自然に近い住まいで生活をすると、なぜだかライフスタイルも自然よりになっていきます。
たくさんの変化はありますが、その一つに「お米の炊き方が変わる」というものがあります。
普通、炊飯器で炊くんじゃないの?って思われるところですが、実は空気がうまい家®に住んでいる方々の中には、土鍋ファンが結構いるのです。
もちろん、施工に関わるものも土鍋ファンがたくさんいます。
この便利な時代に…なぜわざわざ土鍋まで出してきてご飯を炊くのでしょうか?
また、土鍋にファンがいるというのはどういう事なのか詳しくみていきましょう。
本当の贅沢とはなんだろう?
土鍋を使ってご飯を炊いている方の多くは、ご飯が炊けた時にこう言います。
こりゃーええなぁ。
最高の贅沢やなぁ。
ほんまやなぁ。
これに、美味しい漬物があれば十分ですよね。
別に特別な事が起きたわけではありません。
ただ、美味しそうなご飯が炊けたというだけですが、とても贅沢な気分になれます。
なぜ、そんな気分になれるのか…改めて考えてみてもはっきりとした理由が分かりません。
一方、ホテルで豪華な食事をいただいても贅沢だなぁ…とシミジミ感じるものです。
これは、とても分かりやすく、普段食べないものが食べられたり、じっとしていても次々といろんなものを運んでくれるサービスがあるからだと思います。
なぜ、土鍋でご飯が炊けるだけでもシミジミと贅沢だなぁと感じる事ができるのでしょうか。
そこには、きっと生産者の情熱のようなものが感じられるからかもしれません。
お米や土鍋にかけた熱すぎるくらいの情熱
お米に対する情熱が熱く、数々の関東のお店にお米を届けているという山元健之さんが、「長谷園に行くけれど、一緒にどうですか?」と声をかけてくれました。
山元さんのお米の話はこちらの記事にあります。
長谷園というのは、陶器を作られている三重県の窯元さんです。
代表的な商品が「かまどさん」私も空気がうまい家®に住み始めてから約10年愛用しています。
土鍋は生きていて呼吸もしますから違いがあって当然です。
長谷園の専務、長谷さんは土鍋は呼吸をしていると言います。
生き物でもないのに…そう思われるかもしれませんが、かまどさんに使われている土は少し荒く、陶器になっても小さな気泡がありるために呼吸できるそうです。
また、小さな気泡がたくさんあるという事で保温性も高くなります。
とにかく、誰もが簡単に美味しいお米を食べられるように、火加減をしないで綺麗にお米が炊ける事にこだわってこられたそうです。
うちのお米を食べるなら絶対にかまどさんで炊いて欲しいんです。
山元健之さんも熱くなってきました。
お米に吸水させる方法を熱く語り、「お米を炊く時に氷を少し足して炊くとやっぱり美味しくなりますね。」などと言われています。
お米は、寒暖の差が大きい地域で育ったものの方が一般に美味しいと言われるのと同じように、お米を炊く時にも寒暖の差をしっかりとつけた方がいい。
また、うちのお米もかまどさんと同じ、古琵琶湖層の田んぼで育てているから、育った環境に戻してやって炊いてやった方がいいなどと言われています。
このあたりの話になってくると数値化して、証明する事は相当困難になってくるはずです。
こんな話をしても誰も理解してくれないかもしれない…なんてよく思ったそうです。
食べ比べたらかまどさんで炊いたご飯は別物!
近年の炊飯器もずいぶん高機能になってきています。
様々な電気メーカーさんも、美味しくお米を炊きたい!と日々、研究をされています。
ところが、我が家に遊びに来られた方々に、かまどさんで炊いたご飯を出すと驚かれるのです。
中には、「うちの炊飯器は炊飯器じゃないわ!」なんて言われる方までいらっしゃるのです。
- どこのお米を使っているんですか?
- やっぱり土鍋で炊いたら違うんですか?
