2020年7月にも関東で震度の大きな地震がありました。
コロナ+洪水+地震となると、誰でも大きな不安を感じるものです。
そして、大きく揺れた地震が起きると、この様な質問をいただきます。
無垢材と集成材と結局どちらが強いのか分かりません。
どちらがいいでしょうか?
この答えは、
からです。
だからと言って、適当に扱っていい話ではありません。
なぜ、集成材・無垢材が強いと一概に言う事ができないか?その理由を知っておくだけでも、丈夫な住まいに近づくことができますので、最後までご覧ください。
集成材と無垢材の違いとは?
ここでは、集成材って何という方のために、極めて簡単に解説しておきます。
上の写真を比較しても、違いは分かります。
集成材と無垢材については、以下の記事にも詳しく書いていますので、参考にしてください。
そもそも「木材の強さ」にもたくさんの種類がある
「あの人は強い」と一言で言っても様々な強さがあります。
- 筋肉ムキムキで強い
- 精神的に強い
- 継続する力が誰よりも強い
こんな感じです。
集成材や無垢材にも人と同じ様に様々な種類があります。
ここでは、専門的な言葉の使用を避けて、簡単に解説します。
全体像は次の通りです。
- 曲げる力に対してどれだけ強いか?
- 押さえつけるのにどれだけ強いか?
- 引っ張る力にどれだけ強いか?
- ねじれやズレのもとになる力に対してどれだけ強いか?
言葉では、イメージしにくいので、次の図を参考にしてください。
さらに、木の繊維に対して、加える力の向きによっても強さは様々に変化します。
地震の揺れ方は様々な上に、住まいの構造も様々です。
ですから、構造部分にかかる力は、非常に複雑です。
そのため、どちらの材が優れていると簡単に判断することは難しいのです。
次に、集成材・無垢材の強さに関する性質を詳しくみていきましょう。
無垢材と集成材の強さについて知っておきたいこと
当然、無垢材と集成材は成り立ちが異なりますので、「強さ」に関してもそれぞれ特徴があります。
無垢材の強さに関する特徴(木の種類・部位・乾燥方法)
無垢材と言っても木の種類は様々あります。
さらに、どの部分を無垢材として使用するのか?
使用している無垢材は、どの様に乾燥されたのか?
によっても強さは大きく変わります。
無垢材でも木の種類によって強さが異なる
例えば、桐はとても柔らかい木ですが、栗はとても硬い木として知られます。
同じ無垢材であっても、この二種類の強度は大きく異なります。
下の表は、難しそうな数字が並んでいますが、赤枠の数字が大きほど、曲げの力に強いと理解をしてください。
木の種類によって数値が大きく異なります。
無垢材でもどの部分を使用しているのかで強さは異なる
また、1本の木のどの部分を無垢材として使用しているのか?これによっても、強さは大きく変わります。
通常、木の中心部は、濃い色をしており、外側は薄い色をしてます。
色が濃い部分と薄い色の部分でも性質がことなり、強さも違いがあります。
木材の乾燥方法によっても強さは変わる
さらに、木材の乾燥方法によっても強さは大きく変わります。
木材の乾燥方法は、2020年現在、様々ありますが、大きく分けると次の通りです。
- 温度や気圧を人工的にコントロールして木材を乾燥させる
- 自然の温度帯で時間をかけて乾燥させる
どちらかに分類されます。
森林総合研究所は、3種類の温度帯で木材を乾燥させて強度を調査しています。
明らかに、135℃で乾燥させた木材は、弱いことが分かります。
集成材の強度は様々に異なるのだろうか?
集成材は、先に解説した通り、小さい木材を接着材で貼り合わせて作られます。
- 使用される木材の質
- 重ね合わせ方
- 接着剤の強度
これらによって、集成材の強さは変わってくるのではないか?
こんなことが考えられます。
近年は接着剤の質も向上し、10年間木材として使用した状態でも劣化は少ないという報告もあります。
ただ、同じく森林総合研究所が行った屋外暴露実験では、JAS規格を満たさないものも見られたために、今後の課題として次の様なことが書かれています。
本プロジェクト期間中に開始した新集成材の屋外暴露試験を継続して行う必要がある。基準に満たない試験体が一部に認められた点については、製品製造の過程では製造・接着条件を把握して原因を究明し、技術的なノウハウとして蓄積する必要がある。
とは言っても、集成材は、人工的なものであるために、無垢材と比較すると、個体差は小さいと一般的には言われています。
集成材は無垢材より1.5倍の強度があるとは言い切れない
この様に集成材・無垢材について丁寧にみると、様々な要素が複雑に絡みあって、建材ができ、住まいができていることが分かると思います。
巷では、集成材は無垢材より1.5倍の強度があると言われていますが、真剣に住まいの強さについて考えている人ほど、はっきり言い切れないはずです。
では、何を基準に集成材・無垢材がいいのか?を判断したらいいのか。
強さだけではなく、様々な角度から見て判断していくしかなさそうです。
ちなみに私たちが空気がうまい家®︎に絶対に集成材を使わない理由は
- 室内の空気環境をとことん自然に近づけたい
- 自然と一緒に暮らす感覚を味わって生活・社会を変化させたい
- 無垢材なら火災の時に逃げることができ、集成材は逃げにくくなる
室内の空気環境にこだわっているのは、室内の見た目、一般的な常識などを頼りに、室内の空気環境を意識せずに住まいを購入し、大変な思いをされてきた方々を見てきたためです。
また、火災がないことが一番ですが、万が一、火災があってもとにかく生きることが最優先だと考えているためです。
火災のことが気になった方は、
火災でなぜ死んでしまうんだ!逃げられなかったのか?
また、室内の空気環境については、以下の記事が参考になります。
赤ちゃんがいるからホルムアルデヒドが心配【見えない裏側の話】
をお読みください。