 

金属バットの音と木製バットの音の違い

とても分かりやすい例が、金属バットと木製バットの違いです。

金属バットでボールを打つと、キーンという高い大きな音が響きます。

一方、木製バットでボールを打つと、音はするものの金属バットとは全く違った質の音になります。

また、あらゆる弦楽器を見ても、ほとんどに木が使われているのは、木にはある程度の隙間があり、音を適度に反射しつつも、吸収する力があるために、音の輪郭がはっきりとするという性質があるためです。

スピーカーのコーン紙にも木材の繊維が主な原材料として使われています。

 

森の中に入った途端、静けさを感じるのは、森の外で鳴っている音を土の地面や木々が適度に吸収してくれるためです。

つまり、ちょっとした隙間があるために、随分静かになるということです。

 

学校の教室の天井は穴や凹みだらけ

教室に子どもが30人も集まれば、相当賑やかです。

そこで、教室の天井には、この様なボードが貼られていて、子ども達の声が反射しにくいように工夫がされています。

 

高気密高断熱化にこだわった上に、内装材が工業的なものになると音の逃げ場がなくなってしまいます。

だからと言って、隙間だらけの住まいにしてしまうととくに冬場が厳しい状態になるので、私たちの場合は、音を適度に吸収してくれる役割を果たす、無塗装の無垢材を用いて、壁面には、多孔質(目に見えない程の穴)の多い、漆喰を利用しています

これらから言えることは、時々、窓をしっかりと開けて逃がしてあげることも大切です。

暑くても寒くても時々大きく窓をあけると「気持ちがいい」と感じるのは、低周波音とも関係があると私は考えています。

 

無塗装の無垢材については、無垢材のフローリングにワックスは必要か?【本物の無垢材であれば不要】をご覧ください。

 

また、私たちが施工する際、床を浮作り(うづくり)選ばれる方がたくさんいらっしゃいます。浮作りと健康についても深い関連があります。詳しくは、【一手間加えられた床無垢材】うづくりのメリットとは?をご覧ください。

 

 

【健康住宅の追求】まとめ

音響熟成®︎木材と幻の漆喰®︎で空気がうまい家仕様にリノベーション

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人はよりよい暮らしを求めて、様々な改善策を考えていきます。

その努力は素晴らしいものであり、私自身、その恩恵を受けて日々生活をしています。

ただ、これまで見てきた通り、自然もまた様々な問題を改善する知恵をもっているということも忘れたくありません。

今日、伝えた低周波音の問題は、敏感に感じる方、あまり感じない方様々ないらっしゃいますが、あまりにも自然と分断(対立)した住まいを作りつづけていくと、問題を感じる方が増加してしまうことでしょう。

ここでお伝えしたことを簡単にまとめておきます。

  • 音によって潜在的なストレスを感じることは多い。
  • 低周波音は実際に聞こえる音もあるが聞こえない音もある。
  • 低周波音は人に様々な問題を与えることが分かっている。
  • 家電製品からも低周波音は発生している。
  • あまりにも厳密な高気密高断熱化された住まいでは低周波音が反射され続ける。
  • 時には窓をしっかり開けて、低周波音を逃がしてあげること。

人も自然界の一員です。

人が生み出した知恵自然が生み出した知恵をもう少しバランスよく、仲良くすることで、心から喜べる住まいができるはずと信じています。

私が考える住まいの理念は、私たちについて【PROFILE】に掲載しております。

 

本日も、最後までお読みいただきありがとうございます。

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