始めて食べられた方からは、こんな質問をよく受けます。
そう言われる度に、「そんなに違いはあったかなぁ?」なんて振り返るものです。
「かまどさん」は土鍋ですから、タイマー機能が使えないために、我が家も炊飯器でお米を炊く事もありますが、やっぱり美味しさが違うわけです。
不思議なのは、全てが数値で評価されない!という事
山元健之さんが作られているお米は、誰もが驚くような老舗に届けられています。
ところが、お米の美味しさをはかる食味検査に出すと決していい評価が得られるとは限らないそうです。
お米の美味しさを総合的に判断するための検査。
一つは、機械などを用いてお米の成分を分析する理学検査と呼ばれる方法で、もう一つは、人が実際に食べて評価をする官能検査という方法があります。
それでも、様々な老舗が山元健之さんのお米を毎年利用し続けているのは、なぜでしょうか。
また、「かまどさん」についても同じ事が言えます。
一般に販売されている高機能な炊飯器と比較すると、何でもないシンプルな土鍋です。
けれど、「かまどさん」には熱烈なファンがいて、私も山元さんも、山元さんがお米を届けている老舗の方々も「かまどさん」のファンなのです。
また、空気がうまい家®にしても同じです。
空気がうまい家®で生活をしている人は、自分の家が最高だ!と言います。
次にもう一軒家を建てるにしても間違いなく空気がうまい家®だと言われます。
ところが、免震用のすごいバネのようなものが入っていたり、室内の空気環境を綺麗にするすごいフィルターが搭載されているわけでもありません。
お米もかまどさんも空気がうまい家®も目指すところは同じです。
山元健之さんがお米の生産にこだわるのは、個が重視されてすぎているという問題があるからだそうです。
- 自分のところのお米が美味しかったらいい。
- 田んぼに住む虫たちは邪魔な存在だ。
こうなってしまった農業の形を少しでも変えていきたい…。
そして素晴らしい土のある村に多くの人が帰ってきて欲しい…。
そんな願いを込めて、お米を育てていらっしゃるのです。
かまどさんを作られている長谷園さんは、家族でゆっくりと団欒をする時間をもとう!っと言うのが願いだそうです。
卓上に、火から降ろした土鍋を置いて蒸らしが終わるまで家族で待つ。
燻製でさえも卓上でできるような土鍋を作ったのは、土鍋の蓋を取った時に「うわぁ、美味しそう」って家族みんなで声をあげ、「ほれ、これを食べたらいいよ。」なんて言う時間が、家族としてとても大切だからそうです。
空気がうまい家®も同じ。
シックハウス症候群でたくさんの家族が苦しみ、今もなおアトピー、喘息に苦しんでいる人やそのご家族がいます。
だからこそ、限りなく自然に近い住まいを作り、「自分の家が最高だ!」と言える住まいを作っているのです。
「自分の家が最高だ!」と言える人の家にはたくさんの人が集まってきます。
そこで暮らす子ども達は、自然と様々な人と会話を楽しみ、たくさんの事を学ぶのです。
また、荒れ果てた日本の山の木々を使う事で、植物は多様性を取り戻していき、山で生きる動物たちもさらに豊かになっていく。
そんな願いも込めて、家づくりをしているのです。
空気がうまい家®も山元さんのお米やかまどさんと同じ…。
炊飯器に搭載されているような早炊き機能のようなものは何もついていません。
それでも、思わず好きになってしまう何かがあると思います。
先日、お金については何の心配もないと言われる裕福なおばあちゃんと話をさせてもらいました。
とっても羨ましい話ですが、おばあちゃんはこんな事を言われていました。
数年もすれば、新しい機能も古くなりますから…。
だから本当にいいものを選ばないといけない時は、どんな気持ちでそれが作られているかに触れるといいですよ。
その気持ちが分かれば、何年経っても大事にしてしまうんです。
この歳になると、周りの友達だって亡くなっていきますから、心から大事にできるものがあるって事が本当の贅沢だと思いますよ。
おばあちゃんはそう言って、ずいぶんくたびれた財布を見せてくれたのです。