近年は、自然素材の家、健康住宅という言葉が随分一般的となってきました。
その背景には、不自然な素材の住宅があり、不健康な住宅があったためです。
日本でも1990年代には、社会的にも「シックハウス症候群」という言葉が当然のように使われていた印象があります。
その結果、様々な法の整備が行われましたが、今もなお住まいの空気環境が気になるという方がたくさんいらっしゃいます。
もちろん、私たち「空気がうまい家®」についてもお問い合わせをいただきますが、家電メーカーなども住まいの中の化学物質を除去する空気清浄機を開発し、販売しているところを見ると、空気環境をなんとかしたいと考えている方も多いのだと思います。
ところが、室内に蔓延する化学物質と一言で言っても、目に見えないものですからなかなかピンとこないと言う方もいると思います。
そこで、化学物質がどんどん揮発しているということを動画で感じていただきたいなぁと思います。
そもそもシックハウスの原因は何?
ここでは、極めて簡単にシックハウスの原因について触れておきます。
建物を施工する際に使われるものから揮発する化学物質(VOC)が主な原因です。
もっと単純に言えば、新築の臭い=化学物質の臭いです。
近々、新築の家に遊びに行ったという人は、その時の臭いとホームセンターの臭いを比較して見てください。
概ね同じ臭いだと思います。
とは、言っても化学物質の気配なんか全く感じないんだけど…という方もたくさんいらっしゃいます。
理屈では分かるけれども、なかなか実感が湧いてこない…そんな声もありましたので、揮発を動画で見てもらいましょう。
化学物質(VOC)が揮発する様子を目で見てみよう。
実験をする前に次のことは、頭に入れておいて欲しいなぁと思います。
注射を打つ時に、消毒液を塗りますがあれを塗るとどうなる?
スーッとした感じがして冷たいです。
そうですよね。あれは、エタノールが蒸発する時に皮膚の熱も奪って行くから冷たく感じるんだよ。じゃあ、エタノールの風呂に入って、扇風機の風に当たるとどうなると思う?
全身の熱が奪われて、死んでしまうかも…。
液体が気体になる時に熱をたくさん奪うってことだけ覚えておいてね。
実際に行うことはとても簡単!接着剤を揮発させるだけ。
次のものを準備しましょう。
- アクリル接着剤(アクリルサンデー)
- フェルトを少し
- ペットボトルのキャップなど
実験の手順
- ペットボトルなどのキャップにアクリル接着材(ホームセンターに売っている)を少々入れる。
- 動画のようにフェルトの端をペットボトルのキャップに入れ、フェルトの様子を観察する。
(音声などは入っていません。地味に観察をしてください。)
簡単な解説
しばらくすると、フェルトに白いものが付きました。
これは、空気中に含まれる水分がフェルトにあたり、凍ったものです。
この動画を撮影したのは、9月です。
にも関わらず、氷ができたのは、アクリル接着材が消毒液以上のスピードで揮発したために、熱が大量に奪われたということです。
シックハウスの原因が分かれば、対策も見えてくる。
今回は、揮発がとても解りやすいものを用いたのですが、一体何が揮発したのでしょうか。
成分には二塩化メチレンと書かれています。
そして、アクリル接着剤の注意書きには次のようなことが書かれています。
- 使用時は換気をよくして蒸気を吸い込まないでください。
- 眠気及びめまいのおそれ・強い眼刺激のおそれがります。
また、Wikipediaによる二塩化メチレンの人への影響は、こう書かれています。
ヒトに対しては、皮膚または目に接触すると炎症を引き起こす場合があることが知られている。蒸気を大量に吸引すると麻酔作用を示し、中枢神経系を抑制する。慢性毒性として肝機能障害が知られている。
(Wikipediaより抜粋)
化学物質が室内に蔓延して、頭が痛くなる、目がチカチカする、涙が出るなどといった症状が出るのは、こういうものが室内に飛び出して行っているのです。
アトピーやアレルギーなどで苦しむ方が後を絶たないというのも分かる気がします。
もちろん、住まいを作る際には、アクリル接着材だけが使用されるわけではありません。
壁面などに使われるボードにも接着剤は含まれていますし、クロスなどを貼ればそこにも接着剤が用いられます。
二塩化メチレンは揮発性がとても高いのですが、揮発性が弱いものは、長い年月をかけてじわじわと揮発していくのです。
ここまで、分かってくると対策もいくつか思いつくのではないでしょうか。
とにかく換気をたくさんする。
近年の住まいに換気システムを導入しなくてはならないと法に定められた背景も、この化学物質の揮発だったのです。空気中に蔓延するものですから、換気を行うほど良いということになります。
ただ、デメリットもあります。
季節によっては換気をすることが嫌な場合もあります。また、換気をしているとは言え、こんなすごい化学的なものにずっと触れているのはなんだか…と言って、抵抗を示される方も見られます。
化学物質が使われていないもので施工する。
昔からある神社仏閣に行けば空気が澄んでいるという感覚があると思います。
もちろん、立地条件なども空気環境に影響を及ぼしますが、いわゆる「新築の匂い」とは無縁な印象があるはずです。
ただ、そういった木材を使って施工するとなると、ご想像の通り安くで仕上がることはありません。
空気清浄機を使う。
家電メーカーは、シックハウス対策と称して様々な空気清浄機を発売しています。
実は、私自身も空気清浄機を二台も設置して、化学物質の除去に挑戦していた時期もあります。
ところが、今日の動画をご覧になっても分かる通り、揮発はどんどん行われるのです。
しかも、液体が気体になるのに1000倍以上の体積になるとも言われています。
果たして、空気清浄機がこの揮発に追いつけるのだろうか…。
私の印象としては、イタチごっこだったなぁという感じです。
常に空気清浄機を運転していないと意味が薄れてしまうというのがデメリットだと思います。
もっとも理想的なシックハウスの対策方法は?
もっとも理想的なことをいうと、自然のもので施工して、自然なものしか家におかない…。
いやいや、そうなるとテレビも置けないし、スマホ持ち込めません。
すべてがオーガニックな生活をすることは、現代では実質不可能ではないでしょうか。
だとすると、
住まいに化学的なもの(合板の棚やテレビなど)を持ち込んだとしても、それらを分解することができればいいということになります。
こんな風に言うと難しく感じるかもしれませんが、不要なものを分解できることが普通で、分解できないことが異常なのです。
山にキノコが生えているのはなぜでしょうか?
キノコは枯れた木々の栄養を用いて大きく成長していきます。そして、木が早く土に戻る手助けをしているのです。
また、私たちが毎日車を利用し、様々な工業製品を利用しても、息苦しくなることはありません。
近年になって、空気が汚れたと言われるようになりましたが、それまでに排出されたものが一切分解されることがなければ、もっと大変なことになっているはずです。
自然は、多少の汚れなども分解しながら、何千年と連なってきたのです。
そんな不思議なことがあるはずがない!
そう思われた方は、ぜひ公園の木を眺め、山を歩いて欲しいなぁと思います。
きっと発見があるはずです。
あなたの街の近くの「空気がうまい家®」を施工している工務店では、あの臭いアンモニアを瓶に入れて30秒から1分もすれば分解されると言うことが体感できます。
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